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高校の同級生が・・・

高校の同窓会の誘いが来た。
60歳の頃に1回目が行われ、以後、2年ごとに開催していたようだ。
1回目には出たが、以後出席はしていない。
2回目の連絡が来た頃に妻が亡くなり、それを引きずっていた。
当時は、何処にも出かける気持ちになれなかった。

コロナが多少は落ち着いてきたので、また計画されたようだ。

連絡の中、3年間を僕と同じクラスで過ごした人が亡くなったとあった。
幹事連中とはクラスメートでもなかったのに、
みんなの相談役になり、慕われていたそうだ。

たしかに面倒見は良かった。
3年間、勉強もせずに、誰よりも自由に好きなことにのめり込んでいた。
それでもとんでもないほどの好成績を残せたのは、彼女のお陰だった。
毎回、要領よく各科目の試験範囲をレポート用紙にまとめてくれた。
試験前になると、何色もの色鉛筆で線を引いたり、
小さな文字で解説を書いたり、分かりやすかった。
毎回、1週間前には渡され、それを暗記するだけだった。
彼女のレポートのお陰で、試験勉強もせずに済んだ。

不思議なことに、数ヶ月前、彼女が亡くなった同じ頃に、
彼女の夢をみていた。
何と言うこともない、他愛ない高校での1場面だったと思う。
あれが夢での別れの挨拶なのか。
夢で訪ねてこられるほど、親密な付き合いなどしてないなかったのに。

1年上級生との付き合いも、妙な噂が出始めたとき、事実かと聞かれた。
少なくとも自分には、気の合う友人でしかないと言った覚えがある。
先輩とのことは、誤解であることを皆に話してくれた。
あの頃は友人との付き合いなど、全く興味も無かった。

中高通して、自分の好きなこと、興味の有ることしかしなかった。
なので名前と顔が一致する友人は、10名にも満たないだろう。
彼女はその中の一人で、高校の3年間、様々な面でいろいろとサポートをしてくれた。

あらためて亡くなったと聞くと、どの様な生活をしていたのか、
幸せだったのか、いろいろと想像をしてしまう。
今となっては、ただ冥福を祈るしかない・・・


卒業して間もなく、一度だけ手紙が来た。
返事も書かず、そのままになってしまった。
内容などは忘れたが、たしか美容師になりたい、
そのような夢が書かれていたような気がする。

果たして、その夢は叶ったのだろうか。
同窓会は出席しないし、たぶん今回で終わりになるだろう。
もう確かめることも出来ない。


同じ様に、あの頃には自分にも夢があった。
何になりたい、何をしたいとか、
・・・・・・・・・。

所詮、自分の夢は、ただの雪の仏に過ぎなかった。
ただ淡雪をかき集めて、見た目だけの仏を作ってみても、
宝玉で飾られた厨子を作り、荘厳な寺を建てるのが夢だった。
けっきょく、雪の仏さえ作れなかった。

せめて彼女は、
夢を叶えて、充実した生き方をしていたと信じたい。


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