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なんでもないようなことが、出来ていないことがある

先に仕入れた商品を先に出荷して、保管している商品の品質が長期保管によって劣化することを防ぐ管理手法のことを「先入れ先出し」という。


4月から新しい年度が始まり、国や市から色々な補助金の制度が発表される。だいたい翌年の3月末までに完結する事業に対するものが多いから、自然堰を切ったように、あちこちから発表される。

初期のゲームウオッチのゲームで、パラシュートで落ちてくる人をボートで救出する類のものがあった。最初は画面に1パラシュートだが、点数が増えるにつれ難易度があがり、矢継ぎ早に同時に2、3と増えていく。救っては移動、救っては移動の繰り返しであるが、次第に常にボートを移動し続けざるを得ないことになる。どこかで限界は訪れる。

公表される補助金制度を全部狙いにいくことは、まさしくこんな感じだ。
時期ずらすとか、なんとかならないものかな、と思う。
そもそも全部狙いにいくなよ、ってことなんだろう。そりゃそうだ。


さて、先日、クライアントより、作成された申請へのアドバイスを求められて目を通す機会があった。それは、在庫管理に関するシステムの導入に対する補助金の申請であったが、そこで目にしたのが冒頭の「先出し先入れ」の概念だった。

「あれ?これって、できていたっけ?俺?」

仕事の話ではない。プライベートの話だ。おいおい、アドバイスはどこいった?

一人暮らしも長いが、実は狭いアパートにも「在庫」は存在する。
結構、気に入った商品が見つかると買い溜めするタイプなので、ごまドレッシングやペットボトルほうじ茶なんか、必ず複数個ある。ないと不安で、精神の安定を欠くくらいだ。あと、消耗品としてゴミ袋や紙コップ、紙皿(アパートには皿もコップも、フライパンも、炊飯器も、テレビもない)。他、パジャマ、下着、タオルなんかも、消耗品ではないが、洗濯のたびにまとめて保管してある。

なんだ、在庫だらけだな。視点を変えると。

それぞれのアイテムには保管場所があるが、よくよく見直してみると、購入し、あるいは乾燥させ、そこに置く際に、奥に置くケースもあれば、手前に置くケースが混在している。つまり、取り出すときに、これは手前から、これは奥からと、都度アイテムごとに記憶をもとに取り出していたことになる。結構自分でも自身のことを合理主義者だと思っていたが、おこがましいにも程がある。どの口が言ってんだ、と。

それが決定的なミス、ロスを引き起こしていることはない。が、ほぼ毎日発生しているルーティン。「先入れ先出し」ルールを機械的に適用することで、わずかでも日常における脳の負荷が軽くなるなら、やらない洗濯…いや選択肢はない。

なんでもないようなことが、意外と出来ていないことがある。
そんな、「なんでもないようなこと」へのこだわりは、私にとっては「ささやかな幸せ」。


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