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娘とポケモンガオーレ ~デオキシスコース~

“RISKとは、自分が何をやっているのか分からない時に起きる”
― ウォーレン・バフェット ―

【騎虎】

世間はゴールデンウイークだというのに…ポケモンガオーレに…娘といそいそと励むパパはどのぐらい存在するのであろうか。

嫁証一部取引所では『パパ銘柄』はここ数か月、右肩断崖絶壁下がりの様相なのは言うまでもない…。

既に『監理銘柄』である。

しかし、娘との絆はサトシゲッコウガ並みに強い。

今日も絆の力を漲らせて、ポケモンガオーレに行く算段を整える。

お気に入りのブレンドコーヒーをドリップし、カフェインを虚ろな躰に注入する。さながらカフェイン中毒のようであるが・・・コーヒーの薫りに癒される行為が好きだ。

ポケモンガオーレと同じ中毒性があるのもコーヒーの魅力であろう。

状況は『嫁証一部監理銘柄』なので当然休日は朝の食器洗いから朝の洗濯、そして掃除機も済ませ、善行を実践する。

雲外蒼天…審査には万全を整える。

『妻は旦那がしてくれた良い事は全て忘れ、嫌な思い出は全て覚えている。』との不吉な言葉が思い起こされるが…気にしないでおこう。

娘が『ポケモンガオーレに行きたい』と言うまでじっと待つ。そう気持ちは徳川家康。

あせってパパから言えば、監理銘柄には致命傷であり嫁証一部上場廃止は間違いない。

ここは黙って娘の第一声を待つのが得策であろう。家事に精を出しながら…娘初号機の起動を待つ…勝負はそこからである。

気分は特務機関NERVかイギリス特殊空挺部隊SASさながらの…マスターキートンか。

さぁ娘よ!いつでも叫ぶのだ!
『ガオーレしたい!』と。

【鬼謀】

ようやく…ようやく…上場廃止は免れて、何とかポケモンガオーレに出向く機会をゲットした。

株主総会は大炎上であったが、嫁主に迷惑をそこまで掛けていないはずであるので…そう…そんなに迷惑なはずはないのである…ないのであるのだ。娘の面倒も見ている。娘と楽しく遊んでいる。

逆風株主総会を受け流す役員の様相である。言うならば、費用対効果は抜群なはずなのである。

風評被害なのではないか・・・

世間を賑わす彼のような背信行為はしていない。

力強く勇気を奮い立たせ、ポケモンガオーレに挑もう。

何も疚しいことは無いではないか。

しいて言えば、ポケモンガオーレ実践回数を・・・過少申告しているぐらいか…。

これに関しては、街の女性も街頭インタビューで年齢を聞かれたら2、3歳は必ずサバを読むというデータもあったように想う。

気にしないでおこう・・・過少申告は大人の常套手段だ。税金をごまかしているわけではない。

【帷幄】


宇宙人と息子は言う。
娘は気持ち悪いという。
その名はデオキシス。ノーマルフォルムらしい。

嘘か真か…そいつは脳みそが無い宇宙からの飛翔生物…と、息子が言う。

まったく捕獲する気が…湧かない。夜道で出会いたくないポケモンナンバーワン。これをモンスターボールに収められるポケモンであると言うことも不思議で理解できない。

最近はそのモンスターボールの構造が非常に気になる。

ゲンシグラードンを収めた後の重量もけっこう気になる。雰囲気はホイポイカプセルと構造は似ているのかも知れない…。けっこう大きなボールなので何個も持ち歩け無さそうで不便そうである。その点はホイポイカプセルの方が有利なのか。

娘『デオキシスコースやる』
『え?いる?欲しいのデオキシス?』
娘『うん』
『いやいや、必要ないんじゃない??』
娘『やる』
『いるか?気持ち悪いしいらんでしょ?』
娘『や・り・た・い・の』
『あ、あ、そう…』

ここでこじれ、頑固一徹娘が顔をだすと面倒なので、早々に白旗を掲揚する。

白旗の掲揚の仕方とタイミングは嫁との軍事演習で習得済みであり、これに関しては、おそらく家庭内白旗掲揚選手権国内第3位レベルであろうか。

白旗は早すぎても遅すぎても良くない。

孫氏の兵法を愛読して正解である。これは家庭でも応用可能である。むしろ平和ボケNIPPONにおいては家庭が主戦場なのかもしれない。

【デオキシスコース】


今日は3セットまでしかしないからと娘に言ったので、内心はゲンシグラードンのみをゴルゴ13のごとく狙いに行って欲しいのだが…依頼者のオーダーは拒否される結果となる。

『ん~…デオキシスねぇ…』
娘を嫌な気持ちにさせたくないが、心の声が思わず出てしまう…。

嫁の前では心の声は絶対に漏れぬよう、天の岩戸レベルに封印能力を高めるが、娘の前ではぐだぐだ言いながら100円を投入する…許せ。

そういえば令和のお金はいつから出回るのであろうか…。平成31年は昭和64年ほどは価値はないのか…と想う。

娘『パパはデオキシス嫌なの?』
『いや、いいよいいよ、デオキシスには何が効果あるのかなぁ~』どうせ取れないから、適当な会話になる。
娘『ゴーストタイプ!』
『ゴーストタイプって今日持って来てたかな~?』どうせとれないから、興味が無い会話になる。

そんなこんなで、いざ第一回戦が始まる。
まぁ…来ないよな…。お金の無駄か…。

『お!いきなり!』
娘『うわ!出た!デオキシス!』
一回戦から意表を突く登場に☆3程度を育てるつもりが内心慌てる…。

上の空で聞いていたので改めて『何を出す?』
娘『ダークライとフェローチェでやる!』
『あ、そう。それが効くの?』
娘『こうかばつぐん!』
『へー』
娘『動画撮って!』
『お、おう…』

一回戦でどうせ取れない上に、ダークライのZ技で倒してしまうと気合すら貯まらないのでここは快足フェローチェで先制攻撃しつつ、次鋒にダークライという作戦に出る。

やはりフェローチェは早い。

しかし…デオキシス…お前の事は全く知らないが、君もかなり快足だよね…と心で会話する。

娘がフェローチェの攻撃後の仕草を真似る…。

次鋒ダークライをぶつける作戦の前に…なんとデオキシスがすでに攻撃に入る。なんて早い。

サイコブーストが放たれる…。

おぉ…生サイコブーストはかなりかっこいいんじゃない?

欲しい…心の中で物欲が目覚める。

しかし、サイコブーストを放つとき、なぜ右側面から正面を向くシーンしかないのか…おいおい…右側面・左側面に移ってからの正面にしろよ!と、静かに演出に注文をつける。

防御は・・・×

あえなく我がフェローチェが一撃で倒される…。
『どうする?何を出す?』
『ん~』
悩む娘が、これまた可愛らしい。

しばらく思案した娘がオリジンアルセウスを投入する。
効果は関係なさそうであるが、オリジンアルセウスが好きなのであろう。

次鋒ダークライのZ技、ブラックホールイクリプスが炸裂する。いつ見てもかっこいい。

なんとかGETチャンスを迎えるが、期待はできない。ついこの間、ゲンシカイオーガに先輩は出たので、当分は来ないであろう…。

娘よ自力で頑張るしかないのだぞ・・・

さらに娘よ!パパはけっこう欲しいぞ!頑張ってくれ!
娘の斜め後ろで頼まれた動画を撮影しながら、内心祈りまくる。

娘『うわ!出た!』
『・・・ぅわ~』声が続かない…素直に嬉しい。
娘『ヤッター!』

そうゲンシカイオーガに続きまたもや先輩がステージに駆け上がってきてくれたのである。

排出されたディスクを眺める…。

パパ『ほ~、いいねデオキシス!早いしかっこいい!』
娘『もう最初に取ったから後は出ないよね?』

興奮冷めやらぬパパより今後の展開を冷静に判断し、ポケモンセンターにさっさと戻る娘。

幼稚園児とは思えないしっかり者さんである。
家庭内パパ居場所率を上げていかねばならぬ・・・

“生き残る種とは、最も強いものではない。最も知的なものでもない。それは、変化に最もよく適応したものである。”
― ダーウィン ―

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