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【熱闘スタジアム#1】野球伝来150年~横浜ベイスタの優勝を夢見て

【トップ画像】今も部屋に飾っている1998年の横浜ベイスターズ優勝記念ポスター(上半分の一部)。胴上げされているのは、就任1年目の権藤博監督。

(↑)横浜ベイスターズがセ・リーグ制覇を決めたのは1998年10月8日、阪神甲子園球場。権藤博新監督のもと、“マシンガン打線”と呼ばれた<石井琢-波留-鈴木尚-ローズ-駒田-佐伯-谷繁-進藤>はこの日もよく打ち、先発の斎藤隆投手が7回まで5安打と力投(自ら2打数2安打)し、絶対的なクローザーの“ハマの大魔神”佐々木主浩投手が谷繫元信捕手とバッテリーを組み、2回を1安打で締めて、阪神タイガースを4-3で破った。 それまで何度も横浜スタジアムに家族そろって応援に行っていたが、甲子園はさすがに遠く、優勝の瞬間を見届けられなかったのが、今でも心残り。 なお、セ・リーグ優勝の勢いを駆って、日本シリーズでも西武ライオンズを4勝2敗で破り、大洋ホエールズ時代から実に38年ぶりの日本一に輝いた。(トップ画像のポスター下半分)

「決戦は金曜日」のはずだったが

今年はニッポンに野球が伝わってから、ちょうど150年になるという。
その記念すべき年に、24年ぶりの横浜ベイスタ―ズ優勝を夢見る人は、星の数ほどいるのでは。
 
そのファンの悲願にこたえ、横浜ベイスタは、ほぼ絶望的と思われた首位との17.5ゲーム差を連勝につぐ連勝で縮め、4ゲーム差まで猛追していた。
 
ところが、8月26~28日のヤクルトとの首位決戦は、3連勝の目論見がものの見事にはずれ、1ゲーム差に詰め寄るどころか、逆に7ゲーム差に広げられてしまった。

(↑)7月には首位ヤクルトから17.5ゲーム差まで離されていたが、8月21日の時点で5ゲーム差に詰め寄った――と番組出演者は興奮していたのだが……。(CS-フジテレビONE「プロ野球ニュース」より)
(↑)ヤクルトとの首位決戦の3連戦、終わってみれば、ふがいない結果で幕を閉じた。
(CS-フジテレビONE「プロ野球ニュース」より)

ふりさけみれば真黒にぞ……ヤクルトとの3連戦初戦は、あのドリカムのヒット曲「決戦は金曜日」のフレーズ「♪戦闘の準備はぬかりない退がらない」の覚悟で臨んだはずなのに、次のような残念な結果に終わってしまった。
 
《8月26日・第17回戦》
――先発の大貫投手は、高温多湿(*1)にやられたか、マウンドに上がったばかりだというのに、額から首筋にかけて大粒の汗が光り、決戦初戦の緊張もあったのだろう、どこか体調がすぐれない様子で、立ち上がりからボールが高めに浮き、甘いコースをことごとく打たれて、5回途中で降板。その後の継投にも失敗(*2)し、戸柱の本塁打も及ばず負けてしまった。
 
(*1)たとえば、8月3日の対広島戦、ハマスタは夕方5時になっても気温が33℃もあった。すり鉢型の底にあるグラウンドの地表温度はもっと高かったにちがいない。
 
(*2)大貫投手が降板したあとの継投は、宮國-三上-中川-坂本だったが、先発ローテーションの坂本投手を中継ぎに回すなど、疑問が残る試合運びだった。
 
《8月27日・第18回戦》

(↑)8月27日、ヤクルト首位決戦の2戦目は、石田投手を3回で降板させ、ガゼルマン(来日初登板)中川-宮國-坂本-平田と、ほぼ前日と同じ継投策をとった。
(CS-フジテレビONE「プロ野球ニュース」より)

――先発の石田投手は、ピンチを迎えながらも0点に抑えるまずまずのすべり出しだったが、目立たない存在だったキブレハンに3回にホームランを打たれてから、ガタガタと打ち崩され、終わってみれば、ピッチャーを6人も費やし、16―4の大敗。
さすがの三浦監督も、怒りをこらえてのコメントを残し、球場を去った。

(↑)勝ち試合後なら、ロッカールームや廊下から宴会!?と思わせるような選手たちの歓声が聞こえてきて、そのたびに苦笑いを浮かべる三浦監督だったが、この大敗の夜に限っては「(ピッチャーが)打たれすぎ」とおかんむりで、早々にインタビューを打ち切った。
(CS-フジテレビONE「プロ野球ニュース」より)

ガゼルマン投手の起用に疑問あり

ここで、“三浦采配”に常勝のおごりがなかったか――とりわけ継投策について考えてみたいと思う。
なかでも、この試合で初登板したガゼルマン投手の起用だ。
 
ただでさえ、疲れが蓄積する夏場を果たして乗り切れるかどうか、それが長いペナントレースをたたかう先発投手陣の最大のキー・ポイントと言われる。
 
だからこそ、トレード・移籍期限ぎりぎりに入団したガゼルマン投手は、当然、先発要員として喉から手がでるほど欲しい人材だったはずだ――とファンならそう思った。

先発ローテーション入りを期待されていたはずのガゼルマン投手だったが。
(CS-フジテレビONE「プロ野球ニュース」より)


DeNAに新外国人投手 球団は16日、大リーグ・カブスのロバート・ガゼルマン投手(28)と契約を結んだと発表した。メッツ、カブスで大リーグ通算20勝18敗15セーブ、防御率4.60の右腕。推定年俸は4千万円」

(2022年7月17日付朝日新聞)

結局、ガゼルマン投手はわずか1回で4本のヒットを打たれ、3三振を奪いながらも自責点3でマウンドを降りた。
 
さぞや、ガゼルマン投手、大リーグ出身のプライドを傷つけられ、帰国してしまうのではないか、とさえ心配したが、平均年俸は低くても、明るくチームワークのいい横浜のカラーにすっかり溶け込んでいる様子だったので、ひとまずホッとした。

(↑)すでに大差をつけられているというのに、22号本塁打を放った選手のいつもの<デスターシャ>佐野選手がYouTubeから取り入れた本塁打後のポーズ)はいいとして、出迎えたガゼルマン投手のこの笑顔はなんだろう!?(CS-フジテレビONEのライブ中継より)
(↑)選手につづいて9号本塁打を放った宮崎選手の両手で口をはさむ妙なポーズにこたえるガゼルマン投手(左手前の背中姿)。おそらくロッカールームで事前に打ち合わせたことをうかがわせる光景。すでにチームの大敗は濃厚ではあったが、韓ドラのセリフに登場する「ケンチャナヨ!」のように、この先まだ「頑張れる、だいじょうぶ!」と確信した。
(CS-フジテレビONEのライブ中継より)

《8月28日・第19回戦》
――先発は、一時中継ぎに回っていた京山投手だったが、失点しながら速球で押すピッチングで、“勝利の方程式”のリレーにつなぎ接戦に持ち込んだ。
しかし、“村神様”とファンからあがめられるヤクルトの天才バッターの一撃で、あえなく夢はついえてしまった。

(↑)ヤクルトの村上選手は、敵ながらあっぱれの活躍だった。横浜との首位決戦の3連戦で、
<11打数9安打4本塁打9打点>と驚異的な数字を叩き出した。特に8月27日の7回に、
150キロ超えの豪速球で内角低めを突いたエスコバー投手のボールを、横浜ファンで埋めつくすライトスタンド最上段に軽々と運んだ一撃はホントにすごかった。
(CS-フジテレビONE「プロ野球ニュース」より)
(↑)この首位決戦最終戦になって、ようやく、“勝利の方程式”の継投策をとった。なぜ初戦から、入江-エスコバー‐伊勢-山崎の必勝パターンをとらなかったのか、とファンとしては悔やまれたが、その理由(わけ)を知ったのは、あとになってのことだった。
(CS-フジテレビONE「プロ野球ニュース」より)

ヤクルトとの首位決戦で、なぜこのような継投策をとったのか、そして<8月の横浜快進撃>とはどのようなものだったのか、それらについては次回まとめてみたいと思います。
 
(つづく)
 
【後記】
8月30日(火)、中日ドラゴンズとの試合を横目で見ながら書いていたら、今永~入江の好投と牧~オースティンの本塁打などで、どしゃ降りの雨の中ではあったけれど、6-0と快勝!
なによりも、オースティンの代打ホームランが嬉しく、チーム全体がさらに活気づくのがTV中継画面から伝わってきた。この<オースティン効果>については次々回で触れてみたいと思っています。


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