juzou

肘の間接を自分で外して気絶した経験を持っています。

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肘の間接を自分で外して気絶した経験を持っています。

最近の記事

ジェーン・ドゥ

 子供の頃の思い出には、自分の事を後ろから見ているような感覚のものがいくつかあって、そういった記憶には首を傾げてしまうような体験が付いて回る。  猛暑日という言葉をまだ知らなかったある夏の日に、自転車のペダルと熱くなったアスファルトを交互に蹴り飛ばしては、鉄板のような地面で掌を焼いていた。この間までは、補助輪がバランスをとってくれたおかげで僕の皮膚とアスファルトの間にはほんの少しの軋轢だってなかったのに。  突き抜けるような青い空に浮かぶ奥行きのある雲がこっちを見下ろす。

    • キリトリ線

      ある日、爪の先が割れていた。 どこかでぶつけたり、引っ掛けた記憶もなく、ずっと前からそうであったかのように痛みもなかった。 生え際から爪の先までまっすぐに伸びる白線は、図工のときにチョークで描いたキリトリ線のように見えた。 今まで気にしていなかったことに気がつく時は、僕にとって物事が良く無い方向に進んでいる時だった。 肺に穴が空いた時も、付き合っていた子から別れを告げられた時も。 今回もその例に漏れず、新しいキリトリ線は普段の生活を不自由にしていった。今までならなんて事の

      • 心の緑黄色野菜

         この店よりも人との距離が近い飲食店を僕は他に知らない。  日本でも指折りの歓楽街を少し離れ、大通りから続く路地の終着点にぽつんと浮かぶ赤い提灯。店内には釣り針のようなカウンターに沿って背もたれのない丸椅子が十席ほど置いてある。席と席の間隔が空いているところもあれば、ぴったりと寄り添っていたり、さっきまで座っていた人間模様がそのままに保存されているかのようだ。  ここは兎に角、狭い。左右はもちろん、すぐ後ろに聳え立つ壁が僕たちをカウンターから離れることを許してはくれない。

        • 思い出のオタク屋

          みなさん青春の思い出の店ってありますか? 近所の駄菓子屋、思い出のコンビニ、可愛い店員さんがいた本屋など人それぞれに思い出の店があるはず。 私にももちろんあります。そう、オタク屋です。 なに言ってんだこのすっとこどっこいと思われている方は、まあ落ち着いてください。 小学生の頃、近所のラーメン屋の隣に突如現れたその店は、ショーウィンドウの真正面にエッチなイラストの箱を飾る青少年の教育上とってもよろしくないお店だったのです。 僕にメガネお姉さんの性癖を叩き込んだのは間違い

        ジェーン・ドゥ

          哲学と初診料

          名は体を表すって言いますよね。 名前には意味があるんです何にでも、ある哲学者曰く世界は言葉で出来ていて、言語化できないものは存在し得ないんだそうです。 薬もそうです。 成分だったり、症状にかこつけた覚えやすい名称であったり様々ですが、名前には意味が存在しているのです。 ところで僕は昔から体にすぐ穴が開いたり裂けたりします。 病気には強いのにふしぎ。 先日もメリメリィという音が聞こえるかのような排泄を行ったためにトイレットペーパーをさくら大根ばりに赤く染め上げてしまいま

          哲学と初診料

          欲望の自給自足はできるのか

          自給自足の生活って最高ですよね。 すみませんこれはAGAサイクルの画像であり、自給自足ができない典型パターンの画像を誤って添付してしましました。 謹んでお詫び申し上げます。 話を戻しましょう。 時給自足が出来れば、極論ではありますが、働く必要などなくなります。 殆どの場合、我々が働くのは生活の糧を得るためであり、働く事が好きだという人はごくわずかな比率に落ち着くのではないでしょうか。 かく言う私も、恥ずかしながらオカズを得るためだけに労働に従事しているわけです。

          欲望の自給自足はできるのか