非営利組織の成長をデータで把握する~活用できる指標とは

~ソーシャルセクターの成長が、社会課題の解決を加速させ、より良い社会を築くと信じて執筆~

一般的な企業では、経営状況や組織の成長具合を判断するために、資本利益率などの収益性や安全性、効率性といった財務的な観点からの数字をウォッチします。しかし、非営利組織では寄付収入などがあり、一般企業と同じ手法が馴染みにくいことがしばしばあります。そのため今回は、経営者や事業マネージャーが、非営利組織の成長具合を判断するために活用できる指標を見ていきます。

STEP1.まずは押さえたい~基本の「現状」把握

まず、月次で下記のような「現状」の収入情報を押さえておくと便利です。

総収入(A+B+C):○○円
 A.寄付収入:○○円(△△人)
  a1.単発寄付:○○円(△△人)
  a2.継続寄付:○○円(△△人)
 B.助成金・補助金:○○円(○○件)
 C.事業収入:○○円
※今日(6月19日)時点では、2019年の1‐5月までの合計値、として計算する

あくまでも全体の概要をおさえておく程度で良いかと思います。

・一桁まで正確でなく、千円単位か万単位にまるめるぐらいで良い
・総収入は、雑収入を割愛するなど、手間をかけなくて良い
・事業収入がない、またはすごく金額が少ない場合は除いても良い

STEP2.経営者として押さえたい~組織成長の種と後退の兆候

経営者、マネージャー、担当者の3者の立場ごとに、指標を見るときのポイント(目的)と使う指標の例をまとめました。図の「指標例」のうち①②③について、詳細に見ていきます。

時間軸で捉える
組織が成長している、または停滞ないし後退しているかを早めに確認すると、対応策がとり易くなります。そのためには、過去の情報をもとに現状を見て、今後を予想できるように、データを準備しておくと良いでしょう。

~ポイント:①前年同月比
昨年の値を参考値として、今年の各月の値をとを比較して見ます。
例えば、もし2~3ヶ月続けて昨年同月比を下回っていることがわかれば、今期全体としての収入減に繋がる予兆として捉え、その原因を調べることにリソースを割き、必要に応じて現在の施策の修正や、新たな施策を講じる必要がでるかもしれません。このように、収入減の兆候を早期に発見でき、それに対して手を打つかの判断ができるようにしておくことがポイントになります。

また一方で、上がっている場合でも、その因果関係まで考えてみることも良いかと思います。今のファンドレイジング施策が上手くいったのか、それても、別の理由があったのか、その因果を調べ、それらしき事由を見つけ(ないしは想像し)、それを仮説として、再度施策を実行して、同じように効果をあるかを確かめます。

なお、もう少しブレイクダウンした数字(例えば、リード獲得率やコンバージョン率、退会率など)をKPI(重要業績評価指数)として設定し、兆候をもっと早く正確に判断する方法もあります。

~ポイント:経年比~
総じての収入を主として、単発継続の寄付、助成金・補助金、事業収入の各分野の成長度合いも見ます。この辺は、多くの組織で、年次総会などで確認しているデータかと思います。

ワンポイントアドバイス
上記のようなマクロな視点で捉え、その際に気になった箇所を、さらに深堀り(データ分析など)して、その因果関係をさぐるようにしていくと、やみくもに分析するよりも、費用対効果が高くなります。

組織全体を見る場合は、最低限ここまでは押さえておくとよいかもしれません。

STEP3.ぜひとも押さえたい~支援者との関係と組織の強み

非営利組織にとって、寄付者をはじめとした応援してくれている人は、組織のミッションやそこに関わる人に共感してくれている存在(そうなる可能性が高い存在)であり、仲間とも呼べる存在と言えます。そうした仲間を増やしていくことは、目指すべき社会を実現する道がさらに広がってい行くのではないでしょうか。

~ポイント:②リピート率
例えば、継続寄付であれば「継続率」や「平均継続期間」を、単発寄付であれば「リピート率」といったように、支援者がどのくらい継続的に関わっているかを見れるようにしておくと良いかと思います。

金額が多い、イベント参加率が高い、という情報から、繋がりの強さを発見することはできます。しかし、それら指標はあくまでも参考値として考える方が良いと思います。特に、数字に表れない「想いの強さ」があるの常に意識しておきましょう。

また、ファンドレイジングなどを行う際に、組織の特徴というか、強みを理解しておくと良いかと思います。

~ポイント:③強み~
組織の収益を上げる「力」(「強み」「特徴」とも言えます)がどこにあるのかを見ます。代表的な例をあげてみます。
・新規既存別
・種類別
・金額別
・地域性
・年代

他組織や業界平均など外部と比べられると良いのですが、ソーシャルセクターにおいては、まだまだ得られる情報が少ないことから、基本的には組織内のデータを揃えて、それを中心に考えると良いかと思います。

このように、実は非営利組織ならではの指標はたくさんありますが、すべて見ていたら大変かと思います。立場ごとに、必要な指標を選んで、それが常に見えるような仕組みを作ることが大切な気がします。

~ソーシャルセクターの成長が、社会課題の解決を加速させ、より良い社会を築くと信じて執筆~

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Junya Aizawa

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