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「世界一うつくしい昆虫図鑑」から

こんにちは(*'▽')

昨晩、蛍を見に行ってきました。大人になってから初めて見ました。うつくしかったです! 空には蛍のような星。池や田んぼからはウシガエルの鳴き声、ときどきコール&レスポンス♪ 蛍の生息地がこれ以上減ってしまいませんように、来月、短冊に書いて願ってみようかしら。


これはもっともな心配といえるのだが、パトロンから、私が手がけるような芸術作品は昆虫の大量殺戮を助長するのではないかと質問されることは珍しくない。その質問への答えには、驚く人たちもいるだろう。昆虫採集は昆虫の個体数に被害を与えにくいのだ。そればかりか、昆虫学者や環境団体は一般的に、正しい判断に基づいて行われる昆虫採集は、実は昆虫の個体数の保護に役立つと考えている。

昆虫採集が環境に与える影響を理解するには、まず採集の方法についての基本的知識を身につける必要がある。実は、養殖以外の昆虫はすべて、素手か、捕虫網を使って捕獲されている。懐中電灯を使えば、夜行性の種を引き寄せるのに役に立つし、腐った果物をビールに浸したものをジャングルの地面に置いておくと、昼間に飛び回る種を引き寄せる効果もある。それでも昆虫採集というのは、きちんと手順を踏み、比較的時間をかけて行われる、骨の折れる作業であり、そこで捕まえた昆虫はどれもうれしい収穫だ。数と昆虫への影響という点で、昆虫採集を行う人間と、鳥、トカゲ、カエル、サル、コウモリ、捕食性昆虫といった、同じジャングルにすみ、昆虫を狩る無数の動物を比較してみれば、昆虫採集を行う人間が昆虫の個体数にどれほどの影響を与えるのか、答えはわかるだろう。

食物連鎖の最下層にいる昆虫にとって、繁殖能力を高めることが数の減少への最大の対抗手段になる。昆虫の乱獲は不可能だとか、政府の監視や許可制度が重要ではないというつもりはない。しかし、ほぼどんな昆虫でも、個体数の大量殺戮が起きる危険は昆虫採集以外のところにある。それは生息地の破壊だ。

2001年の年末、私はモルフォチョウを採集するために良い場所を探して、ペルーのサティポという小さな村を訪ねた。私のガイドをしてくれた地元の鱗翅目(チョウやガ)の専門家は、昆虫の繁殖や採集を長年仕事にしていて、その地域の昆虫について詳しかった。四輪駆動車に乗って、彼が気に入っている採集地のうちの1ヵ所に向かう途中、5年から6年前に森林が皆伐されたという場所に立ち寄った。ガイドの説明によれば、森林伐採の前には、この地域にはいつでもたくさんのモルフォチョウがいたという。しかし森林と一緒に、モルフォチョウがエサとしていた植物も刈り取られてしまい、今ではその植物だけでなく、モルフォチョウもこの地域から絶滅してしまった。ジャングルの奥地へと、ぬかるんだ道を4時間走り、ときおり現れる皆伐地を通り過ぎながら、ついにセルパ(熱帯雨林地帯)の部族地域に到着した。私たちは、その土地の部族の長にお金を払って、彼らの土地で昆虫採集をする許可をもらってから、さらに1時間ほど歩き、アマゾン川の小さな支流にたどり着いた。そこの短い砂の土手にはチョウがたくさんいて、地元の人々が標本採集のために雇われていた。ガイドの説明では、彼の家族もかつてその場所で11年にわたって、先住民と一緒にチョウの採集をしていたことがあったが、彼らが採集していたチョウの数は毎年増加していたという。先住民の家族たちはこの仕事から収入を得ていたので、その部族にとっては、その地域を開発や伐採から保護するのは必要なことだった。しかし周辺地域のほとんどでは、この地域のように生息地を伐採から守るという持続的な必要性がなく、一部の地方自治体は一時的な収入の誘惑に負けて、自分たちの森林を犠牲にしてしまっていた。

森林地帯や、何らかの形で危険にさらされた生態系のある地域に住む人々は、昆虫のような、再生可能で持続可能な「作物」を収穫して、生計を立てることができる。それは、自分の生活を支えてくれる昆虫の生息地を保存しようという、金銭的な動機につながる、イリアンジャヤ(インドネシア領ニューギニア島)やパプアニューギニア、ケニアなどでは、絶滅の危機に瀕した昆虫の保護手段として、個体数調整・繁殖プログラムが実施されて成功を収めており、個体数の安定化あるいは回復につながっている。生息地の破壊を止める取り組みと、絶滅危惧種を呼びもどすために宿主植物を植える取り組みは、どちらも効果を上げている。こうした活動や、それに参加する個人は、そうした昆虫種の何パーセントかを採集し、収集家や取引業者、科学者、研究所などに販売することで資金を得ている。『ナショナルジオグラフィック』の2001年2月号に掲載されたコガネムシについての特集記事で、著名な昆虫学者のロナルド・D・ケイブは次のように書いている。

「こうなると、コガネムシが捕り尽くされかねないと心配する自然保護活動家もいる。だが私たちの調査から判断するかぎり、その心配はなさそうだ。収集家が捕るのは成虫だけで、地中に隠れている無数の卵や幼虫、サナギは安全だ。……コガネムシを最も脅かすのは収集家ではなく、熱帯雨林が農地にされ、生息地が消えてしまうことだ。しかし、地元の人々が、コガネムシを捕る数を調整し、飼育努力をすれば、それも防げるはず」

(ナショナルジオグラフィック日本版2001年2月号、特集「コガネムシ 森に輝く小さな宝石」より引用)

もちろん昆虫のほかにも、世界中の熱帯雨林には再生可能で持続的な資源が数多くある。昆虫は、人間と環境が、たがいに相手を苦しめることなく共存して生きていけることを示す1つの例にすぎない。スミソニアン協会のアーサー・エヴァンスと、トランスヴァ―ル博物館(南アフリカ)のチャールス・ベラミーは、画期的な著書『甲虫の世界―地球上で最も繁栄する生きもの―』のなかで、非現実的で効果の低い環境イデオロギーを忘れて、もっとしっかりとした解決法を目指すことが必要だと書いている。

甲虫はまた、消滅しつつある生態系を保護するために何らかの手がかりを提供してくれるだろう。我々の環境保全は、特に熱帯雨林に対して向けられているが、それは現在理想的な「原初の」自然を保護することから、人間的要素を取り入れた現実的管理という方向に転じつつある。もし地域住民が、環境から持続可能な形で収入を得られれば、彼らはもっと環境を大切にするようになるはずである。甲虫はそのような資源の1つである。昆虫標本の売買(その多くは甲虫と蝶であるが)には、年間何千万ドルものお金が動いている。

(『甲虫の世界―地球上で最も繁栄する生きもの―』(加藤義臣・廣木眞達訳、シュプリンガー・フェアラーク東京)より引用)

私は最近旅したコスタリカで、ある晩、親しい友人であり、その地域に生息するスジコガネに詳しいジミー・フロットと一緒に昆虫採集をした。フロットは、サンホセにある国立自然科学博物館の副館長という名誉ある職を離れて、小さな村でビジネスを始めるという若いころの夢を追い求めることにした話をしてくれた。そのなかで、仕事がないのが当たり前というような奥地で、地元の人々を雇うことができたことが話題になった。フロットは、森林を1頭の牛にたとえた。その牛を大切に飼えば、毎日乳搾りをして、家族を何年も養うことができる。しかし、その牛を殺して肉をとってしまえば、しばらくの間はごちそうにありつけるかもしれないが、肉がなくなれば、それまで頼りにしていた牛乳も手に入らなくなってしまうのだ。

世界中の昆虫の生息地が、周辺コミュニティーやそこにすむ人々のニーズの高まりによって、取り返しがつかないほど姿を変えてしまっている。そうした状況に接したとき、多くの人々は、環境か、あるいは人々のニーズか、どちらかを擁護する立場に分かれ、逆の立場を非難するようになる。私は、どちらかの立場のほうが常に必然的であるとか、より建設的であるとは考えていない。私たちが、自然界のほかのどんな生物と比べても、これほど優位な立場に上ることができたのは、なによりも人間という種には創意工夫の力があったからだ。そうした創意工夫の力が、自然環境の保護とは必然的に対立すると考えるのは間違っている。たとえば、死んだ昆虫を標本として大切にする習慣は、古くからあったわけではない。それなのに、今では昆虫標本の需要は高く、供給も豊富にある。地球という変化に富んだ生態系からは、昆虫以外にも、同じように責任ある形で収穫していける商品が生まれてくるはずだ。さらに言えば、私たちの想像力を、自然由来の製品だけに限定する必要はない。エコツーリズムは、人間の起業精神と、地球への尊敬と情熱が1つになって成功した、また別の例だといえる。人間と自然環境が、互いの利益や保全につながる形で共存していく方法は数え切れないくらいある。それは、私たちの想像力と同じくらい果てしないものだ。

クリストファー・マーレ―(Christopher Marley)

『世界一うつくしい昆虫図鑑』(原題:PHEROMONE: The Insect Artwork of Christopher Marley、熊谷玲美・訳、宝島社、2014年) 環境への影響 より


香川照之さんがカマキリのコスプレをして「カマキリ先生」としてTVに登場してる姿は衝撃的でした(^^) コスタリカ?で希少な昆虫に出会ったときの目の輝きは、少年そのもの!

カマキリ先生の番組によれば、ニュージーランドでだったか、屋外の空に小さな虫を捕獲する容器を一定時間置いて捕獲量を計測する調査で、調査開始の何十年前より半分以上虫が減っているというデータがあるそうです。虫にとってはなにかと生きづらい、環境変化の影響がうかがい知れます…。

蚊に刺されれば痒いし、ムカデが出れば飛びのいて驚いてしまうし、蜂が飛んできたら狙われたくないけど、虫は大切な役割を果たしているそうです。作物の受粉を手伝ってくれたり、なんだり。仮に人間が滅びても地球環境に大きな影響はないそうですが(人間による環境汚染がなくなるのできれいになるのかな?)、蜂が絶滅したら数年で地球環境がまったく違ったものに変貌してしまうそうです。んまぁ、そうだったの…!( ゚Д゚)

虫苦手な人、多いかもしれません。

でも、この図鑑に載っているコガネムシやタマムシ、オサムシ、コノハムシ、カブトムシ、トンボ、チョウを見ると、うつくしい&かっこいいんです。「構造色」の原理はよくわかりませんが、ほんとに宝石のように綺麗です。これを見てしまっては、自転車で緑豊かなとこを走っているとき、コガネムシに顔にバチコーンッとぶつかってこられようと(けっこう痛い)、許せちゃいます。

ある夏の早朝、近所のおじさんが手招きするから行ってみたら、セミの脱皮(羽化?)途中を見ることができました。生命の神秘を感じました…!!

むし、うつくしい!!

Insects are so beautiful ☆ 

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