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オリックスバファローズは球場を満席にするつもりが無い

このnoteは、8月24日に開催された「Sports Analyst Meetup #4」の松本LTを文章化したものです。

LTタイトルは「しっかりしろよオリックスだけどやっぱりオリックス」

mixiに「宮内会長(83歳)没後は手放す可能性あり」とまで言われる万年Bクラス球団・オリックス。そんなオリックスにしっかりしろよ!と喝を入れるLTでございました。

基本的には宮内会長以外は野球に興味が無いので、どうせこのnoteが広まっても、なんとも思わないのがオリックス。もしmixiが球団を買収したら、僕をマーケ担当で呼んでください。


オリックスバファローズとはどんな球団か?

1996年のリーグ優勝、日本一以降、1度もリーグ制覇していない球団です。つまり23年間リーグ優勝しておらず、セパ両リーグ通じてもっとも優勝から遠ざかっています。

2018年の観客動員数をご覧ください。1位の巨人、2位の阪神、間を開けてソフトバンク、さらに間を開けて広島、中日、DeNAと続いてオリックスは12位でした。

ちなみに過去10年間の観客動員数総計を見てみましょう。実は、オリックスは第9位でした。さらに下位をヤクルト、ロッテ、楽天が占めます。

ちなみに西武、DeNA含めた6球団は約1400〜1600万で目くそ鼻くそなので2018年はたまたま…という見方ができるかもしれません。

表はヒートマップで表現。観客数が多いほど青、少ないほど赤で表示。こう見ると実は2009年から2018年にかけて全体的に観客数は増えている。

そこで見方を変えます。

各球団の本拠地球場は、収容可能人数が異なるのはご存知でしょうか。オリックスの本拠地・京セラドームは36,416人に対して、横浜DeNAの本拠地・横浜スタジアムは32,170人です。

そこで、各球団のホームゲームの収容率を計算してみました。

ホームゲームの観客数を、ホームゲーム開催球場の最大収容可能人数で割ります。中には地方球場で開催されることもありますが、その球場の最大収容可能人数もちゃんと求めています。

その結果は以下の通り。

動員数のランキングとは大きく異なる結果となりました。

1位は広島、続いてソフトバンク、巨人、DeNA、これらは95%台で圧倒的な高さです。続いて阪神、ヤクルト、中日…と続きます。

そして圧倒的な最下位のオリックス。

先ほど10年分の観客動員数総計を表示しましたが、同じく10年分の観客収容率を求めてみました。総計は実際には10年分の平均です。

圧倒的な最下位のオリックス…! どうなってるんですか。


オリックスの観客収容率低い問題

収容率が低いのはオリックスが弱いから。強くなれば自然と観客は増える!そんな声が球団内部から聞こえてきそうです。

そこで、2009年以降の各球団の勝率と収容率を散布図で表現します。10年分×12球団ですから120点が表現されています。

なるほど、確かにこの散布図だけ見れば、勝率が上がるほど収容率も高まっているようにも見えます。ちなみに、その傾向から大きく外れる勝率0.30台の点は2017年に球団史上最多96敗したヤクルトだ…!

では、球団毎に回帰直線を引いてみましょう。

10時点しかないのでアレですが、勝率と収容率に相関がありそうなのはDeNAと広島、西武、中日ぐらいで、後のチームは強かろうが観客席は埋まらないし、弱かろうが観客席は埋まります。

つまり全体で見た「勝率と収容率の相関ありそう」は、単なるシンプソンのパラドックスだったのです。

シンプソンのパラドックスとは?
母集団での相関と、母集団を分割した集団での相関は、異なっている場合がある。つまり集団を2つに分けた場合にある仮説が成立しても、集団全体では正反対の仮説が成立することがある。

球団の強さと収容率の高さを超ザックリまとめると、以下のような四象限になるのではないかと考えます。


地味にすごい!楽天イーグルス

セパ両リーグの順位別収容率を箱ヒゲ図で表現します。

中央値は1位が高く、それぞれ2位、3位と続きますが、4〜6位はほぼ同列になるのが面白いところ。加えて、2位〜5位のMIN値もほぼ同列。さらに1位〜4位の第3四分位点とMAX値の幅もほぼ同列。

見て欲しいのは6位の第3四分位点とMAX値の幅で、結構収容率が高いのです。その殆どはセリーグなのですが、1つだけパリーグの球団があります。それが2018年楽天です。収容率は79.23%!

そもそも楽天は2009年には観客席は22,098人分しかありませんでしたが、ボールパーク構想や、リーグ参入時の「28,000~30,000人規模にまで段階的に改修する」という約束を実現するため、段階的に施設を改修して2016年には30508人にまで増席しています。

だったら収容率が下がってもおかしくないのですが、逆に上がっています。これは楽天側が「座席増えるならもっと観客を増やさないと!」と、意味のあるイベントを開催したからだと思います。

ちなみに、2019年7月や8月のイベント情報を見てみましょう。

「僕のヒーローアカデミア」コラボや「ダイヤのA act2」コラボなど、単なる野球ファン以外を巻き込む球場イベントが盛りだくさん!

ビール半額デーとかも楽しそうですよね。


ちなみに、我らがオリックスは。

7月何も無い日多くない…?

そこでオリックス主催試合のうち、イベントのある日ない日と、それが平日休日でクロス集計表を作成しました。

偶然にも同数。そこで、両群に差があるかどうかt検定を実施しました。

P値が0.79で帰無仮説が棄却できず…。差が無いようです。ちなみにイベントがある日とない日の収容率についてヒストグラムはこちら。

ほぼ一緒。

つまりオリックスの試合で併せて行われるイベントは、全体で見ると、やっていようといまいと集客に影響があるとは言えないと分かりました。

いや、あえて厳しい言い方をすると、やってようとなかろうと来る人は観戦に来るし、だいたいイベント目当てで人が来ていないと言えます。


大阪は阪神タイガースがいる、という言い訳

きっと球団の人たちは「だって大阪は阪神タイガースという強いコンテンツがあるから…」と言うでしょう。そこで各球場が、どの地方にあるかを俯瞰してみましょう。

実は、圧倒的に有利なのは、中日、ソフトバンク、楽天、阪神、そしてオリックスです。

熱狂的なソフトバンクファンであれば東北も北海道も行くでしょうが、九州地方に住むライトなファンであれば福岡ヤフオカドームのみでしょう。それは中日も同じ。ソフトバンクも中日も1000万人市場ですよ。

悲惨なのは関東圏にいる4350万人を奪い合う巨人、ヤクルト、DeNA、西武、ロッテです。

その点、オリックスは関西圏に住む約2200万人に目を向ければ良いのですが「阪神タイガースがいる」は理由になるでしょうか?

野球場に行く=(熱心な)ファンというのは、単なる思い込みというか、あえてプレファランスを狭めるような行為をする必要性は感じられません。せめて関西圏を対象に「野球好きな人」ぐらいの緩さで「球場に来て下さい」と声をかけないと収容率は上がりません。

そのあたり上手いのは楽天で、アニメとコラボして子供たちやアニヲタをしっかり呼び込んでいますよね。

野球場をオリックスファンで埋めるほど、関西にはオリックスファンはいないんですよ。それは、うぬぼれ過ぎ。鳥貴族か。だったら後から好きになって貰うとして、まずは色んな人に球場に来て貰わないといけない。

野球観戦って、約3時間座って、お酒飲んで、わーわー騒いで、それでいて比較的お安い。京セラドームの場合、大人はチケット2100円から。映画館行くのと同じ値段ですよ。

来てもらう理由、作らなきゃ!

それなのに、イベントの無い日が32日もあるという。仕事する気無いんやったら帰れ!球団を売れ!と言いたくなります。

ちなみに同じ大阪で、熱心なユニバーサル映画ファンのためのパークから「世界最高を、お届け」するパークが生まれましたよね。雑な表現で申し訳ないですけどこんな感じ。

ちなみにそのパークは開業当初は「THE POWER OF HOLLYWOOD」、3年目は「映画の世界に飛びこもう」というコピーでした。

映画映画とマーケティング近視眼に陥っていたパークを変えたのが元PGの森岡さんです。いっそオリックスも森岡さんにCMOとして加入頂き、支援を仰いだほうが良いんじゃないですか?

ちなみにPGと言えば神戸、神戸と言えばオリックス。頼むからなんとかしてくださいよ。

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松本健太郎

野球・政治・経済・文化など様々なデータをデジタル化し、分析・予測するのが得意な人です。2018年から株式会社デコムに参画。インサイトの発見が主な仕事です。

データまとめ

このマガジンでは、松本健太郎が書いた「データサイエンス」や「データリテラシー」のノートを公開します。
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