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自主ゼミ旅行の記憶 その2

もう10月なのに、なんなんですかこの暑さは。夏にアンコールの拍手をした記憶はないのにいつまで舞台に上がるつもりなんでしょう。いつになったら秋服を着させてくれるんだ、という気持ちです。今の時期は夏の疲れが出やすいそうなので、みなさんも体を大事にしつつ過ごしてくださいね。


 さて、前回中古自主ゼミのゼミ旅行について書くよとお約束していたので今回は自主ゼミ旅行の記憶について語りたいと思います。


 今回は主に源氏物語に関する場所を巡ったのですが、中でも印象に残ったのは風俗博物館です。

マンションのワンフロアにあって教室1部屋分しかないくらい本当にこじんまりとした博物館なのですが、あのスペースだと思えないくらいそれはもうみっしりと情報とときめきが詰まってるんですよね。


 風俗博物館の説明は、以下に公式サイトからの引用を貼っておきます。


「風俗博物館は古代から近代にいたるまでの日本の風俗・衣裳を実物展示する博物館として昭和49年にオープンしました。平成10年には、これらの装束が具体的に生活の中でどのように使われてきたかということを御覧頂くために、「源氏物語~六條院の生活~」と題してリニューアル展示し、『源氏物語』の様々なシーンを選び、具現展示を行っております。

そして平成24年には平安初期を題材とした『竹取物語たけとりものがたり』を1/4展示に加え、平安中期を題材とした『源氏物語』の展示とともに、約400年という長きに渡った平安時代の服飾の流れを御覧いただく為の展示へと充実されました。」

風俗博物館 公式サイトより


雛人形より少し大きい程度でしょうか、サイズはお人形くらいなのですが、入った瞬間に圧倒されました。


 簡潔に言うと、『源氏物語』の世界が広がった空間でしょうか。着物はもちろんのこと、調度品の細部の細部までこだわって作られているのが分かるような再現度の高さと美しさです。それぞれ『源氏物語』の巻の場面を切り抜いて再現した展示なのですが、一つの展示につき色んな方向から眺められるのも魅力的でした。

というのも、巻物の絵って一つの画角からしか眺められないですよね。でも風俗博物館の展示は、右から、左から、下から、はたまた上からと色んな方向からじっくり眺めることができるので、まるで物語の中に入り込んで光源氏達の様子を覗いているような感覚になるんです。御簾の向こうに透ける着物や、鳥の尾羽のように黒髪が広がっているのを見ていると、なんだか自分が女房になって源氏達を覗き見しているようで(犯罪ですか?)ドキドキしました。



 風俗博物館は写真撮影可能なので写真を掲載したくて沢山写真を撮ったのですが、こちらに掲載するにあたり権利の問題があったため残念ながら写真は載せないでおきます。でも本当に素敵なんですよ。写真でも綺麗なのですが、写真だと面白さが伝わらないかと思います。現地に行って体感するのが一番楽しい。



 一年生の時に林先生の授業で写真だけ見ていたものの、色や雰囲気などが写真で見るのと全く違って感じられます。特に季節のかさね色目の展示コーナーの色合が写真と現物で違って面白かったです。梅かさね、桜かさねなどの種類があって、着物の表と裏地の色を活かして重ねる事によって重ねた色やグラデーションが美しいのですが、実物を見てみると本当に桜や梅の花のようですごく美しいんです。きっと色の再現にもこだわったのだと思いますが、こんな美しい着物のコーディネートが見られる平安時代の宮中はさぞ美しかったのだろうなぁなんて思いました。

実際に目にすると作中で出てきた時にパッと色が思い浮かびやすいですし、見られてよかったです。他にももっと語りたい事が沢山あるのですが、いやぁ楽しかったなぁ。


 同行してくださった林先生が「夢のような場所なんです」と目を輝かせて嬉しそうにおっしゃっていましたが、本当に楽しかったです。

 日本文学科の学生として中古文学を勉強してきたからこその面白さや楽しさ、やはり知識があると世界は面白く感じられますね。なんならもうちょっとしっかり復習すればよかったなと後悔しました。

中古文学へのときめきを取り戻すと共にまた源氏を読み直したいなという気持ちがわいてきて、とてもいい機会になりました。後期も頑張ります。


 京都に行く機会もそうないかもしれませんが、駅からも比較的アクセスしやすい距離にあります。行ける方は是非行ってみてください。

では、また。

さゆり