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「色恋営業しません」は本当に良いことなのか?

女性用風俗で働き出す前からずっとモヤモヤしていたことがありました。

「色恋営業の沼」についてです。

これはもしかしたら他のキャストさんも同じように悩んでいることかもしれません。

このモヤモヤとどう向き合い、どう解決したのかをしっかり理解していただくために、まず僕が女風で働くようになったきっかけを話さなければなりません。


(他にも理由はいくつかありますが)、僕が女風で働くようになったきっかけは「失恋」です。

元恋人は不満を一切言わないでさっと身を引くタイプだっただけに、急に別れを告がれ、恥ずかしながら僕はなぜ振られたのかも最初はわからず、それが自分の中で本当にショックでした。

自分の何がいけなかったのか、どこがだめだったのか、自分と向き合わざるを得なくなりました。

それから恋愛や女性心理、性について書かれた本を数十冊読み漁り、ネットの記事やYouTubeで恋愛について調べる毎日。

今まで僕は仕事人間で、恋愛を蔑ろにしてきたことに気付き、「女性を理解したい」と強く思うようになっていきました。

円満に別れていたら、または喧嘩別れだったら、きっとそんなこと考えもしなかったかもしれません。


次は幸せにしてあげられるような男でありたい

次はちゃんと精神的に満たしてあげられるようになりたい

自分の都合を押し付けたりせずに、話にしっかりと耳を傾け、寄り添い、相手の気持ちをすぐに察してあげられるようになりたい


言葉にすると陳腐ですが、そう強く思いました。



ここで書いたように、ありのままの志望動機で、すぐに女性用風俗のセラピスト求人応募担当さんへメッセージを送信していました。

ざっくりではありますがそんな経緯があり、女風で働き始めたのですが、

働く前から「女風に沼って不幸になった」という話をちょこちょこネットで見かけていたんです。

僕が女風で働くきっかけは失恋であり、僕が一人の女性も精神的に満たしてあげられなかった、幸せにすることができなかったことがきっかけです。

だから女風で働くからには、(当時、Twitterのプロフィールに書いていたくらいですが)僕は「女性を絶対に不幸にしない」「色恋営業はしません」を掲げていました。

もう不幸せになってほしくないと。


だからこそ、女風に沼り、不幸になった女性がいる限り、僕はここで本気で働けないような気がしていたんです。

今在籍しているお店の面接でも、最後に店長に逆質問をし、「色恋営業は賛否両論ありますが、そこについてどうお考えですか?」と聞いたくらいです。

それに対する答えもいまいちピンと来ず、やはりモヤモヤしたままデビューしてしまいました。


そのため、心のどこかで頑張りきれない自分がいたのです。


何かずっと悪いことをしているんじゃないだろうかって。




そんなタイミングで、僕は海外ドラマ『プリズンブレイク』を見ました。

一番好きな海外ドラマなので、見たことない人はぜひ見てほしいのですが、これこそほんとに沼るんです。

あまりの面白さに毎日朝5時頃まで見るのをやめられず、無駄な夜更かしをし、そんな状態が2週間以上も続きました。

お肌はボロボロ、仕事は寝不足なので当然うまくいきません。


でも、それでも、心から見て良かったって思えるくらい面白かったんです。

本当に見て良かったなぁって。2週間前にやり直せても、絶対同じことをするだろうなぁと強く思いました。


寝不足でお肌はボロボロ、仕事はうまくいかない。


この状態だけ見れば確かに「不幸」かもしれません。


しかし、それでも僕にとってすごくすごく充実した2週間だったのです。



そのときふと思いました。



あぁ、いい意味で「女風」も数あるエンターテイメントのうちの一つに過ぎないんだなぁ



ドラマやゲーム、ディズニーランドと同じ。

無くても生きてはいけるけれど、それでも間違いなく「ひと時の人生の彩り」になるもの。

あの頃好きだったドラマや音楽ってずっと好きだったりしますよね。女風での体験もそうなったらいいなぁってすごく思ったんです。


「女風の存在そのものが悪」なのではなく、仮に沼ってしまったとしても、それでも良かったと思えるような圧倒的な満足度の高いサービスを提供できていたかどうか、これが大事だと思えるようになったのです。



それ以来、

「どうすれば非日常な体験を提供して楽しんでもらえるか」をひたすら考え、努力できるようになりました。

何より僕自身、セラピストのお仕事を楽しむこともできるようになり、モヤモヤが晴れたのです。



ディズニーランドへ行って、アトラクションでハラハラドキドキしたり、パレードで感動し、一緒に笑顔でご飯を食べる。そして、帰り道、元気になって帰っていくように、

「明日も仕事頑張ろう!」と誰かの明日を少しでもいい方向に変えられるような存在でありたい。



女風とは「夢の国」だったのです。





「誰かの明日をちょっといい方向に変える」ことができるように、「仕事を頑張る理由」になれるように、これからもライバルと切磋琢磨しながら一流のセラピストになれるよう励んでいきたいなと思いました。



なので、

僕のライバルは数多いるセラピストさんだけではありません。


ではライバルは誰か?


それはNetflixであり、映画館であり、マンガであり、アイドルであり、USJであり、友達とのご飯でもあります。


それらを差し置いて「僕と会う時間」を選んでもらい楽しんでいただくためにはどうしたらいいのか?

お客様が「少女漫画のヒロイン」になり、「お姫さま体験でドキドキと快感」を提供するためにはどうしたらいいのか?



その答えは僕にはまだまだわかりませんが、それを今日も考え続けながら、目の前のお客様を大切にし、喜んでいただけるようお仕事を全うさせてもらっています。





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