さいたまはどっちですか

なにか気に食わないことでもあったのか
父親と来ていた遊園地を飛び出して
小学二年生の君は住宅街の中へと消えた

取り残された父親は
しばらく待てば戻ってくるかと思ったが
三十分たっても君は現れなかった

その頃、君は
通りかかったカップルに道を聞いていた
「さいたまはどっちですか?」
後楽園から埼玉は歩くには少しある
財布もなくSUICAも持たない小学二年生の男の子を不審に思った若い男女は
彼を交番に連れていく
警官が君の父親の携帯電話に連絡し、この事件は終わりを迎える

だが、本当はまだ続きがあったんじゃないのか
君の心中を思う
またかけ出したくなっていたんじゃないのか


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石渡紀美

ポエトリー

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