僕らは変わりゆく価値観の中で生きている。このままの意味で当たり前の話だがヒトは子供の頃に嫌いだったピーマンを好きになり、大好きだった恋人と別れ、子供は絶対欲しくないと言っていても気づいたら子供を作ったりする。

人間の好き嫌いは簡単に変わる。そして、それに伴って価値観も変わり、大量の知識をインプットして考え方が変わり、環境が変わり、正解が変わる。
10年前山を目指して登っていた人が海を目指していたりする。
お金を追い求めていた人が、平凡で平和な日常だけを追い求めていたりする。
スポーツ選手になりたかった子供が、作家になったりもする。人間の心はそういった変わりやすく儚いものである。
人間の最も基本的な心理学の１つに
「一貫性の心理」というものがある。これは、一貫している人を信用し、社会に対しても一貫した振る舞いをする方がよりおおくのリターンが返ってくることを想定した本能だ。
人間の変わりやすい心の特徴とは裏腹に
「一貫性」を求める社会とそれを本能的に「正しい」と思う自分が「過去の自分との矛盾」を責め立てる。そういったことは多くの人が感じるところだと思うし、常識(?)的な考え方かもしれない。
ただ、実際にはかつてからは考えられない程の変化のスピードの世の中で、何千年も米だけを毎日耕していた時代の本能が役に立つはずはない。
むしろ、今は「変化すること」ほど有効だ。
であるから、変化する事をマイナスに捉えたり、否定したり、ごまかす必要はない。過去の自分と矛盾していない方が危険だとすら言える。

そして僕たちは相手に対して、たとえば、恋人、友達、家族、仕事相手に「一貫性」を求めてしまいがちだが、大抵の場合は失敗に終わる。この世の中に「永遠に変わらないもの」は存在しない。諸行無常である。人は生まれ、成長し、人を好きになり、結婚したり離婚したりして、そして死んでいく。常に変化していて、20年後のあなたと今のあなたが意気投合できるかどうかは甚だ疑問だ。

人間は「永遠」を夢みがちだか、そんなものは存在しない。人は死ぬ。終わりはくる。「永遠」を手放し「変化」を受け入れる事によって、「今、この瞬間」をいっそう楽しめるようになり、期待せず何事の終わりも受け入れられるようになる。過去の自分と今の自分の矛盾に絶望せず後悔もしない。過去の自分を別人と捉えその時のベストを選択したと考えれば振り返る必要はない。未来の自分の考えが変わっていたらどうしようと心配する必要もない。

矛盾した感情というのは、過去の自分と現在の自分の話でもあるが、現在の中だけにも存在する。
たとえばお腹が空いたけど、買いに行くのがめんどくさい。けど、食べたい。だったりお金を稼げるようになりたいけど、やり方を調べたりリスクをとったりするのが怖い、めんどくさい。だったり痩せたいけど筋トレはめんどくさいしつい食べちゃう、そして食べたあとあー食べちゃった。こんな具合に様々な矛盾がある。そして、強い意思がない限りは大抵楽な方に流れていく。流れていくのが良い悪いというわけではなく、ただ流れていくそれだけだ。
それを否定して自分を責める必要はないし、そういうものだよなぁと思っておけばいい。それでももし、その自然の摂理に歯向かって成し遂げたい事や目的があるならば矛盾の感情を想定してそれに対しての対策が必要だ。
それにはまずその目的を達成する「強い意思」が不可欠だ。たとえば
痩せたいのであれば
①なぜ痩せたいのか
②その理由のためにどのくらい痩せたいのか。なぜそこまでなのか。
③そのためにはどんな手段が最適なのか、1番効率的な方法でどのくらい大変なのかを考えなければいけない。

大抵の場合はこれを明確にした時点でめんどくささが上回ってやる必要がないという結論になるだろう。
それでいいし、それが人間なのでそんな自分を責める必要はない。
ただもしそれでも全てが明確になり労力を投下する価値を納得できたならばそれを達成するために自分のルールを決めてそれを守り、本能的な「楽したい、めんどくさい」という気持ちに勝たなければいけない。人にとってそれはとても大変な事だ。

ぼくはこれを「稼ぐ事」に適応させて、なんとか稼ぎ続けるモチベーションを保っているが、目的の意思が弱まればたちまち稼げなくなってしまうだろう。お金を貯めていくとそこに着実に近づいていくはず。
人間は強制されたり、ルールがあったり習慣があると惰性で続ける事はできるのでそういった環境を作る事でめんどくささに打ち勝つ事ができる。大抵の場合は打ち勝つ必要はなかったりするけども。
打ち勝つかどうかはおいておいて、この矛盾を受け入れて、ともに生きて行くしか方法はない。
人の矛盾や変化に対して本能的に拒否反応を示してしまうのは仕方がない。一貫性の心理が反応しているだけ。ただ、知性を持った人間が本能の赴くままに相手を評価したりする良いとは言えない。
相手はもちろん自分の矛盾や変化も否定せず受け入れ、うまく付き合っていけるとらくだよね、おしまい。