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治療をしない選択

僕は診断は受けているが治療をしていない、30歳を超えたFTM(身体が女性で性自認が男性)です。

胸を取り除くオペだけは数年以内に受けようと思っていますが、今の所ホルモン治療や下半身のオペはしない予定です。
なので、戸籍の変更や現在交際している女性とは結婚はできません。
社会的にも一応女性として生きています。

未治療トランスジェンダーでこういう人もいるんだなぁという感覚で読んでいただけたら幸いです。

知っているのは親や親しい友人、職場では一部の人にしか話しておらず、話していない人には当然女性として扱われます。

自分が治療をしない選択をしたので仕方のないことですが、生きづらいとは感じています。
まず温泉などの入浴施設に関してはそもそも潔癖症なので利用しないからいいとしても、トイレ問題は結構困ることも多いです。
男か女かぱっと見でよくわからない人物が女性トイレにいることの迷惑はよく理解できるため、なるべく外では水分を控えて、どうしてもという時には多目的トイレを利用しています。
できる限り行く場所は事前に調べておき、誰でも使えるトイレがない場所では外のコンビニなどで買い物した上で使用させてもらいます。
自分が選択したこととはいえ、結構不便で…みんなのトイレみたいなものがあちこちにあればもう少し楽なのになぁと思うことはあります。

そんな僕がどうして治療をしない選択をしたのかというと、いくつか理由があります。

1.親の強い反対
これに関しては無視はできるのですが、ホルモン治療だけならともかく手術となると親が強く反対している現状を伝えると断られます(胸オペを相談したら断られました)
成人しているのだから、とは思うのですが全身麻酔の手術ですと死亡のリスクもあるので病院側の考えも納得できます。
あとはなんだかんだ親が泣いて止めるのを無視するのは気分が良くないと思いました。

2.治療のリスクが大きい
当然といえば当然ですが、ホルモン治療をすれば肝臓や血液に関する疾患など、様々なリスクがあります。
子宮を摘出すれば定期的にホルモン注射をしなければ骨粗鬆症になるでしょうし、田舎故にホルモン治療を受けられる病院が限られておりその度に通院する手間やお金がかかります。
また、住まいや職場が田舎にあり未だに周囲から理解が得られづらい側面もあります。
引っ越しと転職というのも一つですが、現在の業種が特殊でありなかなか転職が難しく、かつ就活市場においてはかなり年齢もネックになります。

3.現在の環境では治療しなくても男性に見られることが多少はある
今の職場では服装や髪型が比較的自由で男性っぽい格好をしていても問題がありません。
また化粧もする必要がなく、周囲からも何か言われることはありません。
・背はさほど高くない(女性の平均身長を少し越えるくらい)が服装が自由なので靴で身長が盛れる。
・脂肪も筋肉も多めの体格で肩幅が広く、ダボついたり変にキツい箇所もないため男性の服も問題なく着られる(骨盤が広い、胸があることなどはある程度補正が必要にはなります)
・声は初めて聞いた人なら大体男性と思われるくらい低い。
・マスクで顔が隠れるため丸い顔つきでもある程度隠すことができる。
等の理由から、「性別がどちらかわからないからとりあえず女性にしとこ」といった扱いが一番多いように思います。男性と女性、どちらに思われるかと言えば…明確に統計を取ってるわけではないので憶測も多いですが男性:女性=4:6くらいかと。
その女性6割のうち、先述した「どちらかわからないからとりあえず失礼のない女性として扱う」が含まれます。
男性扱いは確かに少ないですが、未治療でこれなら自分的には及第点かと考えています。

4.今更男として社会に馴染める気がしない
ずっと女性として生きてきて、周りからバレない程度には女性として振る舞えている。
僕の親しい友人は男性しかいないが、いわゆる男ノリみたいなことをあまりしないタイプが数人。
見た目や戸籍を変えたところで男性的に振る舞って、そういったノリに混ざることができるのかわかりません。
先のことを考えだすと不安でたまらなくなる気質で、馴染めなかったもしものことを考えてしまいます。

5.こだわりだすとキリがなくなる
おそらくこれが一番の要因です。
2や4の内容と重複する部分もありますが、ホルモン治療や手術にはかなりお金がかかってしまいます。
そして自分の気質を考えた時に男性に近くなればなるほど埋まらない差(外性器や元の骨格等)があり、嫌になって治療をやめたくなるだろうことも予想されます。
自分の容姿にも自信がなく、ただでさえ見た目が悪いのに半端に男性に近づいて途中でやめたとしたら汚いおばちゃんになってしまうわけで…それならまだ女性ホルモンの力で清潔感はあるおばちゃんになる方が幾分マシではないか等々。
そもそも治療を進めて本当に自分が望む男性像になれるのか。
せっかく高いお金を払って治療して、転職も引越しもしたのに途中で嫌になって後悔するようなことになったら目も当てられません。
先のことを過度に悲観的に考えてしまったり、醜形恐怖のような感覚もあり…

そういったことから治療に積極的になれず、現状の性違和と自身の身体に対する嫌悪感を受け入れて我慢をしているような状況です。

しかし冒頭にも書きましたが、胸オペは数年以内にはしたいなぁと思っています。
そうすれば少しは嫌悪感が薄れるかもしれませんし、パス度も向上するのではないかと期待を込めて。
乳がんの可能性も多少は減るでしょうし、胸がなくても女性として過ごす分には支障がないのでメリットしかありませんから!

あとしたいことと言えば、改名です。
通称の登録だけでもできれば随分気持ちが楽になるように感じます。
男性的な名前でなくても、中性的な名前でもいいのでいずれ変えられたらいいなぁと…

長々と書きましたが、今回はこのあたりで終わりたいと思います。

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