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一月の歌舞伎座に行ってきました

20210107 壽 初春大歌舞伎

1月の歌舞伎座公演の第一部に行ってきました。先月に弊大学のイベントで坂東巳之助さんのお話を聞く機会があり、以前にも増して楽しみにしていた公演、「THE 歌舞伎」な見どころが詰まっていたように思います!

終始華やかな「壽浅草柱建」

浅葱幕が落ちると、色鮮やかな衣裳に身を包んだ豪華な花形役者たちが並んでおり、それだけで見ごたえがありました。

浅葱幕は、歌舞伎独特の演出だそうです。ぱっと落ちたときに、思わず「わあ」と声が漏れてしまうような見事さがありました。

役の個性がひと目でわかるお芝居。

特に、五郎と十郎の兄弟の対照的な性格は、見た目からも舞からも感じられました。

朝比奈と妹・舞鶴も面白い役ですね。舞鶴は男勝りで強い女性と説明がありましたが、役者さんがスラリと背が高いことや、着物の模様、さっぱりとした化粧などがそれをよくあらわしていました。男性がよろけながら持ち上げていた大きな柱をひょいと持ち上げてしまうものだから、思わず笑ってしまいます。

二人の遊女は頭飾りから着物まで本当に綺麗で、みているだけで嬉しくなってしまうとはこのことだと思わされました。

以前、舞台で拝見して以来、中村隼人さんのお芝居と端正な雰囲気がとても好きなのですが、今回の十郎もとても良くお似合いだったなと思います。浅葱色の着物を本当に美しく着こなしていらっしゃる!諸肌脱ぎになって、赤い着物がのぞいているところも素敵でした。ひとつひとつがとてもお上品です。

一幕最後の、船に乗り込んで七福神を模している場面は新年にふさわしいおめでたさでいっぱいでした。

さすがの技量に魅せられた「悪太郎」

打って変わって、こちらは少人数でのお芝居。

悪太郎は見た目からまさに悪人という面をしていて、酔っぱらい具合も顔を真赤にして足元がおぼつかなくてなんともまあ、すごい芝居だと思わされました。

このお芝居を面白いと思ったポイントは、修行者智蓮坊の居方です。

途中までは完全に私達サイドと言うか、悪太郎に絡まれてしまったときは、「面倒なやつに絡まれてしまった」とでも言うような表情をしているんですよね。

ところが、悪太郎が心を入れ替えて仏道を志していると知ってからは態度が一変。

「南無阿弥陀仏なんて名前、羨ましい」と言いながら悪太郎を仏道にみちびいであげる姿が、態度の変わりようがすごくて面白かったです。

「南無阿弥陀仏」「やー!」の呼応は何度繰り返されても笑ってしまいました。最後に全員で愉快に踊る場面は、喜びを全身で表現しているようで、色々あったのに最後は楽しくまとめられてこちらも嬉しい気持ちで幕が下りました。

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