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藝大卒展と、クリエイターの3つのタイプ

 Twitterでも書いたように、今日は藝大の卒展に行ってきた。

 「芸術大学」と聞くと、「美術」のイメージが強い人もいるかもしれない(僕がそうだった)けれど、実際はバリエーションに富んだ「藝」を取り扱っている。日本画・油画・彫刻・工芸・デザイン・映像・音楽——などなど。

 それゆえ、藝大の学園祭は最高にぶっ飛んでいる。

 ウェーイなイメージもある早稲田・慶應とは方向性が違うことは言うまでもなく、また別の意味でぶっ飛んでいる京都大学的なベクトルとも異なる。色とりどりの展示作品が纏った色彩がそのまま空気に溶け出したかのように、極彩色の空間が学内に広がっているのだ。
 その「色」とは、「色彩」という意味でもそうだけれど、「価値観」という意味でも極彩色に彩られたもの。常人には思い浮かびもしないような美的感覚や、世間的には醜悪だと考えられている部分にも平気で切りこんでいく。あらゆる美醜を取り込んだその空間は、特定の「色」として判別が付かないマーブル状の水面のように、無限の色に満たされているようにも映った。

 ——で、それはさておき、卒展でしたそうでした。

 現在、東京都美術館で開催中の『第66回 東京藝術大学 卒業・修了作品展』の話です。多種多彩な学科の学生さんの作品が集うその空間にて、「ほえー」とか「うひゃー」とか呟きながら展示物を鑑賞していた自分。
 展示自体も門外漢なりに楽しんでいたのだけれど(自作フォントや和紙の展示がおもしろかった)、その一方で気になったのが、展示物の脇に書かれた解説文。これが、思いのほか興味深かったのです。
 形式や規格が細かく定められている「卒業論文」とは異なり、各々にまったく異なる文体で記されているそれら文章。端的に作品について述べた説明書じみた文があれば、エッセイ調の文もあり、さらにはポエティックな文章もあるという自由っぷり。

 それを読むだけでもおもしろかったのだけれど、同時に気になったのが、その文章から垣間見える、「なぜ創るか」という根本的な創作の理由について。

 国内随一の競争率を誇る藝大に入るくらいなのだから、生まれつきの「クリエイター」気質な人が多いのか——と思いきや、意外とそうでもないように読めて驚いた。で、その「なぜ創るか」の理由を読みつつ、自分なりに分類を考えてみた結果、以下の3つに分けられるんじゃないかと思い至ったわけです。

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