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眠れない夜には…

こんにちは(*'ω'*)

好きなエッセイがあります。むかしの手帳に、ワードでタイプして印刷したものを貼りつけていました。たぶん、この作者と波長が合います…! それか、ひねくれものの自覚があるから、気に入っているのか。


月の引力は地球の引力の6分の1。

それならきっと月で育った子供は地球の子供より、まさか6倍とは言わないが、うんと背が高いに違いない。

まずそう考えました。

ところが、宇宙に出て、無重力状態で麦を育てると、同じ物を地球上で育てた時より育ちが悪いらしい。

どうも麦は、引力で下に引っ張られる力に負けまいとして上に伸びているようなのだ。


悪名高いロシアの大量連続殺人犯チカチーロ。

檻に入って裁判をうけているスキンヘッドの写真が有名です。

これを見た時も、そんなに危ない奴なのかと思ったところが、檻は被害者の遺族から犯人を保護するためのものでした。

57人以上殺しているらしいので、聞けばなるほどと思います。


夜中のTVでやっていた政府広報。こんなコピーでした。

「外国人だから、身体障害者だから、差別地区出身者だから、女だから、子供だからといって差別をするのをやめましょう」

私は、自分が差別されているなんて、それまで知りませんでした。

これによると、差別されていないのは、

「日本国籍のある差別地区出身ではない健常な成年男子のみ」

ということになります。

自ずと、差別をしているのはこの人達なのだと解ります。


私の知り合いに自称 “今、六本木で最も傲慢なシェフ” と言うのがいます。

彼が昔勤めていたレストランで、ステーキフェアをやった時の話です。

評判は上々で、とても柔らかくておいしいと喜ばれたそうです。

私は前日、彼が徹夜で店中のステーキナイフを研いでいたことを知っています。

柔らかいのは肉のせいばかりとは限らないのです。


物事ちょっとひねくれて、裏返して見ると世界が少し変わります。

自分で自分を裏返すことも可能です。

コンプレックスを裏返して自慢にしましょう。

ナルシスとは自己否定してみて下さい。世界が少し変わります。

良くなるとは限らないけどね。

プロローグ 眠れぬ夜は瞳を凝らして

うまく眠るために「リラックスしましょう」とは言いますが、誰も「集中しましょう」とは言いません。

確かに肉体を緩めてリラックスすることは、お風呂に入るとか、運動して体力を使い果たすとかの方法によって物理的に可能です。

ではしかし、「精神を緩めましょう」と言われて、意識的に緩めることが可能でしょうか?

リラックスして眠ろうとすればするほど追い詰められて目が冴えてくる、これはいかんと焦って枕を変えたりはずしたりしてみるも空しく、ますます眠りは遠くなっていく、

という経験は誰でもあると思います。

そう、かように精神とか心理というものはひねくれているのです。

それならば、いっそ、集中してみたらどうでしょう?

軽い集中こそ、眠りを上手に手繰り寄せてくれるものではないでしょうか。

これは、たとえば、何かひとつの問題をあれこれ考えることによって、眠らなければならないという今の自分の置かれている抜き差しならない状況を忘れる、

つまり、まあ、試験の前日に大長編漫画を読破してしまう心理を逆手に取ったような方法です(ちょっと違うきもするけど)。

ただし、夢中になってはいけない。

眠るという本来の目的を忘れてしまっては元も子もないので、好きな人に攻撃(アタック)する方法とか、最近自分を酷い目に遭わせた無礼なヤツに復讐する方法とかを考えるのは、止めたほうが良いと思います。

あえて、と言うなら、止めはしませんけど。

ちょっとだけ罪の無い面白いことを考える、これがコツです。

吉野朔実

『眠れない夜には星を数えて』(大和書房、1996年)より


月の引力、凶悪犯罪者が入った檻、政府広報、ステーキナイフ……さて、わたしはどんな「ちょっとだけ罪の無い面白いこと」を考えましょうか。

一日二日眠れなくたって、死にはしないことはわかっているし(多少フラフラするけど)、夜明けにやけにカラスの声が響いているの聞いたり、普段起きていない時間に起きているのも面白いし、まぁ、そういうこと時々ありますよね。

Don't mind !! Take it easy ☆

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