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中日ドラゴンズ 代走どうする問題~尾田選手支配下登録の是非~

2024年3月25日、開幕直前にしてルーキー尾田の支配下登録が発表されました。

尾田といえば足が持ち味の選手。
独立リーグ時代は盗塁32成功率75%を記録。
キャンプ中の実戦が始まって早々いくつか盗塁を決めてインパクトを残しましたが、その後オープン戦の成功数は2
打撃も下降線に入り2軍で鍛えなおしかな?と思っていたところでの支配下登録に驚いたファンの方は多いのではないでしょうか。

ドラゴンズが「走れないチーム」に分類されるのはご存じの通り。
枠の問題や、支配下にするなら結果を残している松木平が先では?という声は一旦置いておきまして、尾田の主戦場になりそうな代走事情から今回の支配下がどのような意味を持つのか見ていきましょう。

昨季ドラゴンズの代走事情

昨季は102回代走が出されました。
途中トレードされたにもかかわらず髙松がトップ。伊藤・溝脇が退団したことにより全体の約4割を越えるの代走枠が空くことになります。
(当然出塁数はシーズンによってぶれるのでそのままの数字を当てはめるのが正解というわけではありませんが)
言ってしまえば代走不足という状況です。

二遊間の選択肢が増えたことにより田中幹也・辻本らの代走が増える可能性もありますが、上位だった加藤翔平はベテランに差しかかり、三好もレギュラーの兆しが見えてきました。
代走要員の補充という観点"だけ"みれば今回の支配下は完全否定できないのではないでしょうか。

他球団の代走事情

ドラゴンズだけ見ていてはこのチームの代走事情が異常なのか正常なのか把握できません。
そこで他球団の代走要員を見てみましょう。

下記の表は昨季代走で起用された数が10回以上の選手とその盗塁数です。
こちらの盗塁数は代走起用に限定した数ではないのでご注意を。
赤背景の選手はスタメン起用数>代走起用数の選手です。
「そこそこ先発で使われて盗塁もする」という選手を可視化するために色付けしました。
逆に白背景の選手は代走が主戦場の選手ということです。

最後にセリーグの全代走起用数と盗塁数がこちら。

※盗塁数はチーム全体の数です
代走だけが決めた盗塁数ではありません

代走枠としてはYs並木がトップと言っていいでしょう。
こちらのぼーのさんのサイトによると走塁WARなどのセイバー面を見てもトップです。
しかし並木はスタメンでも37試合起用されており、純粋な代走専のトップと言われるとC羽月ではないかと思います。
チーム単位でみても広島は20試合以上代走で使われた選手が4人おり、代走要員を重宝してる印象を受けます。

ドラゴンズに話を戻します。
DeNAと並んで盗塁が少ないドラゴンズですが、代走起用はDeより多いにもかかわらずその代走の選手が走れていないという問題を抱えていることがわかりました。
「走れる選手がいない。代走要員も走れるわけではない。」ということです。

ますます尾田にかかる期待が大きくなりますが、はたしてこのまま彼に代走専のラベルを貼っていいのでしょうか?

代走専の弊害

SB周東のプレミア12での活躍からブレイクしたことをきっかけに代走要員に注目が集まる流れができました。
ドラゴンズも当時髙松を抜擢しましたがレギュラーには至らず、他球団を見渡しても結局突き抜けたのは周東だけでした。
そんな周東の印象的なインタビューをここに抜粋します。

周囲の人間は「あれだけの足があるのだから、バントをするなり、反対方向に転がせばいいのに」と眉をひそめたが、周東は己の考えを貫いた。

「いつか足で勝負できなくなる時が来るかもしれない。長く野球をやるために、今からバッティングを捨てるようなことはしたくないんです」

 公式戦の勝負どころでは時折セーフティバントを見せることはあったが、開幕一軍を争っていた春季キャンプやオープン戦、練習試合の期間は、頑なに力強くバットを振り続けた。

周東佑京「バッティングを捨てたくない」。世界記録達成まで苦しんでいたこと


ここ数年は代走のピースとして遠藤・武田・滝野・髙松らが支えてくれましたが核になったとは言えません。
まだ若く、可能性の塊である尾田に同じ道を辿らせていいのとか言われれば当然Noです。
生き残るためには代走としてかなり突き抜けた成績を残すか、周東のように打も諦めない姿勢を持ち続けるかではないでしょうか。
代走専門の箱に収めるのは早すぎる気がしてなりません。

何より足の速い選手(しかも外野手)はそれなりに市場に出ます。
足だけの選手では簡単にリプレイスされてしまうのが現実です。

そもそも代走要員いらないんじゃないか説

盗塁は高い成功率でなければ有効ではないハイリスク戦術であり、走塁が得点に寄与する割合は打撃ほど大きくはありません。
解説でよく聞く「足の速いランナーが投手に揺さぶりをかけている」という言説も否定されつつある中、代走がもたらす価値は何なのでしょうか?

代走は言わば持たざる者の戦術であり、現在のドラゴンズのような貧打で盗塁もできない(成功しない)チームでは、足を使って一点より打撃力向上こそが根本の治療薬なのではないかと思うのです。


尾田をどう育成するか。どう起用するか。
代走は誰が一番起用されるか。
という観点で今季のドラゴンズを見るのも面白いかもしれません。

最後にレジェンド福本豊の名言を紹介して締めたいと思います。
「盗塁のコツはまず塁に出ることである」

今回はここまで。
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データ引用:プロ野球ヌルデータ置き場f3
データ引用:ぼーの の日記

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