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[魔法同盟] 「自分のアカウントデータ」とはどんなものか

サービス終了の発表に、下記の文言が含まれていたことに気付かれたでしょうか?

ご自分のアカウントデータをご希望の場合は、2022年1月15日までに当社サポートにご連絡ください。少々お時間をいただきますが、当社チームがデータをご用意します

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実は私はちょうど1年ほど前に、自分の魔法同盟のアカウントデータをNianticから取り寄せていたので、本記事では、どうやって個人データをリクエストするのか、どんなデータが届くのか、などをご紹介します。

1. 背景

まず知っておいていただきたいのは、上記の文章は「楽しかった魔法同盟の想い出を手元に置いておきたい方は申し出てくださいね」という趣旨で書かれたものではない、ということです。届くデータについては本記事の3章でご紹介しますが、いわば英単語と変数名と数値の羅列であり、「なるほど、Nianticは魔法同盟を通じて、私自身についてこういうデータを集めていたんだな」ということがわかる、という類いのものです。

GDPR (EU一般データ保護規則) 第20条において、収集された個人データを本人が受け取って保管する権利があることが謳われています。したがって、魔法同盟を通じてプレイヤーの個人データを集めているNianticは、少なくとも欧州のプレイヤー本人から要求があれば、そのプレイヤーの個人データを本人に提供しなければなりません。(このあたりはど素人の私の理解ですので、間違っている可能性もあります。気になる方はご自分で調べてみてください。) 他地域・国にも類似の法令があるのか私にはわかりませんが、Nianticは世界中のプレイヤーに対して同様の対応をしています。

これは、魔法同盟のリリース直後からNiantic が対応していたことです。サービス終了と合わせて今回わざわざこの文言が書かれていたのは、「魔法同盟を通じて集めた個人データを希望者(本人)に提供できるのは、2022年1月15日までに希望があったものまでです」という、単なる「個人データ提供対応の終了予告」です。

「楽しかった魔法同盟の想い出を手元に置いておきたい方は申し出てくださいね」という趣旨で書かれたものではない、という意味が何となくおわかりいただけたでしょうか?

2. 自分のアカウントデータの取り寄せ方法

個人データのリクエスト方法は、公式サポートサイトに書かれています。

https://niantic.helpshift.com/a/hpwizardsunite/?p=web&s=get-in-touch&f=how-to-contact-support-1574300438&l=ja

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私は上記のメールアドレス宛に、
・魔法同盟のプレイヤーID
・魔法同盟に紐つけたGoogle/Apple/Facebookアカウント
を書き、自分の魔法同盟の個人データを送ってほしい旨のメッセージを添えて送信しました。私自身は魔法同盟へのログインにGoogleアカウントを使用していたので、明らかに本人とわかるように、そのGoogleアカウントのGmailアドレスからメールを送信しました。

(注) この公式サポートサイトに書かれている「Apple IDで『メールを非公開』にしている場合」の対応については、私は詳細を知りませんので、下記サイトをご参照ください。

https://support.apple.com/ja-jp/HT210425

なお、私は勝手がわからず日本語と英語の両方でメールを書きましたが、日本語で返信が来たので、日本語だけで大丈夫だと思います。

1年前に私がこのリクエストをした際には、翌日に窓口の方から「詳しい事情を教えてください」という返信が来たので、3, 4回メールのやり取りをして、その後「リクエストは担当チームへ共有されました。最長30日ほどお時間をいただきます。」とのメールが届きました。実際にデータ(へのアクセス情報)が届いたのは、それから26日後でした。

3. 届いたアカウントデータについて

最終的に届いたメールに書かれていたのは、下記の2項目でした。

◯ 個人データをまとめたファイルを保存してあるGoogleドライブ (クラウドストレージ) のリンクURL (アクセス有効期限30日間)
◯ 上記リンク先へのアクセス用パスワード

Googleドライブに保存されていたのは、7z形式で圧縮されたファイルでした。解凍すると下図のようなファイルが入っていました。

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上から順に、データの中身を簡単にご紹介します。

Analytics.zip

これを解凍したものが、一番下の2つのファイル"User_Attribution_Sessions.csv"と"User_Attribution_Installs.csv"です。

CommunityData

公式コミュニティフォーラムを最初に訪れた日、最後に訪れた日、訪問回数、選択しているアバター画像、ディスカッション回数、コメント回数、獲得ポイントなど

SocialProfileInfo.txt

自分のフレンドコードと、フレンド招待が届いた際のプッシュ通知の設定

SocialCrossGameSettings.txt

Your cross-game settings:
    Online Status: OPT_OUT
    Last Played Date: UNKNOWN
    Codename Display: UNKNOWN

と書いてあるのみで、よくわかりません。

Gameplay.txt

自分のゲームプレイに関する膨大なデータです。全てを詳細に羅列するのは不可能に近いので、「こんなデータが含まれている」という例をザッと挙げておきます。

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魔法同盟の開始日時
魔法使いレベル
歩いた距離
獲得した魔法使い経験値の累計
魔法省IDの設定内容(選択している肩書やクラス、職業、杖の設定など)
スーツケースの中身(各アイテムの所持数)
各ファウンダブルの目撃数と回収数、最初に遭遇した地点の経緯度と日時
その時点で持っているポートキーの種類と鍵使用有無
調合中、調合待機中の魔法薬
職業別レッスンの受講レッスン数
各系統別の系統経験値とイメージ記録数
宿屋の訪問回数
温室の訪問回数
マップの痕跡との遭遇数と回収数、プレイヤーが逃げた回数
魔法使いチャレンジの回数と勝利数
入手ゴールドと使用ゴールド
闇検知器の使用数(スロット別)
アイテム入手数カテゴリ別
アイテム使用数カテゴリ別
唱えた呪文(痕跡回収)の成功回数
マスターレベル呪文の回数
唱えた攻撃呪文の成功回数
唱えたプロテゴの成功回数
ポートキーかばんの解除数
魔法薬の調合数
マップの材料を拾った数
各魔法薬の使用数
マップの痕跡に対する魔法薬の使用数
魔法使いチャレンジでの魔法薬の使用数
各呪文を唱えた回数
これまでのフレンド数の最高値

Forum_info_comments_discussions.txt

公式コミュニティフォーラムに投稿したディスカッションとコメントの内容、該当投稿のURLと日時など

Accountinformation.txt

ユーザーネーム、eメールアドレス、ロケール、紐付けしているアカウント、過去にログインしたことのある全ての端末

Supportinteractions1.tsv

アプリ内ヘルプ使用時のやり取りの履歴

RecentlyUnfriended.tsv

フレンドではなくなったプレイヤーのリストと、フレンド解除日時

RecentInviteActions.tsv

フレンド招待の送受信区分、日時、相手のユーザーネーム、結果

MarketingCommunicationInfo.tsv

国と言語、プッシュ通知やeメール通知の設定など

Logins.tsv

ログイン日時とセッション時間(分)のリスト

LiveEventRegistrationHistory_GiftedOrRedeemedTickets.tsv

「ギフトで受け取った、または引き換えられたチケットを用いて現地参加型イベントに申し込んだ履歴」と思われるが、私の場合中身はデータなし

LiveEventRegistrationHistory_AsPurchaser.tsv

「お金を払って現地参加型イベントに申し込んだ履歴」と思われるが、私の場合中身はデータなし

LiveEventLeaderboard.tsv

「現地参加型のイベントでリーダーボードに入った履歴」と思われるが、私の場合中身はデータなし

InAppPurchases.tsv

アプリ内ストアでの購入履歴

GiftingHistory.tsv

ギフト送付と開封をした全ての日時 (相手やギフトの種類は書かれていない)

GameplayLocationHistory.tsv

ゲームをプレイしていた緯度と経度 (プレイ中に位置情報が更新される度に記録していると思われる、非常に膨大な位置情報データ。1分間に5, 6回のこともあり)

FriendList.tsv

フレンドのコードネーム、フレンドになった日時、招待状を送ったのがどちらか、のリスト

FriendInviteSents.tsv

データなし

FriendInviteReceived.tsv

データなし

FitnessData.tsv

ログイン日時、歩数、移動距離、消費カロリーのリスト

DrawingEntryHistory.tsv

抽選への申込履歴と結果
(2019年8月31日〜9月1日に米国インディアナポリスで開催されたFan Festival Indianapolis 2019に私が参加申込をして当選した、という履歴が残っている。記憶にないけど申し込んだんだろうか…)

User_Attribution_Sessions.csv

プレイ時のIPアドレス、スマホ/タブレット種別、言語設定、タイムゾーン、国、都道府県、市町村、郵便番号、アプリの端末ID、Apple/Googleの広告IDなどのリスト

Use_Attribution_Installs.csv

インストール時のIPアドレス、スマホ/タブレット種別、言語設定、タイムゾーン、国、都道府県、市町村、郵便番号、アプリの端末ID、Apple/Googleの広告IDなどのリスト

以上がアカウントデータの中身のご紹介です。私はいずれもWindows PCでMicrosoft Excelを使って中身を見ましたが、Googleスプレッドシートなど類似のアプリでも見ることができると思います。

4. 最後に

私がこのデータを1年前に取り寄せたのは、「レベル60到達後にも累計の魔法使い経験値がカウントされているかどうかを知りたかったから」です。魔法同盟では、レベル60到達後にはアプリ内のどこにも累計経験値が表示されていませんが、もしカウントされているなら、ポケモンGOのようにサービス開始から数年後にレベルキャップ解放される可能性があるかもしれないと考えたからです。(カウントされていたけど、レベルキャップは解放されないままサービスが終了してしまうわけですが…)

アカウントデータのうち、眺めていて少し興味深いのは Gameplay.txt くらいですので、「魔法同盟の思い出」として取り寄せるのであれば、正直なところあまりオススメしません。取り寄せるのも、解凍して中身を見るのも、やや面倒ですしね。私も今回この記事を書くために、初めて全てのファイルに目を通しました。

もちろん興味がある方は取り寄せればいいんですが、こんな「英単語と変数名と数値の羅列」よりも、登録簿のスクリーンショットを撮ったり、お気に入りのファウンダブルのAR写真を撮影したり、仲間と魔法使いチャレンジする画面を動画に残す方が、ずっといい思い出になると思います。BGMを録音しておいて、数年後にそれを流しながらスクショを眺めたりしたら、懐かしくて泣いてしまうかもしれませんよ。

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