【モノ・トーン】北欧の暮らしのピースを見つける旅

前回の「クリエイティブな環境は、どのように生まれるのか?」で、こちらのSTYLE(個性)、PERSPECTIVE(視点)、CREATE(つくる)の3つが大事だというお話をしました。

今後はSTYLE(個性)を「モノ・トーン」、PERSPECTIVE(視点)を「モノ・サシ」、CREATE(つくる)を「モノ・づくり」でまとめていきたいと思います。

今回からの更新は、「モノ・トーン」にフォーカスし、どのように個性を形作っていくのかというポイントで考えるきっかけをお伝えしようと思います。

舞台は、日本から一番近い北欧と言われているフィンランドのヘルシンキ。彼らがどのようなモノを選んでいるかということが分かるエピソードです。

人生初めての買付をしたフィンランドの首都ヘルシンキです。

5月上旬ということもありまだ10℃にも満たない日が続く中、初日は大荒れの雨模様。アンティークショップを数店舗周っただけで、「これぞ買付」といったような蚤の市での買付を想像していた自分としては、少し物足りない感じを残しつつ、ショップを後にし、知り合いのクラフトショップで情報収集。そのショップの店主から、Design DistrictというエリアにあるFredrikintoriという広場で今年初めてのアンティークマーケットが開かれるという情報を教えてもらう。

翌日は昨日までの雨模様が嘘のような晴天。

意気揚々と朝から準備をし、Fredrikintoriのマーケットに出向くも、お店の人たちも準備をゆっくりしていて人もまばら。この一種のゆるさが「北欧らしさ」なのかもしれないが、昼を過ぎたころに徐々に人が集まりはじめ、お店の人たちとしっかりとコミュニケーションを取りながらヴィンテージ品を購入している姿がとても印象的だった。

僕の買付はといえば、事前のリサーチが過ぎたのか、目の前に有名な北欧ヴィンテージがきれいにディスプレイされているだけで胸が高鳴るのを感じて目移りばかり。これ!といったモノをなかなか見つけられずにいた。そんな中ふと我に返り、「なぜみんな熱心に蚤の市やアンティークに来るのか?」「北欧から進出したIKEAとか新しくて安いものとかあるじゃないか?」などという疑問が湧いてきた。日本のインテリアシーンと子供連れの若い人たちが熱心にアンティークを物色しているフィンランドの状況を対比しながら、現地在住の方や出店している方々に、この質問をぶつけてみた。

するとこんな答えが返ってきた。

「フィンランドは家なども古く、その家の中で使う家具などのインテリアも譲り受けたものが多い。だから、IKEAなどの新しいものを足していくと、その部分やそこだけが浮いちゃうじゃない。だから自分の目で暮らしに合うピースを見つけて回るんだよ。ここではアンティークやヴィンテージもあるけど、だれかのお下がりのセカンドハンドという意識が強いんだ。」

フィンランドのモノのセレクトする判断軸のようなこと、そしてモノの目利きのヒントのようなものを丁寧に教えてくれた。

あらためて街をその視点で眺めてみると、Antiqueと看板を出しているショップもあるが、それ以上にsecondhandやsecondcycleという名前で出しているショップの方が多いことに気がつく。

例えば自分の暮らしや人生で足りないモノ、そのピースは一体なんなのだろう。

果たしてそれは、新品でどこにでもあるモノで埋め合わせてしまって良いのだろうか。なにやら壮大な命題を出されたようだけど、このピースを見つけるのは、ある種の旅のようで、旅と同じように終わりや正解がないことが、なんとなく理解できたのだった。


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岩井 謙介

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年複数回発行している北欧のクリエイターたちのインタビューを編集・デザインしたインディペンデントマガジンa queit dayの厳選記事や北欧の人たちの物の見方、考え方をまとめていきます。
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