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星稜の時が止まった瞬間

「コンッ」
済美高校の矢野君の打球がライトポールに当たった目の前の光景と音がいまだに頭から離れない。
間違いなく優勝候補の1校だった。間違いなくこの試合も優勢に進めていた。ただ、星稜は負けた。

直前まで「まだ大丈夫!」「がんばれ!」と大声で叫んでいた、星稜のアルプススタンドから、この音がした直後、数秒一切の物音が消えた。そこにいた私含めていま何が起きたのかをしばらく誰も理解できなかった。

スポーツには「流れ」が重要だとよく言われるがこの試合で改めてその重要性を実感した。

-悪い「流れ」を止めなかった8回裏

8回裏、星稜高校はキャプテンの竹谷君を4番手としてマウンドに送った。

Photo from高校野球ニュース/https://www.xn--8wv97xz6xo7h.online/seiryo1

竹谷君は先頭打者からデッドボールで出塁を許すとその後も内野安打、タイムリーと連続安打を浴びて失点。その後1アウトはとったものの、またもや連続ヒットを打たれて満塁。本来であればこの時点でピッチャーを変えてもよかったが、ピッチャーを変えずに次のバッター山口君に対して、痛恨の押し出し。
この流れはピッチャーが変わったあとも変えられず、この回一挙8失点を喫して、まさかの逆転をゆるした。


-良い「流れ」を止められた12回裏直後

今大会より導入された延長13回以降のタイブレーク制度。ノーアウトランナー1、2塁から初めるこのルールを利用し、星稜高校は13回表に2点をとったがこの時点で嫌な予感はしていた。この2点はノーヒットで取った2点で決して勢いの乗れる取り方はしてなかった。その原因は13回表が始まる直前の出来事だと感じる。

12回裏、星稜は1アウト満塁の大ピンチを迎えていた。ピッチャーの寺沢君は満塁の状況でカウントを1ストライク3ボールとし、あと1ボールで押し出しサヨナラ負けという状況から、三振を奪い2アウト。その次のバッターに対しても同じく1ストライク3ボールと押し出しのピンチから連続ストライクで三振、チェンジ。星稜アルプスが大盛り上がりする(私自身も知らない星稜OBとハイタッチした)中、星稜高校は最高の「流れ」で12回裏を終えた。

この勢いで一気に星稜が畳みかける、そんな雰囲気が甲子園を包む中この「流れ」を予想外の間が止めてしまった。それがタイブレーク制度だった。

13回表からタイブレークに入る前にグランド整備および選手の給水タイムが入り、野球のイニング間としては相当長い間が取られた。しばらくグラウンドにはしばらく誰もいなく、スタンドもかなり間延びしてしまう雰囲気が漂った。その結果、13回表の攻撃を開始した星稜高校に前のイニングを抑えた勢いはなく、結果2得点止まりなってしまった。

もちろんこれだけが原因ではないだろうが、筆者は「流れ」を止められた事は少なからず星稜の勢いを止められてしまったと肌で感じた。

そして運命の13回裏、星稜は高校野球史上初の逆転サヨナラ満塁ホームランにより、負けてしまった。ライトポールに当たったボールの音によって数秒の静寂へと止められてしまった星稜高校の応援の「流れ」。数秒間の絶望が過ぎた後、その「流れ」は最後までがんばった選手を称える「流れ」へと変わった。

やはり、高校野球は面白い。そう実感した100回目の夏でした。


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