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戦略参謀 稲田将人|経営ノート

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スッキリかなり好き


戦略は実践されて、はじめて価値がある

長く働いていると、この言葉が身にしみる。戦略を立てるのはもちろん難しく重要なのだが、本当に困難で戦略に価値が出てくるのが「実践」「実行」できるか否か。

成功した企業が、戦略的に正しい方向性を示していたのはまちがいありませんが、実際に成否を分けたのは、①さまざまな読み違いがあっても様々な課題に対応しながらその戦略を形にできる実践力と、②素早く的確な方向修正能力の二つだといえます。

「戦略参謀」稲田将人

おそらくこの著者は、"ふるい" 日本企業の暗部を実際に見てきたのであろう。私が働いたことのある "ふるい" 日本企業と、ストーリーに出てくる企業が体質的にほぼ同じ(リアル)だからそう考えている。

ちなみに私が言う "ふるい" 日本企業の定義は、一言でいえば「権力と恐怖によって支配された封建制が根底にある企業」である。4K(勘、経験、気合、根性)によって力を得た権力者が支配し、従者がそれに反論しようものなら恫喝され制裁される。

このような心理的にも身体的にも安全性がない企業が、令和になっても存在する。これは紛れもない事実である。そのような企業は基本的に振り返らないし、謙虚に反省をしない。PDCAの精度とスピードを上げ続ける、どの企業でも行うべき、本来の基本行動は存在しない。つまり本当の意味で戦略が実践されていない。


過去の成功体験を捨てられるか?

本当の意味で戦略が実践されていない企業が存在するのはなぜか。理由は簡単で、4Kが力(権力)のもとになっているからである。この本で繰り返し強調されているPDCAをちゃんと廻すことの大きな障害が、4Kである。PDCA=学習行動が基本にない組織は潰れる。一時的には勘と経験、気合と根性によって成長できるが、持続可能ではない。

成長の頭打ちは、成功を実現してきた過程で得られた正しい因果のアップデイトを怠り、言葉を選ばずに言えば、「バカを続けた」結果として起きる場合が多いと思います。

「戦略参謀」稲田将人

目的を明確にすることはできても、あとはゴールに向かってアップデイトされていない経験(過去の成功体験)と勘によって計画を立て、現場には気合と根性(これも過去の成功者のやり方)で実行させる。で、不思議なことに結果は見るが謙虚に反省はしない。これが "旧" 日本企業の暗部である。

やり抜く力(GRIT)は重要な力である。しかし、これと "ふるい" 日本企業の気合と根性を混同するのは違うと考える。やり抜く力は、「これだ」と信じる方向に向かって、強い気持ちで不断の努力を続ける能力である。そこには腹落ちともいうべき自分自身の納得感がある。

一方、"ふるい" 日本企業の気合と根性の強要に納得感はない。強要される側は「バカを続け」ていることを知っているので、それを精神論で達成しろというのは白ける。未来のためにも、こういう日本企業は絶滅してほしい。


Set goals for yourself to ensure a constant sense of purpose.


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