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国立西洋美術館「真理はよみがえるだろうか:ゴヤ〈戦争の惨禍〉全場面」と常設展を見てきた

企画展「ここは未来のアーティストたちが眠る部屋となりえてきたか?」と合わせて、常設展も見てきた。
この美術館も常設展が結構広くて、たくさん見れてよかった。

常設展

解説も多くて、どういう絵なのかを知りながら鑑賞できた。
2階で終わりかと思ったら、1階にもまだ展示ゾーンが続いててびっくりした。

一部の展示方法が、企画展での田中功起さんのプロポーザルに合わせて、低い位置になっていた。
私は目線が合わないのでかがんで見ることになる。
通常の展示でも、光の当たり具合と私の身長との兼ね合いで、妙に反射して見ずらいことがある。目線が基準と違うと、鑑賞のしやすさは違うだろうことは、すこしわかる。

絵としてこれが最も好きだった。
水面の澄んだ部分とさざ波立ってる部分との対比がきれい。

アクセリ・ガッレン゠カッレラ ≪ケイテレ湖≫
アクセリ・ガッレン゠カッレラ ≪ケイテレ湖≫ 拡大

モネの作品もいくつかあった。
近くで見るよりも、すこし離れて見たときに光の感じがより感じられてもっときれいだなと思った。

クロード・モネ ≪セーヌ河の朝≫

遠目でピカソっぽいな~と思って近づいたら、やっぱりピカソだったので、特徴が分かりやすい絵というのは認知してもらう上では効果的なんだろうなと感じた。
(写真はない)

真理はよみがえるだろうか:ゴヤ〈戦争の惨禍〉全場面

すべてのページのエッチングプリントが、順に壁に展示されていた。
各作品につけられたタイトルもよかった。

2番 理由があろうとなかろうと(2, Rightly or Wrongly)
3番 同じことだ(3, The Same)
~略~
2番では、フランス兵から理不尽にも銃剣を突き付けられたスペイン人の民衆が、最後の抵抗を試みる場面が表されています。ゴヤはスペイン人として同胞たちの勇気ある行動に感銘を受けたに違いありませんが、「同じことだ」と題された続く3番では、逆にスペイン人の民衆が斧を振り上げ、フランス兵たちに襲い掛かる蛮行を捉えています。
~略~

作品紹介より

順を追って見ていくと、どんどん陰鬱な心持ちになった。
「79番 真理は死んだ」し「80番 彼女は蘇るのだろうか?」で答えはないまま終わってしまう。
追加の2枚を見ても、やっぱり光、良きものは見えない。

エッチング、絵としてのきれいさもあった。
だけど題材を思うと、それだけを楽しむことはできなかった。

おわりに

今回の東京行きで、3つの美術館に行った。
いずれも「国立」の名を有している。

普段でも大阪にいるので、他の地方よりは文化施設に恵まれた環境にいると思う。それでも東京は、圧倒的に文化施設やイベントが多い。
私は金銭的にも時間的にも自由が効くので、こうやって遠出してでも見ることができる。でも、学生の頃は金銭的に気軽には行けなかったし、社会人でも状況によってはそんなに家を空けることが難しいと思う。

だから、せめて国立施設くらいは、いろんな地域に配置してほしいなと思う。企画展なんかももっと巡回してほしい。
ここ数年で、東京国立近代美術館工芸館は石川県に移転して国立工芸館となったり、文化庁が京都移転したりしている。そういった動きがもっと進めばいいなと思う。

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