そして誰もいなくなった

もしも私がひとりで暮らしていたら
夜通し本を読んで
夜明けと共に眠り
寝床で菓子パンをかじり
コーヒーをこぼして 怒り
それから笑って洗濯機にシーツをほうり込む
机にしばらく向かい
飽きたら立ってのびをする
うたを歌う
ひとりで踊る
窓の外の雨を見て
今日は出かけない日と決める
あの頃は
雨でも風でも自転車の
後ろに子を乗せどこへでも
出かけていったな、
ということは
記憶の彼方に薄れてゆく
日はもう暮れかかっている
レコードに針を落とす
決して途切れることのないよう
音楽を

そして誰もいなくなった
そして誰もいなくなった
誰もいなくなった家に残された
アップライトのピアノが一台
弾かれるのを待っている
そして誰もいなくなった家のなかで
ピアノが鳴る
ためらいがちに
やがて確信にみちて

楽しいことをしていきます。ご一緒できたら、ほんとにうれしいです!