遠山啓一

CANTEEN | CON_ | volvox | Danii

遠山啓一

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最近の記事

Tue, Mar 5

4-5人で始めた会社は、その小さなオフィスに人が入りきらないくらい大きな集団になり、自分にとってももうただ居心地が良いだけの場所ではなくなった。 いろんなことが変わった。 今日は新入社員の歓迎会だった。変わらないナオヤみたいな人もいる。そのことのコントラストが妙に気持ちが悪くて、店に着くなりトニックウォーターと濃い味のケサディーヤをかき込んだ。閉店まで喋り久々に大きな声で笑った気がする。楽しい時間も確かにそこにあった。 タクシーで雨に濡れながら暗い代官山を通ってオフィス

    • 「踊ってしまう」音楽から生まれる文化

      Takramの渡邉康太郎氏による『CONTEXT DESIGN』を読んだ。本書を紐解いていきながら、日々の実践の中で良いと思っているものはなぜ「良いのか」という問いについて考えてみた。 本の雰囲気を伝えたくて、なるべく引用を多めにしており長い文章になったが、全体を通じていまやっているアーティスト・マネジメントやギャラリーといった事業がどのような思想のもと行われ、最終的に社会においてどのような役割を担いたいと考えているかが整理されたと思う。 語り直すこと、解釈すること『CO

      • 音楽ビジネスの知を、アカデミックな文脈から再編する:日高良祐×CANTEEN遠山×tomad鼎談

        2022年7月、東京藝術大学千住キャンパスにてCANTEEN代表・遠山啓一がレクチャーを行なった。音楽学部音楽環境創造科で日高良祐氏が受けもつ「ポピュラー音楽研究Ⅰ」の一環として行われたこのレクチャーは、CANTEENの実践を紹介しつつ現代の情報環境における音楽やアーティスト活動の意味を整理するものだ。アーティストマネジメントをはじめとする音楽ビジネスの知見は、アカデミックな場においていかなる意味をもつのか。日高氏と遠山、CANTEENメンバーのtomadの鼎談から、具体と抽

        • アーティストとマネジメントの関係を更新するために──「契約」をめぐるCANTEENの実践

          2019年に設立したCANTEENは現在7組のアーティストと専属契約を結び、15〜20組のアーティストとプロジェクトベースの契約を結びながら楽曲制作からライブ、グッズ販売、果ては私生活に至るまで、さまざまな活動をサポートしている。アーティストがより主体的に活動できる環境をつくるためにCANTEENが昨年から進めていたのが、「契約」のアップデートだ。 国内外で状況も異なり独自の慣習も多い音楽ビジネスにおいて、アーティストはレーベルや事務所とどんな契約を結ぶべきなのか。CANT

        • 「踊ってしまう」音楽から生まれる文化

        • 音楽ビジネスの知を、アカデミックな文脈から再編する:日高良祐×CANTEEN遠山×tomad鼎談

        • アーティストとマネジメントの関係を更新するために──「契約」をめぐるCANTEENの実践

          都市文化を継続的に育む基盤として──新会社volvox設立に至るまでの経緯

          先日1月5日に新しいマーケティング/クリエイティブのコンサルティングを行う会社「volvox」を立ち上げました。 その背景には、3年前にCANTEENという会社をつくり、音楽と都市文化に関するさまざまなプロジェクトを展開してきたことがあります。CANTEENの主力事業は、アーティストのやりたいことを一緒に考え、それを最優先にしながら、ビジネスとして成長することをサポートするマネジメント/レーベルサービスです。このサービスを運営するなかで、もうひとつ新しい組織体が必要だと考え

          都市文化を継続的に育む基盤として──新会社volvox設立に至るまでの経緯

          「まずは自らの美学を――『KUUGA』についてのノート」

          詩を生み出す仕事TohjiとLootaによるアルバム『KUUGA』が今年3月にリリースされた。Tohjiのキャリアを振り返ってみても、この作品はサウンドやフロー、歌詞の面で高いクオリティを誇っている。しかし、この作品を今発表する意味や、作品を取り巻く状況があまり多くの人に伝わっていないように感じているのも事実だ。なかにはこれまでの作品との差異に戸惑いを覚えているリスナーさえいるかもしれない。 プロジェクト・マネージャーとして『KUUGA』の制作に携わるなかでずっと考えていた

          「まずは自らの美学を――『KUUGA』についてのノート」

          アアルトのデザインから感じた詩的な優しさ──「アイノとアルヴァ 二人のアアルト」展を見て

          1いろいろなことが立て続けにありここ数年で1番沈んでいた時期を乗り越えつつある。1人の時間を増やしたり、仕事と関係のない友人との時間を増やすことで、少しづつ自分の感覚や生活を大事にできている実感がある。ただ緊急事態宣言やそれに続く措置といった制約の中で「休み」や「遊ぶ」イメージが自分の中で作りにくいままなのも確かで、無意識のうちに仕事に篭ってしまう習慣と未だに格闘している。 最近はだいぶ暖かくなり街に人も増えてきた。仕事の合間に職場から坂を下り目黒川の近くでランチをすると、

          アアルトのデザインから感じた詩的な優しさ──「アイノとアルヴァ 二人のアアルト」展を見て

          コロナ渦における〝自由〟な音楽のゆくえ

          本稿は慶應義塾大学アート・センター主催のシンポジウム『文化と集団のアーバン・リサーチ──いま、都市のコミュニティはどうなっているか?』での自分の発表「コロナ渦における〝自由〟な音楽のゆくえ」を事後的にまとめたものです。 シンポジウム全体の目的や趣旨に関しては、事後的にまとめられた冊子の巻頭言を参考にして頂きたいです。  新型コロナウイルスによって対面での交流やイベントの実施に生じた制限は、生活や仕事のみならず、文化的実践の領域にも及んでいる。こうした状況下でとりわけ大きな

          コロナ渦における〝自由〟な音楽のゆくえ

          インディペンデントの条件 ──彼自身によるスケプタ、そしてグライム

          コロナで人と会う機会が減っているからなのか、仕事が忙しいせいか、それとも気持ちを落ち込ませるような出来事が続いているからか、実際にはそれらが複合的に自分を追い詰めているのかもしれない。 できるだけ規則正しい生活を送り、時間を作って運動を欠かさず行えるようになったここ5年ほどは、大きく体調を崩すことも少なくなったが、それでも調子が悪くなることはある。4月に30歳を迎えようとする自分の生活や感覚はまだまだ脆く変わりやすい。全てを捨てて自分のことを誰も知らないような新しい環境が喉

          インディペンデントの条件 ──彼自身によるスケプタ、そしてグライム

          リモート中に読んだもの、見たもの3

          前回から2ヶ月以上が経っている事に気がつき、急いで最近読んだ本をかき集めた。6月頭から自分のオフィスで仕事を再開しているので既にリモートでなくなって久しいが、とりあえずタイトルはこのまま進めたい。 このnoteはその時の気分の記録とアウトプットの手段として継続していきたいので、次回から違うタイトルにしよう。 NEXT GENERATION GOVERNMENT もともとは春にロンドンに行った時の飛行機で読んでいたもの。オフィスに置きっ放しになっていたので、メモを含めて読み

          リモート中に読んだもの、見たもの3

          リモート中に読んだもの、見たもの2

          ラフにまとめると言ったものの、気がつけば前回から1ヵ月近く経ってしまった。寝る前に本を読む生活が続き、久々に本を読むことに対する「慣れ」を感じているが、ここに書く前提で色々考えていると読むこと自体のスピードは落ちる。 いつも使っているノートにはアーティストのマネージメントやクリエイティブについて、事業のアイディアやメモの他に読んだ本の話が並んでいる。健康的な感じがする。 俺か、俺以外か。 ローランドという生き方 HOST-TV.COMとローランドチャネルの動画を見終わって

          リモート中に読んだもの、見たもの2

          リモート中に読んだもの、見たもの

          家で全ての仕事をするようになって早二週間。いつもよりインプットの時間が増えてきて、この時期に考えたことが今後重要な意味を持ちそうだなとフト思ったので、少しづつラフにnoteにまとめていく。 美と共同体と東大闘争 緊急事態宣言がでる少し前に渋谷のパルコで映画『三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実』を見た時に受付で売っていたのでこの本から読み始めた。ちなみに映画より以下の方が詳しく面白かった。 この本の中で「全共闘C」として登場する芥正彦。当時も凄まじいイキリ方だけど映画

          リモート中に読んだもの、見たもの

          「UNTOUCHED──お金(の未来)を手さぐる」とは:トークについて

          展示イベント「UNTOUCHED──お金(の未来)を手さぐる」の開催がいよいよ今週末に迫る中、前回の前編ではイベントに至った経緯とコンセプト、展示に参加してくれるアーティストについて説明しました。 今回の後編では、展示と対をなしているトークについて解説していきたいと思います。 トークのコンセプトトークは、二日間のプログラムが組まれています(レセプション除く)。 作品展示と比べると、こちらはもう少し現実に即した「お金」について考えるものになっています。 プレスリリースにも

          「UNTOUCHED──お金(の未来)を手さぐる」とは:トークについて

          「UNTOUCHED──お金(の未来)を手さぐる」とは:コンセプトと展示について

          ここ数ヶ月間、チラチラと告知をしていた展示イベント「UNTOUCHED──お金(の未来)を手さぐる」の開催がいよいよ今週末に迫っています。 準備に追われ、なかなか内容の説明や告知を行えていなかったので、今回のnoteではイベントに至った経緯やざっくりとした概要を説明します。 イベントに至った経緯まず今回のイベントは、僕が10月に新しく立ち上げた会社であるCANTEENと、モバイル決済サービスのCoineyやECサービスSTORES.jpを持つ「hey」社での共同開催です。

          「UNTOUCHED──お金(の未来)を手さぐる」とは:コンセプトと展示について

          大学のような都市──Mall Boyz仙台公演に同行して

          tohji擁するMall Boyzの公演に付き添って、仙台を訪れた。 少し前から彼らのマネージメントや制作進行を手伝っていることと、以前から仙台のシーンが気になっていたこととが偶然重なり、今回足を運ぶことになった。 仙台のシーンやSHAFTなどのvenueに関心を持っていたのは、主にムニくんというDJの影響が大きい。政治や生活に対する問題意識を制作に結びつけようとするスタンスには共感するところが多く、会ったことはないもののどこか身近な存在に感じていた。 また、ある時期か

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          メディアのブランドとプライド──ICCシンポジウム「アジアのカルチャーシーンをつくるには」感想 後編

          先日、ICCで行われたメディアアート国際シンポジウム「インターネット以降の文化形成──創作、発信、ネットワーク──」の感想、後編。 前編「東京の“ツラ”、アジアの“ツラ”」はこちら。以下イベント概要。 ネット社会特有の新たな表現を発信するプロダクションとメディアによるカルチャーシーン形成の実践を紹介.インターネット以降の文化の相互作用,そこで生まれるアジアにおけるユースカルチャーの未来について考えます. 出演者: 川田洋平(編集者/『STUDIO VOICE』ディレクタ

          メディアのブランドとプライド──ICCシンポジウム「アジアのカルチャーシーンをつくるには」感想 後編