マーケティングは「欲しい」を超えた「必要だ」を開発するためにある。多分。

第85回JMRX勉強会「文化マーケティングによるトレンド把握のツボ ~音楽業界を中心に~」に参加してきました。

「人が作り出す全てのプロダクト・サービスは"文化"である」という衝撃的な言葉から幕を開けた勉強会。いくつかの気付きを書き残します。

ブームとは何か?

【表層】ブーム    ⇒(断絶)⇒ 終焉
【深層】構造変化⇒(継続)⇒次のブームへ

〇〇ブームが起こると、表面上は「盛り下がって」しまい、いつの間にか終焉するけど、必ずどこかの構造が変化している。結果、その変化が次のブームを起こしていく。

※例えばSMAP×SMAPの「BISTRO SMAP」から料理男子が生まれた…らしい。自分が中学生~高校生の頃に見ていた内容が大人になって行動に現れるので10年程度要する。(登壇者の方曰く)

流行と衰退を繰り返す"ブーム"とは、まさに「文化」である。「文化」が起こしている「構造変化」を捉えたマーケターは実に少ない。

目に見える変化と、目に現れない変化がある。前者は「文化」、後者は「文明」なのだと思う。(登壇者の人もそう言っていた)

「文化」と「文明」の一番の違いは、衰退するか否かだと思う。どちらも人間がかかわっているが、人間が生きている限り続くのが「文明」で、人間が生きていても衰退するのが「文化」だ。いや、人間自らが衰退させている(陳腐化)かもしれない。

人間が流行させた「文化」は、人間の意図しないところで構造変化させ、再び意図しないところに顔を覗かせ、「イノベーター」と呼ばれる人に「これいいじゃん!」と受け入れられ、やがて「アーリーアダプター」が真似をする。

そのサイクルを文明と呼ぶのだろうか。

なぜブームは「衰退」するのか?

質問時間に「なぜブームとブームの切り替わりが起きるのか?なぜブームは続かないのか?」と登壇者に聞いてみた。

「飽きるから」

という答えだった。それは分かっていて、なぜ飽きるのかを聞きたいんだと思ったけど、個人的に「これが正解じゃない?」という答えを見つけた。

飽きるのは「充たされた期間が一定を超えた」からだ。なぜ「もういいや」と思ってしまうのか。欲しいけど、必要じゃ無かったからだ。

つまり「文化」は"I want it"(欲しい)が作り、「文明」は"I need it"(必要だ)が作る。wantを超えるneedを生み出すのがマーケターの役割ではなかろうか。

例えばP&Gのファブリーズなんか「欲しかった!」を超えて「それ必要なんだよ!」と感じる。カーテンとかソファとか洗えないものを洗いたいというニーズに見事に応えている。

「ファブする」という言葉は社会記号までなった。P&Gすげー、そりゃマフィアって呼ばれるよ、って思った。

ブームはブームで終わらない

ブームは必ずどこかに構造変化を与えている、という話は非常に面白かった。「ブーム終わっちゃったね」で会話を終えてはいけないわけだ。

今、あらゆるプロダクト、サービスが「まぁ、そこそこいいんじゃないですか?」時代を迎えている。既存の延長の先には死が待っている。

それを脱出しようともがいている例として取り上げられたのが音楽だ。言えば、「音楽を買う」という行為から「音楽を見に行く(ライブなど)≒課金」という行為に代わっている。プロダクトからサービスへの転換に苦しんでいる。

しかし音楽を楽しむという行為の源泉に変わりはない。人間が見つけた「文明」は不変だ。

文明は何か、文化は何か、そんな風に考えると良いのかもしれない。とか思いました。知らんけど。

以上。


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