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あなたは大丈夫?キズの治りが遅いと お悩みの方へ。「かさぶた=治りかけ」は間違い!?治りを早く、キズあとも残さないためには消毒を使わないだけ!!簡単です。

今まで切りキズ、すりキズの治療法はキズ口に消毒をし、ガーゼを貼ってキズ口を乾燥させて、かさぶたができる。「やった~」これで治ってきたぞ~と思ったが、かさぶたが剥がれしばらくしたら「あれっ?」あとが残ってねえっていうこと、ありませんでしたか?

最近注目されているのが、キズを早く治し、あとも残らないのが湿潤療法です。

湿潤療法とは

消毒をしない。ガーゼを当てない。乾かさない。血や汚れは水道水で洗い流す。

小さなキズはハイドロコロイド絆創膏を貼る。またはハイドロコロイド包帯をカットして貼る。

中くらいのキズはハイドロコロイド包帯をカットして貼る。またはプラスモイストをカットしてテープで留め、包帯を巻く。

大きなすりキズは、食品包装用ラップに白色ワセリンをぬり、テープで留め包帯を巻く。

翌日になって、痛みや腫れがひどくなったら、湿潤療法をしている病院を受診する。

どうしてキズに消毒しちゃいけないの?

キズに消毒することは、熱湯をキズ口に注いでいるのと同じ。キズ口が悲鳴をあげて痛い!とイメージしてみて下さい。あなたが歯を食いしばって消毒しているとき、キズ口の細胞たちは「やめてくれ!」と絶叫しているのです。

消毒を使うと、人体細胞をキズつけられ、滲出液という細胞の成長を促すことを、阻止してしまうからです。

細胞たちは、なんとか立ち直ろうとしてるのに、消毒によって首をしめられたようなもの。これでは、助かるものも助かりません。

消毒液は安全だったんじゃないの

消毒液の攻撃目標は、基本的にたんぱく質です。たんぱく質は人間の体を作ってるのに、最重要物質であり、たんぱく質を持たない生物は地球上に存在しません。

細菌細胞も人体細胞と、共通なたんぱく質が多数あります。細菌細胞は鎧で身を守っているので、裸の人体細胞が消毒をかけられたら、先に死んでしまうのです。

でも今までキズに消毒して治ってきたけど...

なぜ今まで消毒したにもかかわらず、キズが治ってきたのでしょうか?それは人間の体が丈夫だからです。

痛めつけられても、何度も立ち上がり治ってきたのです。

たとえば登山に例えると、きれいな道が整ってるルートがあるのに、わざわざ、険しいデコボコ道のルートで登るようなもの。

キズを消毒するのは、これと同じなのです。

消毒しないとキズが化膿するのでは?

あなたが、アツアツおでんを食べて、口の中をヤケドしたことがあると思います。質問です。あなたは口の中を消毒しますか?多分しなかったと思います。

口の中のヤケドのキズは化膿しましたか?化膿せずに、いつの間にか治ったでしょう。でも口の中は、バイ菌だらけ。ヤケドのキズ表面にも莫大の数のバイ菌が入り、化膿しましたか?多分しなかったと思います。

バイ菌が増え、キズを化膿させるためには、バイ菌のかくれ家が必要なんです。口の中のヤケドは、バイ菌のかくれ家がなかったから、化膿しなかったのです。

バイ菌はどこにかくれるの?

病原体が人間の体に入って、病気を起こすわけですが、たとえばハイエナが、ライオンに狙われているとします。一対一では勝てないので、ハイエナたちは、仲間を増やして勝とうと考えるので、ライオンに警戒されず、都合の良い場所を探し、そこで仲間を集めライオンを倒す。

では、細菌にとって都合の良い場所は、「キズの中に溜まった血液やリンパ液」です。

これらには、免疫細胞というライオンの巡回もありません。だからハイエナという細菌がぬくぬく繁殖することができます。血液は栄養豊富で温度も保たれており、細菌の繁殖用かくれ家として、こんなに最適なものはありません。

キズの中に血液やリンパ液が溜まっていたら、そこは細菌のかくれ家になるということです。キズに細菌が入ったのではなく、キズに細菌のかくれ家があったから化膿したのです。

もしキズが化膿したら

細菌の繁殖場所をなくしてしまえばいいのです。具体的な治療としては、細菌の繁殖場所を見つけて除去し、抗生物質の点滴や内服をすれば、化膿はおさまります。ここから先は医者の仕事です。

キズができて治るまでのメカニズム

キズにも切りキズやすりキズなど、実にさまざまです。簡単に言えば「皮膚の損傷」です。

人間には元々、自己治癒力がありケガをすると、キズを修復しようとします。

体内では

・キズ口から出血すると止血しようと血小板が集まる

・白血球がキズで死滅した組織や細菌を除去する

・コラーゲンを生成する細胞が集まりキズ口をふさぐ

・表皮細胞が集まり、キズ口をふさぐ

このメカニズムを理解し、キズを治す必要があります。

キズは消毒しない、乾燥させない、潤す

消毒液は悪い菌をやっつけると同時に、キズを良くする細胞までやっつけてしまうので、消毒液を使うことは、逆にキズの治りを妨げることがあります。菌は至るところに存在して、無菌にすることはできません。

キズ口は水道水で洗浄するだけで問題ありません。

日本の水道水は塩素で殺菌されています。各地の水道局が公開しているデータによれば、水道水中の細菌の数はゼロです。

仮に水道水に細菌が入っていたとしても、水道の水の流れの強さは、細菌にとっては、ナイアガラ滝に落ちた人間が浴びる、水量よりはるかに激しいもの(細菌の大きさ、水道の水量、蛇口からキズ口の距離で計算できます)。

水道水の細菌がキズにくっつく確率は、滝に落ちた人間が、岩にしがみつくより低くなります。

キズ口からジュクジュクとした透明の滲出液はなに?

実は、この滲出液の中に細胞培養液が含まれています。ケガの治療にとても役立つのです。ジュクジュクとしてると化膿と思ってしまう人もいるかもしれませんが、このジュクジュクは、ちょっとワガママなんです。

環境を整えてあげれば、綺麗に皮膚を再生してくれるのです。化膿というのは、環境が悪くなった感染性の滲出液のことを指します。

汗腺があれば「腫脹・疼痛・発赤・局所発熱」という炎症の徴候が出ますが、そのような徴候が見られなければ感染を起こしていないと考えてよいでしょう。

滲出液がキズ口を常に覆って、適切な湿潤環境を保つことで、皮膚を再生させようという考えが最近、医者の間で推奨されています。

湿潤療法のメリット

キズ口が比較的早く治る

滲出液でキズ口がつねに満たされるため、その効能を最大限に活かす

痛みが軽減される

ガーゼで覆った場合、浸出液が吸収されて、キズ口が乾燥してしまうことがあります。ガーゼを取り替えるときなどに、新たにできた皮膚も引っ張られ痛みを伴います。

適切なハイドロコロイド絆創膏で、キズを密封して乾燥を防ぐと、痛みが軽減されます。キズの観察のためにも必ず、ハイドロコロイド絆創膏は1日1回は交換してください。

キズあとが残りにくい

湿潤状態に保つことで、かさぶたが作られず、皮膚の組織がスムーズに再生されます。

家庭でできる湿潤療法

①キズ口が出血している場合は、まず止血を行う       

②消毒液は使わず、キズ口を水道水で流す               

③適切なハイドロコロイド絆創膏を貼り、キズを乾かさないようにする   

④ハイドロコロイド絆創膏の表面に滲出液が染み出したら、交換する

湿潤療法のデメリット

全てのキズに適応ではない

噛みキズや刺しキズ、裂傷などは患部奥深くにまで、バイ菌が入り込んでるいることがあるので、病院で診察を受けましょう。重いヤケドも同様です。

治ったからOKではない

湿潤療法は治るのも早く、キズあとが残りにくいですが、紫外線で色素沈着が起きると言われているので、皮膚の再生が完了してから3カ月くらいは、直射日光を避けてください。

絆創膏の代わりに、ラップを使用しても可能だが、全ての人に適応ではない

キズ自体からでる水分が非常に多かったり、壊死組織といわれる死んでしまった組織がキズ口にある場合などでは、ラップ療法は危険です。

このような場合に、ラップで覆ってしまうと爆発的に細菌が繁殖してしまいます。また、糖尿病などで免疫力が落ちている人のキズにラップを貼ることは同様に危険です。

切りキズ、すりキズ以外に湿潤療法で治るのは

紫外線による皮膚障害

日焼けをして皮膚が真っ赤になった状態には、ハイドロコロイド包帯(または白色ワセリンを塗ったラップ)を赤く腫れて痛い部分に貼るだけ。早ければ数秒で痛みがなくなり、楽になります。

靴ズレ

靴ズレこそ湿潤療法です。市販のキズ治療用のハイドロコロイド絆創膏でもいいし、靴ズレ用として市販されているハイドロコロイド絆創膏の製品もあります。どちらも成分の違いはほとんど、ないのでどちらを使っても靴ズレには十分な治療効果を発揮します。

まとめ

キズの手当て化膿しないために、消毒液を使用していたが、消毒により人体細胞も破壊されて治りが遅い。

けど、人間の体は丈夫なので、それでも必死に治そうと回復した結果、キズあとが残りやすい。

キズ口は、状況を把握し環境を良くしてあげれば、自然に綺麗な皮膚の状態に戻る。

医者でも、消毒をしてキズ口を乾かす治療がまだ根付いている。

これまでの医者と患者の関係は一方通行だったが、ネットの普及で一変したのかも。患者もネットで調べてもっといい治療法がないのか、学んで選択することも必要なのかもしれません。

それでは、また。

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