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構えないで関わりたい

 私には聴覚障害を持ついとこがいる。手話を使ってコミュニケーションをとる彼をみて昔からなんとなく手話に興味を持っていた。ある日テレビを見ていると手話が公用語である手話カフェ「social café sign with me」の特集が目に留まり行ってみたくなった。そのカフェは店員さんが聴覚障害を持っており店員さんとのコミュニケーションに声ではなく手話などの身振りを使う。10月から法政のボランティア団体が手話教室を開催していたので私はそこで手話を勉強してからそのカフェに行ってみることにした。

 12月10日のお昼過ぎ、妹を誘い一緒にカフェに行った。店内に入ると店員さんからPOPで注文方法の説明を受け席に案内された。店内は30席くらいで、壁が黒板のようになっていてこのカフェに来た人たちの感想などが書いてあったり手話の本が置いてあったりした。私たちが店に入ったときには半分くらい席が埋まっており手話を使う人もいれば声を使って会話するお客さんもいた。
 注文したスープを食べ終え妹をしゃべっていると隣の席を店員さんが片付けていたので「おいしかったです」と手話で伝えると「うれしいです」という手話で返してくれた。それを見てもともと手話に興味のなかった妹が「わたしはこの店が気に入った、また来たいということを伝えたい。」と言って妹が店内においてあった手話の本で手話を調べ、会計時に店員さんとコミュニケーションをとっていた。会計をしてくれた若い男性の店員さんも私たちも笑顔で「ありがとう」という手話をして私たちは店を出た。
 
 私はこの手話カフェを訪れるにあたり、手話を勉強しないと店員さんとコミュニケーションが取れないと思っていたので2か月間手話教室に通った。でも実際私は「おいしかった」という手話しか使うことができなかった。反対にその場で自分が思ったことを伝えようとした妹の方が店員さんとコミュニケーションを楽しむことができていた。手話を勉強しなければ関わることができないと思っていることが手話を使う人たちに「壁」を作ってしまっていて関わることを難しくしてしまっていることに気が付いた。
 私は今後も手話を勉強していきたいと思うがそれ以上に気負わず関わることを楽しもうと思った。関わるために手話を勉強するのではなく関わっていく中で手話を覚えたい。そして次カフェに行ったときには私も店員さんに「また来ます」と伝えたい。

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