見出し画像

【"未来"マネジメント会議0期Day4】TRUST FACTOR(トラスト・ファクター)

revii(リービー)という1on1サポートAIを開発・運営するZENKIGENというベンチャー企業にて、カスタマーサクセスチームのマネージャーをしている坂本珠里と申します。

本日も私たちが運営する"未来"マネジメント会議というマネジメントコミュニティでの活動の記録を残していきます。

10月よりスタートした0期生のプログラム。
Day4輪読会の課題図書は「TRUST FACTOR(トラスト・ファクター)

本書は「成功を収める企業は、必ず信頼の文化が醸成されている」ということについて科学的かつ実践的に示しており、手に取った当初はもっと概念的な話が多い印象を勝手に抱いていましたが、信頼が必要とされる根拠と実践した企業の実例、さらに自チームに持ち帰り明日から何をすべきなのか?というTipsまでがまとまっており、大変読み応えのある一冊でした。

本書を読んでいた週はちょうど、下期のメンバーの目標設定期間。
会社における評価制度ほど、この"信頼"というものの重要性を問われるシーンはないのではないかと思います。

評価でよくあるあるなのが、普段全く業務の相談や報告を行う機会もなく顔を合わせるといえば、たまーに参加する会議、程度の距離感の事業部長や役員が、目標設定や評価の面談だけ入ってくるというパターン。

会社の仕組み上致し方ないのかもしれませんが、従業員からしたら、普段自分の働きぶりを身近で見ているわけでもなければ、信頼関係が構築できているわけでもない方に、自分の半期や一年間の頑張りを一方的に伝えられるって、相当体験が悪いですよね。
それが悪い評価であれば、さらにその場の雰囲気は最悪です。

普段マネジメントを行う上で感じることは、評価する側は、評価するだけの資格を得ないといけない、ということ。
資格といってもそれは役職や役割という意味ではなく、それがまさに日頃からのメンバーとの信頼関係なのだと思います。

普段からそのメンバーとよく対話し、そのメンバーの強み、弱み、この半期の苦しみや頑張りを理解し尽くし、何でもフラットに話せる、という関係値の土台があって初めて、「この人がいう評価ならば、それが真実だ。受け入れてまた頑張ろう」と前を向けるものだと思います。

長くなりましたが、評価に限らず、他人同士が同じ組織やチームで一緒になって働いていくということは、当たり前ですがそう簡単ではなく、そこには必ず相互の信頼関係が必要です。

今回はそのような前提を踏まえ、目標設定や評価という現在自分にとって最もホットなテーマと関連しそうな章を私なりに読み気づいたこと、さらにその中から実践してみたことと結果、今後に向けて挑戦したいことを、以下にまとめます。

気付きメモ

第2章:あなたは同僚の成果を称賛していますか?

・オベーションは間隔を開けずに一貫したやり方、かつ皆の前でオープンに
成果を出してから、オベーションのタイミングが一定期間空いてしまうと人は「やった!評価された!」という内発的報酬とそのオベーションが脳内で結びつきづらくなり、大した報酬として効果が発揮されない。
オベーションを行う目安は課題をこなしてから約1週間以内。小さな達成や日々積み上がる成果はMTGの場などで十分。長期のPJTが完了するなど大きな成果に対しては、特別な場で行う。

オベーションが効果を発揮するのは「課題の達成に対する評価」の場合のみ
心理学者らの研修によると、オベーションが最大の効果を発揮するのでは、「課題の達成に対する評価」の場合のみであって、「人間性の評価」に対しては有用に働かない。
人間はいつも完璧にいられるわけではない。なのでその人の人間性ではなく、達成したという事実やその行動に対して称賛を送る。

オベーションは組織が大切にしている価値観を明確にする
一貫した評価基準のもと、皆の前でオープンにオベーションが行われることで「こういう状態が組織に貢献できているということか」と、その組織における価値観が自然とチーム内に伝わる。

現金報酬は慎重に
BCGの調べによると、従業員が職場で最も望んでいるのは「オベーション」であり給与は8番目であった。長期にわたって、成績を出し続ける鍵は、内的動機づけ、つまり心からやる気になること、チームや組織の一員であろうとすること。さらに社会的動機付け、つまり組織の存在意義や目標が明確に定義されており対内的・対外的に表明されている場合。
結果、会社も人も「金銭的報酬」という短期的なモチベーションで走ると、それは長続きしない。

個人ではなく「チーム」で称賛する
あらゆる世界的な研究から、個人で報酬を与えたりオベーションを行うよりも、チーム単位で報酬を行うことが最も効果的である、と示されている。人は社会的な生き物であり、社会的な結びつきの中で仕事をすること、成果を上げることに喜びを感じる。

第3章:あなた従業員にどれほどの期待をかけていますか?

フロー状態へ導く良いストレス
ストレスには良いストレスと悪いストレスがある。良いストレスは従業員の挑戦と成長を生む。難易度は決して易しくないが、達成不可能ではなく具体的に実現までのプロセスがイメージできるような目標や期待をかけ、かつそれを達成した時の祝福の場を準備しイメージさせる。これらは従業員に対して高い集中力をもたらし、時間という概念から切り離す。時間を忘れて仕事していた、気付いたらこんな時間だった、という状態を作れるか。

チームはできるだけ小さく
パーキンソンの法則(※)のように、チームはある一定の数を越えると、生産性が下がる。目安は6〜12名。個々人の顔が見えづらく、相手との距離が開き期待がお互いにかけづらくなることで仕事が円滑に進まなくなる。チームは極力小さくし、個々人の顔が見える距離で高いに期待を掛け合って、進める体制を作る。

肩書に「期待」をのせる
結局人を高い視点に引き上げたい、育成したいと考えるのであれば、それ相応のミッションや役割、肩書を渡してしまった方が早い。いつかはマネージャーになってほしいと考えるなら、今すぐ下に後輩をつけてリーダーとしての仕事をしてもらった方が良いし、プロジェクトマネージャーとしての独立と自走を期待するなら、早速大きな案件を一つ任せてしまうのが早い。目に見える形で期待を渡し、それを周りにも宣言させる。

「期待」をゲーム化する
単調な仕事や難易度が高く一人では挫けてしまいそうな仕事ほど、ゲーミフィケーションが有効。明確な目標とルールを定め、期待を達成した個人やチームに対してはわかりやすい形でオベーション機会を準備する。短期的な成果に繋げるには有用だが、あまりにゲーム化しすぎてしまうと、従業員が自身のモチベーションを自分で管理しきれなくなるというリスクがあるため、使い分けが重要。


第4章:あなたは従業員にどれくらい任せていますか?

「委任」し「期待」を伝え、目標達成度の「測定を可能」とし「オベーション」する
任せるなら期待が必要。そして期待に対する達成度を測定し皆の前でその活躍を伝えること。
リーダーは運命共同体。任せるなら選択の自由を与え、失敗を許容する。

ミスを「オベーション」する文化を作る
リスクを取るチャンスや失敗をするチャンスを与えることで、自分の自信にも繋がる。失敗した人を責めるのではなく「いい経験じゃないか」と一声かける。
人は新しいファクトをただ聞かされるより、失敗から得られる気付きや知見を元に語った方が脳内に取り込みやすい。
そもそも失敗ではなく、うまくいかない方法を見つけ、その失敗を二度とチームが起こさないようにしてくれた、と言うことに対して称賛する。

「委任」が従業員のやりがいに繋がる
委任をするからこそ上司に都度判断を仰がなくて良くなるため、物事が生産的に進められたり、顧客に高いレベルのサービスを提供することができる。それは従業員の仕事のやりがいに繋がる。

実践とその結果

・オベーションは間隔を開けずに一貫したやり方、かつ皆の前でオープンに
これは本書を読む前から、すでにチームとして実践していたところではありますが、結論として、とても有効で、チームがこれほどまでに変わるのかと自分自身驚くほどの結果が出ています。
そもそも、今まで私たちのチームは、まだPMF前のプロダクトを扱っているという性質上、個々人の目標やアクションが設定しづらく、なんとなく向かう先にピンは立っていても、そこに向かうための道のりが全く見えず、「このやり方で本当に良いのだろうか・・。」と全員がどこか自信なさげでした。

そのような現状に対し、下期からはOKRで明確に目標を打ち立て、手探りながらもOを達成するためのKR、そして個々人のActionへと落とし込み運用を始めました。

それにより各人が動きやすくなったことは言うまでもない事実ですが、さらに毎週金曜日の夕方17:00〜という週の締めくくりの時間を使って、チームOKRの達成度やメンバーの素晴らしいアクションをオープンに称賛し合う場を設けています。
まさにこれがオベーションの場として有用に働いており、皆がこの時間で、しっかり承認を得て、組織への貢献実感を得るためにOKRを進めるぞ!と言う姿勢で、日々の業務に向かえていると言うことが肌でわかります。

さらに、マネージャーとしてこの時間に「今週はこの場で、メンバーのどういったアクションをみんなに知ってもらおうかな」とメンバーをよく観察し今まで以上に気に掛けられるようになったと思います。


・「委任」し「期待」を伝え、目標達成度の「測定を可能」とし「オベーション」する
まさに今回の目標設定において、最も重視していたのがこの部分になります。特に、「明確に期待を伝える」と言う点と、「測定を可能にする」と点です。

第3章でもあった通り、良いストレス、つまり適度にストレッチな目標や期待は人をフロー状態に導き、達成時に圧倒的な充実感を生むことに繋がります。それを踏まえた上で、メンバーに対し、まずは一定の難易度で実現可能な期待値を明確に伝える、と言うことを意識しました。

さらに、その達成されている状態を、定量・定性それぞれの観点で定義し、それができていると言う状態は何で測るべきか?何で測れそうか?と、モニタリングする項目やツールなど具体的な計測方法をイメージ。

これができたのも、オベーションという場でメンバーを称賛するという最終的なアウトプットイメージが持てていたからこそ、だと考えています。


今後の挑戦テーマ

・オベーションは「課題の達成」に対してのみ行い、「人間性」に対しては行わないように意識づける。
本書を読んで最もハッとさせられたところであり、思い返せば日頃から「〇〇さんさすが!」や「〇〇さんっていつも意識高くてすごいですよね」と無意識にその方の行動自体を称賛するのではなく、その人の人間性そのものを称賛するような声がけを行っていたように思います。

本書でもあった通り、人間はいつも完璧にいられるわけではない。
その通りだと思います。

以後は、その方の存在は丸っと受け入れた上で、「日頃から資料の細部にまでこだわって丁寧に作成されてますよね、すごい!」という具合に、その行動や思考、具体的な成果に対して称賛を送るようにする。

・ミスを「オベーション」する文化を作る
オベーションの前に、そもそもミスをさせてあげられる環境を提供できていないのでは?という視点でハッとさせられました。

現状プロダクトもサービスもまだまだ未熟な中で、身の丈に一見合わないと感じてしまうような難易度の高い案件が日々待ったなしに生まれる状況に臆病になってしまい、メンバーに対して、任せ切るというスタンスが取れていないように思います。

そもそも、OKRとActionを個人単位で設定している時点で、そこから先はメンバーの主体性に任せるべきであり、一度任せた以上、最後のケツを拭くのは自分であったとしても、最後までメンバーを信じ任せ切らないといけない。
自分が管理するべきところとそうじゃないところの対象を明確にし、対象外の範囲においてはメンバーに思いっきり任せてみて、まずは小さくミス(=検証)ができる環境を作っていく、そしてそのミスがメンバーやチーム、プロダクトの糧になるようミスした後をしっかりフォローし切る、ということを意識してやってみたいと思います。

以上。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?