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娘とポケモンガオーレ ~ゲンシカイキコース・その2~

“枝の先は確かに危ない。だが全ての実はそこにある”
― ロビンシャーマ ―

【令和元年】

令和がついに始まった。『和』が含まれているからなのか…なにか物凄く時代が移り変わるのだなとは…意外に感じない。

冷めているのか、和という聞きなれた言葉の響きに、どこかワクワクどきどきしないだけなのか。

令和元年と言えども、ゲンシカイキコースは変わらずそこにある。令和元年特需で本日だけは大盤振る舞いされないのか気になるところである。

もうじき…平成生まれが古いと言われる時代になるのである。

もっぱら令和に感傷的にはならないが、令和になってもポケモンガオーレを無事にやりに行けるのかということの方が気がかりである。

そう…令和だからと言って、嫁からの恩赦は期待できないのである…。

【寛恕】

令和になってもポケモンガオーレに行きやすいように、日頃から時間があれば、食器片づけ・洗濯などの出来る事はして、株価を下落させない努力はしてきているつもりである。

あるのだが・・・嫁証一部は非常にシビアな値動きであり、これだけ読みにくい相場はなかなかお目にかかれない様相を呈しているのである。

令和元年初日は渋いタカラトミーもバンバン出してくるのではないかと、またまた勝手な都市伝説を思い浮かべるのである…。

ゲンシカイオーガがやはり欲しい…なんとしても欲しい…手に入れたい…

またもやタカラトミーの思惑に見事に嵌る。

この気持ちはミュウ・ミュウツー以来の気持ちではなかろうか…。

しかし…今日の嫁の醸し出す空気感は…

今日は当然行かないよね?

すごいオーラがビンビンに出ている…。

いや…そんなオーラはそもそもないのかも知れないが、やはりどこか自分自身に疚しい気持ちがあるのかも知れない…。

長年連れ添った夫婦ならではの、この熟成された空気を読み合う感覚は、かの名作…ポートピア連続殺人事件以来の集中力を試してくるのである。

*15

14時を回った頃に、なぜか嫁証一部取引所が休憩に入ったのである。これは軽く2時間はサーバーダウンするかも知れない…。

これはチャンスである。

行くしかない

神が与えてくださったチャンスだと脳内で鐘がなる。

今日は無理だなと油断してパジャマのままであったが神速で着替える。

もし娘と帰宅した時に取引所サーバーが復旧していたらどうしようか…。

言い訳を考える…

そうだ…今日は令和1日目の祝日ではないか。

これで押し切るしかない。感慨も感傷的にもならなかったがHAPPY NEW ERA!

お祝いムードだ!

ご祝儀相場があるではないか!

娘の水筒にお茶を入れ、娘のお菓子も持った、ガオーレパス、ディスク…

戦闘準備は整った。

【ア・バオア・クー】

前に一組の親子がいる。

デオキシスコースで遊んでいる。しかし確保に失敗している…。やはり今日も敗戦濃厚な雰囲気がガオーレの函から漂っている…。

しかし今日は懸ける想いが違う

ギレン=ザビ総帥がデギン=ザビ公に言い放った言葉が思い起こされる
『ま、勝ってみせます。』

一戦目…ゲンシカイオーガ、ゲンシグラードンに遭遇するが共にモンスターボール…。

モンスターボールは嫌いではないが…

『あえて言おう、カスであると!』
そお今日の気分だけはギレン=ザビが宿っている。

2戦目…ゲンシグラードンに遭遇する。ハイパーボールだ。

しかし…逃げられてしまう…。いつものパターンだ。最近は全く確保できる気がしない。タカラトミーに不信感を覚えそうになる。完全な八つ当たりである。

3戦目…1回目、2回目、3回目遭遇に失敗し、戦わずにセンターに戻る。

最終戦…これでだめならコロニー落としぐらいの衝撃であろう…。

引退も視野に入れなければ…。

3回目にようやく遭遇…ゲンシカイオーガ…。娘には最終戦と伝えてある。反応の悪いボタンを一生懸命に押す娘。なんとも可愛らしい。この反応の悪さで興ざめしたのか、一向に誰も来ないので、このゲームセンターは全然出ないのかなと不吉な予感が首をもたげる…。

娘が動画撮影をしてと言うので、3回目から撮る。最終戦は、相性は気にせず娘が好きなミュウのZ技で仕留める作戦だ。オリジンズスーパーノヴァが炸裂するがもちろん倒れない…。続けてアルセウスのターンで、なんとミュウツールーレットが炸裂する。

ミュウにさらにミュウツールーレットにアルセウスで倒せるなんて、何か流れが美しいではないか…ビグ・ザムの儚い運命のようだ…。

これで確保出来なくても、娘は納得のラストマッチではないであろうか。

さぁ…ゲットタイムだ…。しかしここ最近全くでない先輩登壇には期待できないが…と想ったのも束の間…。

き、き、き、来た!!!

『先輩きた!!』娘が叫ぶ
『撮影してるよ!』声が弾む

マスターボールを投げる時の娘の笑顔といったら…。なんていい顔をするんだ…。

排出されたディスクを眺める…なぜこんなに漫画チックなのだろうか?と、想ってしまう。しかも下の方の印刷がおかしい…日焼けしているようだ。タカラトミーに送る事も一瞬考えたが、やめておこう…戻ってくるのに一か月はかかる。その間使えないのは痛すぎる。早く…こんげんのはどうを繰り出さねばならないのだ。

本当にありがとう先輩…。ディアルガ以来だ。出来ればもっと早くマメに出ておいでね…と、願うばかりである。

帰宅したらサーバーが復活していた事は衝撃の恐怖感であった…そう、福井恐竜博物館の動く恐竜に睨まれた時と同じ感覚である。しかし今回は娘の動画再生祭りで何とかしのぎ切った事は言うまでもない。

“ジーク!ジオン!”

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