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人事評価でS評価をもらうための考え方

こんにちは。Kです。

私もJTCに勤めて10年以上になりますが、毎年やってくる人事評価。
ボーナスや昇給額に影響するので皆さんも評価の時期になると自分や周りの評価が気になることが多いと思います。

私も人事評価を気にしつつ仕事をしているわけですが、幸いにも良い評価がもらえる年が多く、上司から仕事内容をある程度評価されているようで上司には感謝しています。

一方、会社の中でもツイッター上でも人事評価・査定に対する不満をよく見かけます。
不満の内容は適正に評価されてない、目標達成したのに評価が悪い、というのが多いように思います。

最初は確かにそういうケースも多いんだろうなと思っていたのですが、JTCに長く勤めて人事評価の決定プロセスが分かってくると、そもそも多くの人が人事評価という制度を誤解しているのではないかという風に考えるようになりました。

このnoteでは、私の10年間のJTC化学メーカー勤務の経験から分かった人事評価制度のカラクリを解説しつつ、いわゆるS評価をもらうための考え方について解説します。

ですがこの記事を読んでいただければ分かると思いますが、S評価を簡単に取ることはできないので人事評価の制度を理解して評価で損しない仕事のやり方・考え方が主題になります。

それでは、さっそく人事評価・査定の仕組みについて解説していきたいと思います。


人事評価について

人事評価は毎年のその人の成果やパフォーマンスを評価して昇給やボーナスに影響します。
1月~12月、4月~翌3月で評価するパターンやその半期ごとの評価する場合もあります。

評価は5段階や10段階など会社によって様々ですが、人事評価の制度自体はすべての会社で導入されていると言ってもよいであろう制度だと思います。

このnoteでは簡略化するために評価段階と割合について、S、A、Bの三段階で上位25%の評価がS、上位25%~75%がA、下位25%がB評価として解説していきます。

また期初に上司と面談して目標を決めて期末に成果を確認する面談をして目標の達成具合を確認して、最終的に決定された評価を上司から伝えられる、というパターンが多いと思いますので、評価者については上司や偉い人のみが関与するものとし、360度評価のようなシステムは考慮しないものとします。

評価・査定に関する誤解 
最終評価はテストの点数ではなく順位で決まる

まず初めに、人事評価に関する誤解を解いておきたいと思います。

このnoteを読まれている方はおそらく自身の人事評価に満足していないと考えているのではないでしょうか。

例えば、「期初の目標を達成してさらにプラスαの仕事をしたのにS評価がもらえなかった」とか「これだけ成果があるのにA評価なんてありえない」と考えているということです。

ですが、これは会社の人事評価の制度を勘違いしています。

予算の関係上、労務費は決まっているので各評価の割合はあらかじめ決められているケースが大半です。

このため、最終的に各評価の割合を均す作業が必ず行われます。

つまり人事評価は「テストで何点取ったか」ではなくて「順位が何番目だったか」という相対評価で決まる仕組みだということです。

期初で業務の目標を決めますが、職級・職位に応じたレベル付近で設定されるケースが多いと思います。
そして、期末に達成具合をチェックして評価されることになります。
ここまでは期初に与えられた課題(テスト)に対してどれくらい進捗したか(何点取れたか)、という観点で評価されます。

一方で実際の評価を決めるプロセスではS、A、Bの3段階の評価の割合は決まっています。
このため各職級ごとに目標の難易度と達成状況を加味して点数化にされ、部署内で順位付けが行われます。
そしてこの順位で上位25%がS評価となるわけです。

つまり、目標を決めて達成度を測る段階ではテストの点数で測られますが、最終的な評価を付ける段階ではテストの点数から順位に変化します。

目標は職級相当で目標達成度120%の人と、目標が職級よりも150%程度難しい内容で目標達成度が100%の人なら、後者の方がより良い評価をもらえるということです。

例を挙げると、期初目標で特許2件出願を目標にしていて最終的に特許を3件出願して今年は十分出願したな、と思っても4件出願した人や5件出願した人がいれば自分の評価は下がってしまいます。
他にも今年は予算過達したと思ってもそれ以上に売上・利益を上げている人がいれば評価が下がる可能性があります。

このため、本人が目標達成したと思っているにも関わらずB評価やA評価になってしまうケースが多々あります。
これが評価の不満につながっている大きな理由だと考えられます。

もちろんこの制度自体が間違っている(良くない)と思う方もいるかもしれませんが、会社の運営の観点から予定していたボーナスや昇給額に差が出てくると予算との乖離が生じてしまいます。
今年はみんな頑張ってくれたからみんなS評価にする、ということができないわけです。

以上のことを踏まえると、S評価を得るためには期初の目標に対する達成率よりも他の人の成果(パフォーマンス)がどれくらいか?ということに着目すべきなのです。

この誤解をなくしたうえで人事評価の決定のプロセスを考えれば、何をすれば良い評価がもらいやすいかが分かります。

S評価を取るために考えておくこと

ここからはS評価やより良い評価を取るために考えておくことを4つ紹介します。

これを意識しているだけでも今年自分の評価がどうなりそうか、というのが分かってくると思います。

相対評価で決まることを念頭に置く

これは先ほどの述べた通り、評価は相対評価で決まります。
このため、期初に決めた目標を達成しようが、十分成果があったと感じていても他の人(自分と同じ職位の人)と比べてパフォーマンスが悪く上位25%に食い込めなければ残念ながらS評価になりません。

この相対評価でもう一つ重要なのは最終的な評価はより大きな部署の単位で調整されて決定されるということです。

課やグループといった部署の最小単位では10人~20人程度であることが多く、各職級の人数と評価の割合が一致しないケースもあります。

このため、より大きい部署の単位、例えば事業部や事業所、研究所といった単位で評価の割合がS, A, Bで25:50:25になるように調整します。

例えばT製造部にA課、B課、C課があるとすると、評価割合の最終調整はT製造部内で行われます。

A課でS評価の当確ライン上にいる場合だと、課長がS評価で出した場合でもT製造部内の最終調整でひっくり返る(A評価になる)ケースもあります(その逆も可能性としてはありますが、各部署のS評価の割合が集計したら少ないというケースはほぼないと思います)。

なので確実にS評価をもらいたいなら自分の所属部署だけでなく、より上位の組織(この例だとT製造部)で見た時に上位25%に入っている必要があります。

このため自部署内での相対評価の順位だけでなく、他部署の同職位の人の成果・パフォーマンスと比較して自分はどうか?という視点も持っていた方が良いです。

上司が認める成果を上げる必要がある

面談を通して成果を確認して評価を部に上げるのは課長やグループリーダーといった人事権・評価権を持った直属の上司です。

このため、上司に対して説明できる成果が必要です。

やりたいことを裁量の範囲で勝手にやるのは問題ないのですが、部署や会社全体の方針に合っていなければ成果がない(パフォーマンスが悪い)と認定されても仕方ありません。
これだけたくさん仕事をしたのに俺の評価が悪いのは納得できない!と言っている人はこのパターンが多いです。

上司も会社の方針や、上司の上司の方針に合わせて仕事の割り振りや部署の仕事内容を決めているので、それに従わないのであれば悪い評価になるのも当然です。

この成果に関する部分の詳細については後述しますが、上司があなたにやってほしいと思っていることをきちんと遂行しましょう。

上司と上司の上司が決定権を持っている

評価の決定権を持っているのは「直属の上司」と「直属の上司の上司」だと考えておきましょう。
上で述べたように最終的に評価を一定の割合に均す必要があるため、各課の課長が持ってきた評価を部長と課長たちが確認して部内で一定割合にします。

先ほどの例で言えば、A課の所属員はA課長とT製造部長がほぼ決定権を持っているということです。(あとで説明しますが、正確にはB課とC課の課長も決定に影響するケースがあります。)

A課の中で評価の割合は決まっていますが、人数が少ない場合は割合どおりにすることができない場合もあります。

このためT製造部の中で調整が行われ、その段階で製造部長に評価の決定に関わってきます。(なお、場合によってはさらに上位組織での割合調整も考えられますが、人数が50~100人規模であれば基本的にその組織内での調整になると思います。)

ですので、先ほどの説明の上司に説明できる成果というのはA課内だけでなく製造部に対しても説明しやすい(アピールしやすい)成果の方がより有利ですし、製造部長も成果を認めている必要があります。

自分の所属している課だけでなくてより大きな部署単位で自分の仕事の立ち位置を理解し、上司や上司の上司が最終的な成果の評価者であることを認識しておきましょう。

ローカルルールを把握する

JTCの場合、人事評価においてローカルルールが存在する場合が多く、これを把握しておくことが非常に重要です。

最も多いのが、昇格直前はS評価や1段階評価を上げる、昇格直後はB評価や1段階評価を下げる、というものです。

昇格前後でこのような調整があるのは次の理由によるものと私は考えています。

人事評価が良いほど定期昇給の昇給率が良いので、昇格直後にS評価にするとその後の定期昇給での労務費が増加しやすいので、その対策と思われます。
逆に昇格直前のS評価だと昇格による昇給は各職位の基本給下限飛びつきとなるケースが多く、直前で昇給が大きくても基本給の昇給分は昇格によってすぐに打ち消されるため、労務費への影響が小さいです。

このような事情を考えると、上述の昇格前後のローカルルールについては、運用が甘めの所であったとしても昇格直後でS評価をもらうことは非常に難しいし、A評価でも難しいと言えるでしょう。

逆に昇格直前の年はS評価がもらいやすいので、A評価レベルの仕事でも下駄を履かせてもらってS評価になる可能性があります。

このようなローカルルールを把握しておくことで、今年は良い評価を取りやすい年かどうかも把握できますし、他の人の評価がどうなる可能性が高いかについてもある程度分析可能になります。

どう行動すればS評価がもらえるか?

では、実際にどのように行動すればS評価につながりやすいか、NG行動は何かを簡単に紹介しておきます。

まずは評価制度とローカルルールを覚えておく

まずは自分の会社の人事評価の制度とローカルルールを覚えておきましょう。
各評価の割合はもちろんのこと、昇格に関する制度も評価に絡んでくる話なので確認しておきしょう。

ローカルルールについては直属の上司が簡単に口を割らない場合があるので、そういうのに詳しい先輩に聞くか、上司に酒を飲ませてぽろっとしゃべらせるか、過去にマネージャーをやってて今はマネージャーのラインを外れた人に聞いてみるなど、確認方法はいろいろあります。

先ほど述べた「昇格直後の評価は1段階必ず下げる」のようなローカルールのせいで事実上S評価を取れない年もある、というケースもあります。

このようにローカルルールは評価が決まる上で大きな影響があるので、S評価をもらいたいなら確実に調査しておきましょう。

上司に嫌われる行動はNG

当たり前の話ですが、直属の上司に嫌われるような行為はNGです。
例えば、勤務態度が悪かったり上司に対する態度が悪かったりすると、仕事の成果・パフォーマンスが良かったとして上司はその部下にS評価を付けるのをためらうかもしれません。

もちろん、評価制度は建前上公平であると謳っていますが、評価するのは人です。
上司も建前上は公平な評価にするでしょうが、上司も人なので個人的な感情を抜きに評価するのは難しいと思います。

また上司によって仕事のやり方や人に対する好き嫌いは違うので、一概にこの仕事のやり方が良いみたいなものはありません。

ですが、S評価をもらいたいと思うのであれば、仕事を進める上で上司の意向が第一優先であることは間違いありません。

上司があなたに何をしてほしいと思っていることをきちんと理解することはもちろん、上司が解決したい課題がどのようなものか、そしてそれに必要な打ち手はなにか、ということを把握しておくと良いでしょう。

上司は組織や自部署の課題を解決するために部下をマネージしています。
上司としても課題や解決方法について理解して行動してくれる部下は有難い存在であり、部下の成果も認めやすいと言えます。

とはいえ、個人的に相性が悪い、考え方が根本的に異なる、などの理由から嫌われてしまうパターンもあります。
人と人との相性はどうしようもない部分もあり、防げないケースもあります。

ただ仕事上のことに関しては防げるケースがほとんどと言ってもいいです。
上司に与えられた仕事をこなしているか?認識に齟齬がないか?上司に偉そうな態度を取ってないか?勤務態度が悪いなどの目を付けられるような行為をしていないか?などなど。

常に組織や自部署の課題に意識を向けて、部署内での自分の仕事の意味を理解して、上司を立てながら仕事を進めましょう。

会社・部署内での揉め事はNG

もう一つのNG行動は会社・部署内での揉め事・人間関係のトラブルです。

自分勝手でしばしば周囲と不和を起こしたり、不仲な人がいるというケースや雑用を引き受けなくて他の人を困らせたり、ルール違反が多いというのも揉め事やトラブルの種になりがちです。

このような行動は直属の上司に嫌われる可能性が高まる他に、上司の上司や他部署の課長やグループリーダーからの心証が悪くなるというものがあります。
先ほど述べた通り、最終的な評価の調整はより大きな部署単位で行われます。
先の例で言うと、T製造部のA課、B課、C課での評価の最終調整はT製造部の部長とA課、B課、C課の課長によって行われるケースが多いです。

このため、評価の最終調整では直属の課長、製造部長だけでなくて他の課長の意見も入ってくるケースがあるということです。
そのため、部下が自部署内や他部署との揉め事を起こしていると製造部長や他の課の課長の手前、その部下にS評価を付けて部長に持っていくというのがやりづらくなります。

なので揉め事・トラブルで他部署の課長や部長からの心証が悪いと、S評価をもらいにくくなる原因になる可能性があります。

S評価をもらいたいのであれば、他部署や上司の上司との関係も良好に保っておきましょう。

成果は組織目標に対して貢献したことを定量的かつ定性的に説明できることが必要

S評価をもらうためにはそれにふさわしい成果が必要ですが、期初の目標を達成すればOKではありません。
最終的には同じ職位の人の成果との相対評価になります。
なので、成果は直属の上司や上司の上司にアピールしやすい内容であることが重要です。

そして成果をアピールする上で重要なことは、その成果が組織の目標に対してどれくらい貢献しており、それが定量的かつ定性的な指標で示すことができるか、という点です。
これは前述の「上司が認める成果を上げること」と同じことを意味しています。

例えば、先ほどの例で挙げているT製造部のA課の課員として、以下の成果だと定性的・定量的な内容を含んでいてアピールしやすいと思います。

「小集団活動を通じてxxの作業における作業改善を三交代作業員とともに取り組んだ。作業員たちと作業における課題の抽出から改善立案を行うとともに、作業員に対しては各作業や工程のコストについて教育を行い、コストの意識付けを行った。本作業の改善活動によって追加費用の発生なく年1億円のコスト削減を達成し、T製造部の予算達成に貢献した。」

ここで言う「年1億円のコスト削減」は定量的な成果です。一方、定性的な成果は「小集団活動を通じて作業員のコスト意識を向上させる」のようなものです。
そして年1億円のコスト削減が、T製造部の目標である予算達成に貢献したというストーリーになっています。
(もちろん組織の目標として現場力向上のようなものがあってそれが小集団活動での教育内容と結びつくとなお良い。)

このように組織目標に貢献できる成果が定量的かつ定性的にあれば、評価面談の際に課長に成果の説明もしやすいですし、課長もその部下にS評価を付けた説明を製造部長にしやすくなります。

もちろん、期初の目標設定は複数ある場合が多く、職級レベルよりも難度の高い目標を1つ達成したからS評価になるわけではなく、他の目標の達成具合やその他の項目も総合的に勘案して評価されます。
(その他の項目も総合的に勘案する、というのは上司の心証が入り込む部分でもあり、安全活動や細々した雑用をきちんとやっているか、などの直接的に目標に書かれていなくても加点や減点が行われる可能性があります。)

本来であれば期初の目標の段階で、このような定量的な目標と定性的な目標を定めておき、目標に対しての達成具合を確認してそれを最終的な成果とするのがあるべき姿です。
しかし実際には期初の段階で目標設定するのが難しかったり、定量的な目標設定が難しいケースもあったり、やるべきタスクが複数あってそれぞれ詳細な目標設定するのが難しかったり、時間がなくて目標設定の深堀ができず、ふわっとした内容になっていたりすることが多いです。

なので、仕事を進めていく中でS評価をもらうための自分の成果の着地点を見極めて定量的・定性的に説明できるようにしておく必要があります。
また中間面談や1on1があれば、その機会に今期の目標・求められる成果について上司と相談・すり合わせしておくことも重要です。

私のやっている研究開発のような職種だと定量的な成果が書きにくい場合もあるので、上司とのコミュニケーションの中で求められる成果を確認しておくと良いです(人によってはxxが達成できればS評価みたいな握り方をしている人もいました)。

同時に最終的な成果は他の人と比較されるので、他の人はどんな仕事をしていて成果をどれくらい挙げてそうか?ということもきっちり把握しておきましょう。

さいごに

ここまでの内容をまとめるとすると、
「S評価を取りたいなら人事評価のルールを把握して、上司や周りの良好な関係を築きつつ、上の人にアピールしやすい成果を出す」
ということです。

正直なところ、そう簡単なことではありません。

上の人にアピールしやすい成果を出すには重要な仕事を任せてもらう必要がありますし、上司や周囲との良好な関係を築くのも上司の言うことをよく聞いて周囲とコミュニケーションをとり、普段の雑用も丁寧にこなしていく必要があります。

上司にゴマをする人が出世しやすい、という話はよく聞きますが、結局のところ上司の仕事を助ける・支えることができたか、ということが重要なのです。

ゴマをする(上司を持ち上げるとかヨイショする)とかは抜きにしても、マネージャー層、特に課長レベルの職位は非常に忙しいので上司の言うことをよく聞いて仕事をうまくこなしてくれる部下がいるならその方が助かるというのがホンネでしょう。

また揉め事とかを起こさず他部署と適切に連携して仕事をしてくれる人材は手がかからず上司としても悩み事を抱えなくて済みます。

S評価をもらうための方法という題で書きましたが、人事評価の制度を把握するという部分を除けば、上司があなたにやってほしいこと、という内容であり、あなたの成果が組織にどう貢献したのかきちんと把握しておけば良いということです。

このnoteを読んでいただいた方の人事評価が少しでも良いものになれば幸いです。

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