「東京体育館の12人」2017年のインフルエンサー#3

4月20日東京体育館。この日はアンダーライブ東京公演3Daysの初日。僕にとって初めての乃木坂ライブ。

この時のシングル「インフルエンサー」では過去最多の21人が選抜された一方でアンダーメンバーが12人とアンダーメンバーの方が少なく彼女たちは史上最弱と呼ばれた。
乃木坂のライブには前から行きたかったのとアンダーメンバーには同じラジオ好きの推しメン山崎怜奈がいたので彼女目当てにアンダーライブに行くことにした。
モバイル先行応募の為に乃木坂モバイルにも入り受付開始と同時に応募した。この時はあっさり一次当選してアリーナ前から5列目55番のチケットを手にした。こうして4月20日を迎える。

当日はグッズを買う為に開場時間より少し早く東京体育館に行った。千駄ヶ谷の駅から信号を渡り正面入り口に向かって歩くと柔らかな花の香り、トイレの消臭剤とは違う自然なやつ。アンダーライブの開催を祝い関係者やファンから届けられたものだった。建物を囲むように開場を待つファン達。山崎怜奈の推しタオルを持つファンが想像以上に多かったことは嬉しい発見であった。この時のセンター渡辺みり愛に並ぶ人気だったと記憶している。自分も山崎怜奈推しタオルとライブTシャツ等を買って会場に入る。

ステージ最前ブロック前から5列目。目の前にセンターステージが迫り右にはメンバーがアリーナ中央のサブステージに向かうための花道と呼ばれる通路があった。メインステージには中央上部に「乃木坂46」の文字、階段のような形状で下段中央にメンバーの出入口があった。アリーナは開演を今か今かと待つ高揚感に包まれていた。

開演を知らせるインストメンタルの曲が会場に鳴り響くとファンは一斉にサイリウムと呼ばれるペンライトを振る。この光の波を初めて見る者にとってはそれだけで感動モノだ。開演の曲が終わるとアンダー曲「風船が生きている」のイントロが流れてスポットライトに照らされたステージ中央の両開きの扉が開いた。センター渡辺みり愛。この曲に合わせてメンバーが事前に呼びかけた通り白一色に染まった東京体育館を見て目に涙を溜めている。テレビで見る以上に小さくて可愛らしい子であるが、小さな体を感じさせない力強いパフォーマンスだった。ステージほぼ最前、一人一人の表情がハッキリと分かる。渡辺みり愛の脇を固める鈴木絢音と山崎怜奈、お人形さんのような可愛らしさという言葉が当てはまる川後陽菜、舞台女優としての力強さを感じる伊藤純奈、和田まあやは誰よりもライブを楽しんでいるように感じた。笑顔が素敵な相楽伊織、ムードメーカーの能條愛未、曲ごとにコロコロ表情が変わり圧倒的な表現力を誇る川村真洋のパフォーマンスは歴代メンバートップクラスであることは言うまでもない。

当時アンダーライブには全員センターという企画があった。3日間4公演で各公演3人づつセンターで何曲か披露するものだ。初日は斎藤ちはる、鈴木絢音、そして山崎怜奈の3人だった。今ではテレビ朝日アナウンサーの斎藤ちはるは当時メンバー最長の168センチの高身長で整った顔とスタイルがステージ映えしていた。斎藤ちはるは「生まれたままで」「左胸の勇気」「扇風機」の三曲と「君の名は希望」を披露した。その姿を見ていると心が浄化されていくようであった。鈴木絢音は「初恋の人を今でも」でソロパートを歌った時の会場全体を包み込むような彼女を見守る暖かいオーラは王道アイドルユニットの真夏さんリスペクト軍団に選ばれた理由が分かった。アイドル鈴木絢音は世間が想像する数万倍の破壊力がある。

そして山崎怜奈だ。
「狼に口笛を」「自由の彼方」「ここにいる理由」のダンスナンバーに挑戦。彼女は苦手なジャンルだと語っていたが、それを微塵も感じさせることが無かった。途中ステージの上から黒のジャケットが真っ直ぐ下りてきてそれを羽織って花道を歩いていく姿や目力には何か決心のようなものを感じた。「命は美しい」のチャイナドレス風衣装と和傘を使った演出は山口百恵の上品な色気を彷彿とさせた。山崎怜奈はある曲の終わりで推しタオルを持っているこちらに向けてピストルで狙いを定めてバキューンというようなポーズを取ってくれた。乃木坂のライブでハッキリとレスを貰ったのはこれが初めての事でライブの中でも特に鮮明に覚えている。

二日目、この日も当日券が売り出されており普段は繁忙期一時間ぐらいかかるであろう作業を30分という驚異的な早さで終わらせて埼玉との県境にある成増から急行などを乗り継いで東京体育館へ急いだ。今の乃木坂からは考えられないが2017年4月頃は東京開催のアンダーライブで当日券があったのだ。開演30分後にスタンドほぼ最上段の席に着く。昨日よりメンバーの姿はかなり小さいが辛うじてそれぞれ認識出来る。この日も大きなセットリストは変わらないが川村真洋、佐々木琴子、伊藤かりんの3人がこの日の全員センターの担当だった。太陽ノックの川村真洋はアイドル界随一の表現力で観る者全てを納得させ、ハルジオンが咲く頃を歌った伊藤かりんの抜群の歌唱力は光るものがあった。乃木坂の母伊藤かりんの歌声に皆聞き惚れた。そんな2日目で特に印象的だったのが佐々木琴子の決意表明だった。

佐々木琴子はあまり笑わない子、やる気が全面に出ない子というイメージがあった。正直印象が薄い子だった。ライブ終盤、「皆さんに話したいことがあります」と琴子は切り出した。一瞬卒業発表か?と身構えてしまった彼女の決意表明。2年半以上前の発言を一言一句正確に記憶している訳ではないがこれまでやる気が無いと言われそう思われても仕方がなかったことに対する反省とそれでも見捨てないでくれたスタッフさん、ファン、メンバーに対する感謝とこれからの決意を新たにしていた。これは彼女が本当に覚醒したら大変なことになると思った。佐々木琴子の新たな始まりを会場全体が祝福した。

12人のアンダーメンバー。彼女達を人数だけで最弱と語るのは愚かだ。12人が選抜入り出来なかった悔しさや学業との両立、それぞれの想いを抱えながら他の仕事の合間で寝る間を惜しんで準備し、その日その日の最高のステージを作り上げた。
伊藤かりん、伊藤純奈、川後陽菜、川村真洋、斎藤ちはる、相楽伊織、佐々木琴子、鈴木絢音、能條愛未、山崎怜奈、渡辺みり愛、和田まあや。

彼女達も立派な乃木坂46のメンバーである。

最終日には2014年のアンダーライブ伊藤寧々卒業ライブ、2016年のアンダーライブ永島聖羅卒業コンサート以来乃木坂史上3回目のトリプルアンコールを達成した。

ラジオとアイドルと鉄道模型に特化した人間です。 こちらでは鉄道模型作品の発表、自宅のNゲージタウンの日常や坂道48を中心としたアイドルの話などをしたいと思います。 週一回更新「潤ちゃんのリインカーネーション」