見出し画像

韓ドラ★Kシネマ 主役は<漢江>だ!「ああ、私の幽霊さま」「彼女の私生活」の巻

NO THE WAR!
NO PUTIN!
NO ABE!

トップ画像)漢江の噴水ショー(コネルWEBサイトより転載させていただきました)

<漢江百景>――その昼と夜の顔

韓ドラやKシネマといえば、財閥・嫉妬・裏切り・復讐・バイオレンスといったドロドロ系が定番と言われますが、ここで忘れちゃいけないのが、浮世の憂いをよそに、滔々と流れる<漢江>の存在です。

漢江――한강 ハンガン hangang カンコー……いろんな表わし方や読み方がありますが、韓国の人たちにとって、漢江とは、観光名所であり、デートやジョギングや家族連れの憩いの場。 

ドラマの世界でも、たとえば、ファンタジックなラブ・コメの傑作「ああ、私の幽霊さま」(パク・ボヨン、キム・スルギ、チョ・ジョンソクのトリプル主演、全16話、tvN 2015年制作)に、パク・ボヨンとチョ・ジョンソクの二人がサイクリングをする爽やかなシーンが出てきます。

「ああ、私の幽霊さま」は、漢江に身投げした(?)若い女性が、この世に未練があって昇天できず、西洋料理人をめざすコケティッシュな女性に憑依して恋愛騒動を巻き起こすというラブコメ&サクセスストーリーですが、ファンタジックながらリアルで切ないエンタメに仕上がっている。

でも、夜になると、漢江は、自殺の名所やときには殺害の現場へと、がらりと変貌します。

ここで、「彼女の私生活」(全16話、tvN制作、2019年)を観てみます。

「彼女の私生活」は、アイドルの追っかけという隠れた顔をもつ30代独身の美術館のチーフ学芸員が、柔道の金メダリストで幼なじみの柔道館長と、アメリカから新たに美術館長として赴任してきたイケメンのアーティストとのどちらと結ばれるのかというラブロマンスと家族愛の物語。

この漢江にかかる橋の場面は、柔道館長役のアン・ボヒョンが、美術館学芸員役のパク・ミニョンの前に、新任美術館長役のキム・ジェウクが現れ、恋に破れたと思いこんで、傷心のすえに“自殺の名所”である大河に身投げしようかと逡巡する場面です。

 では、これから韓ドラとKシネマに映し出される<漢江百景>の数々を観ていきたいと思います。

 (不定期でつづく) 

 【後記】
(前回の)韓国のSPドラマ「最期の食事を作る女」を観たあと、韓国のドラマやシネマを見直してみたところ、死刑囚の人権死刑制度そのものの是非をめぐる社会問題が、数多く取り扱われていることに驚かされました。

たとえば、「クリミナル・マインド:KOREA」(2017年)や「模範刑事」(2020年)は、死刑制度と死刑執行(韓国は20年以上も執行していない)をめぐる葛藤を真正面から描き、観る者に、あなたはどう感じ、どう考えるのかと問いかけてきます。
きっと、韓国では世論を二分するほどの大きな社会テーマなのでしょう。

死刑制度が存続する中東諸国でも、国内上映禁止の“死刑映画”が次々に製作され、世界に公開されていますが、日本ではどうでしょうか。

映像作品としては、岡本愛彦演出のC級戦犯(※)ドラマ「私は貝になりたい」(1958年TBS局制作、翌59年橋本忍監督で映画化、2008年中居正広主演でリメイク)、大島渚監督の映画「絞死刑」(1968年公開)がよく知られていますが、日本のTVドラマで最近描かれることはまずありません。

 (※)日本敗戦の1945年以降に裁かれた戦争犯罪人のうち、東條英機ら戦争指導者は<A級戦犯>、現地で戦争犯罪を命令した指揮官は<B級戦犯>、捕虜などを直接殺害もしくは虐待した兵士・民間人は<C級戦犯>とされた。

日本にも存続する死刑制度をじっくりと考えてみてから、死刑囚の人権はもとより死刑制度の是非を<note>に綴ってみたいと思っています。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?