勝ったときくらいは書く日記~添削杯vol.6~

1.はじめに

 主催の添削さんとスタッフの皆さん、参加者の皆さんお疲れ様でした。
久しぶりに調子が良かったので、今回はTOP8に入れました。
ここではデッキ選択と対戦の記録を記載したいと思います。

2.デッキとカード選択について

 今回使用したデッキリストです。
デッキ名:SN*ATH
[土地]
4 《廃墟の地/Field of Ruin》
4 《霧深い雨林/Misty Rainforest》
2 《冠雪の森/Snow-Covered Forest》
4 《冠雪の島/Snow-Covered Island》

[クリーチャー]
1 《引き裂かれし永劫、エムラクール/Emrakul, the Aeons Torn》
1 《船砕きの怪物/Hullbreaker Horror》

[スペル]
1 《大いなる創造者、カーン/Karn, the Great Creator》
1 《覆いを割く者、ナーセット/Narset, Parter of Veils》
4 《王冠泥棒、オーコ/Oko, Thief of Crowns》
1 《チャネル/Channel》
1 《ギタクシア派の調査/Gitaxian Probe》
1 《思案/Ponder》
4 《定業/Preordain》
1 《Time Walk》
1 《Ancestral Recall》
1 《渦まく知識/Brainstorm》
1 《時を越えた探索/Dig Through Time》
1 《否定の力/Force of Negation》
1 《活性の力/Force of Vigor》
4 《意志の力/Force of Will》
1 《精神的つまづき/Mental Misstep》
4 《新緑の命令/Verdant Command》
4 《アーカムの天測儀/Arcum's Astrolabe》
1 《ブラック・ロータス/Black Lotus》
1 《魔力の墓所/Mana Crypt》
1 《Mox Emerald》
1 《Mox Jet》
1 《Mox Pearl》
1 《Mox Ruby》
1 《Mox Sapphire》
1 《太陽の指輪/Sol Ring》
4 《ドルイドの誓い/Oath of Druids》

[サイドボード]
2 《活性の力/Force of Vigor》
2 《耐え抜くもの、母聖樹/Boseiju, Who Endures》
2 《狼狽の嵐/Flusterstorm》
4 《虚空の力線/Leyline of the Void》
1 《マイコシンスの格子/Mycosynth Lattice》
1 《真髄の針/Pithing Needle》
1 《魂標ランタン/Soul-Guide Lantern》
2 《夏の帳/Veil of Summer》

 一般的なカセルオースです、と言いたいところですが、従来のオースデッキとの違いは《禁忌の果樹園》の不採用でしょう。
 《禁忌の果樹園》はカウンターされないトークン生成であり、《ドルイドの誓い》とコンボを形成します。1ターン目の果樹園+モックスからのオースはオースの最大出力/魅力であり、このデッキを選択する理由の一つです。
 ただ、果樹園は本当に弱く、単体のKPはヴィンテージで使用されるカードの中で最弱といっても過言ではありません。なぜ相手にパワー1(パワー0でもよくない?)を与えながら色マナしか出ないのでしょうか。ヴィンテージでオースを使ったことのある全ての人はこのトークンによって一度は敗北しています。
 更に《ウルザの物語》の隆盛でアンチカードとして緑色のデッキの多くが《活性の力》をメインから採用している状況です。そんな中でオースを破壊から守るのは難しく、果樹園だけが空しく場に残ります。
 というわけで、必須と考えられているオースのパーツである果樹園を抜くというアプローチから初めました。本来は果樹園を抜いてしまった時点でオースである意義は失われますが、チャネル+クールしたかったなどと供述(ry
 そこで、相手にクリーチャーを出させる代わりとして白羽の矢が立ったのが《新緑の命令》です。私も半信半疑で使い始めたので、全ての能力を覚えている人は少ないと思います。

《新緑の命令》
G1
インスタント
・対象のプレーヤーにタップ状態でトークン2体生成
・対象のプレイヤーは3点ゲイン
・PWの忠誠度能力をカウンター
・墓地から1枚追放

 どれも些細な能力に見えますが、使ってみると意外なほどに応用が利き、正直驚かされました。
 主眼となるトークン生成は、「見えないところから」「インスタントタイミング」で生成できることに意味がありました。オースとの対戦に慣れた人は果樹園が場に出るか、十分に手札が整うまで待ってからオースに対して《活性の力》を打つことが多いですが、対戦相手のターンに予想外のトークンを発生させることで、ピッチの《活性の力》ではオースの誘発を止められない状況を作り出せます。そのため、ピッチで打ちたい場合は、こちらの行動を見てからでは間に合わなくなり、通常より早めに打たざるを得ません。 
 オースが割られた場合は、自分にトークン生成をするなどの応用ができ、果樹園にはない利点が生まれました。
 また、その他のモードについてもそれぞれ役割がありました。
 ライフ回復は何もしないことが多いとされる能力ですが、《チャネル》を打ちたいこのデッキでは偶に意味があります。
 ライフ回復と同様にPW能力のカウンターは狭い条件でしか使えませんが、このデッキではエムラクールを《王冠泥棒、オーコ》の能力から守ることが出来ます。
 墓地からの1枚追放は、《死の国からの脱出》スタックでロータスを抜いたり、《神秘の聖域》の対象を抜いたりといぶし銀な活躍をします。
 各モードの利便性に加えて《活性の力》のグリーンカウントが不足しがちな部分も補ってくれます。また、軽い緑のカードであるために《紅蓮破》や《狼狽の嵐》をかわして唱えることが可能です。

 さて果樹園が抜けた枠には、《不毛の大地》に強い氷雪基本土地を増量させて、強固なマナベースにすることにしました。
 元々このデッキは、雪玉こと《アーカムの天測儀》を《船砕きの怪物》でお手玉(モックスと雪玉で無限ドロー)して勝つことを目標としたデッキでした。ところが果樹園では天測儀をプレイ出来ず、事故が起きやすいという問題が生じていました。それを氷雪土地を増やすことでマナベースを大きく改善できました。
 また、基本土地である理由がもう一つあります。それは《廃墟の地》です。スタンダードでも最近はあまり見かけないと言われているこの土地ですが、私はヴィンテージでこそ輝くカードと思っています。
 この環境はもともと《Mishra's Workshop》や《Bazaar of Baghdad》といった危険な土地があり、そこに《ウルザの物語》が加わりました。特にこれらに依存したデッキは基本土地がほぼ無いために、《廃墟の地》を《不毛の大地》兼フェッチランドとしての運用ができるのです。
 起動にマナがかかるため、テンポを失ってしまいますが、そこはヴィンテージ特有のマナ加速であるモックスをフル投入することでカバーしています。さらにデッキと色の合わないモックスも雪玉を経由することで、色マナの捻出にも困りません。
 《廃墟の地》の特殊な使い方として、「探してもよい」ではないために、《最後の審判》後のパイルを崩したり、各種トップに積む系のチューターをけん制することができます。

3.添削杯 Vol.6

 ここまでで、色々と理論を並べてきましたが、実証できなければ机上の空論です。ここからは、添削杯に投入した結果を紹介したいと思います。

R1 Doomsday ○○
 メインボードはカウンターが多くないために厳しいマッチアップです。《廃墟の地》によるパイル崩しなどが決まれば勝てる可能性があります。
G1 
私の《王冠泥棒、オーコ》が通り、ゆっくりと攻撃し始める立ち上がり。
一方で相手の《Demonic Consultation》《最後の審判》が通り、万事休すかと思ったところ、デモコンにより《噴出》が抜けてしまっていたためにターンが帰ってきて殴り勝ち。
G2
後手1ターン目に《ブラック・ロータス》から《覆いを割く者、ナーセット》を通してクライマックスに。《最後の審判》は通ったものの対処札をため込んで勝ち。

R2 ドワーフ ○○
生物系デッキであるため、オースとオーコ両方共が有効です。
G1
1ターン目に《鱗粉の変わり身》が出てきてデッキが確定できなかったものの、返しのターンに《王冠泥棒、オーコ》《ドルイドの誓い》両方を出すブン周り。2ターン目に《厚顔の無法者、マグダ》が出てきたのでデッキが判明。マグダを鹿にするなどの非道をして勝ち。
G2
《宝石鉱山》1枚で相手の土地がストップしていたので、《廃墟の地》で破壊してテンポを崩しつつ、《新緑の命令》トークンを鹿にして殴り勝ち。

R3 カニボンド ×○○
《雲の宮殿、朧宮》は、逃げられてしまうので廃墟の地では対処できない一方で、カニによるライブラリー破壊にはエムラクールが有効です。
G1
《Fastbond》を《意志の力》で弾くところまでは良かったものの、再度《Fastbond》を唱えられ、《面正体のカニ》が出てきてコンボスタート、ライブラリー破壊はされないものの、《カザンドゥへの撤退》により無限ライフ+無限パンプされる。
G2
3ターン目に《チャネル》を無理やり通そうとしたところ、お互いにカウンターを消耗しきり、小休止。先に《大いなる創造者、カーン》を引けたため、《マイコシンスの格子》を出して勝ち。
G3
マリガンしており、手札は思わしくない状況。《面正体のカニ》が出てきたので、カウンター覚悟で《ドルイドの誓い》をキャスト。これが通り、《引き裂かれし永劫、エムラクール》が場に出る。相手はコンボパーツを探しに行くも見つからず、滅殺6。

R4 ターボカメックス ×○-
ドローソースが多く、一枚で簡単にひっくり返されてしまうため、繊細なプレイを求められる難しいマッチアップです。
G1
《修繕》が通ってしまい《切望の宝石》が戦場に出る。《新緑の命令》のトークンなどで奪い合いをするが、相手のほうが沢山引けてしまうため、リソース差で負け。
G2
先に《覆いを割く者、ナーセット》を通すことができたため、有効牌を探す旅へ。《ドルイドの誓い》《王冠泥棒、オーコ》のセットが揃ったので、相手の《魔力の櫃》を鹿に。ナーセットを差し出してエムラクールを召喚する。滅殺6が間に合い辛勝。
G3
オーコとオースを揃えることに成功したものの、相手はカーン+マイコシンスで応戦。何もプレイできないまま滅殺6をして相手のパーマネントを減らすが、返しにウルザのトークンとマイコシンスによる攻撃を受けて残りライフは3。返しのターンでコントロールしていた《魔力の墓所》により3点入り負けた。と思っていたところ、攻撃を受けたターンが最終5ターン目だったため引き分け。

R5 MUD ○○
オーコとオースが有効なため有利なデッキです。基本土地も大幅に増えているため、ロックもされにくい構造になっています。
G1
相手の《ウルザの物語》を《廃墟の地》で破壊して、動きをけん制。マナアーティファクトを多く引けていたため、《王冠泥棒、オーコ》《大いなる創造者、カーン》が《アメジストのとげ》の上から着地して勝ち。
G2
《廃墟の地》×2、《耐え抜くもの、母聖樹》でマナベースを破壊。G1と同様にカーンとオーコが着地して押切。

R6 レン&タックス ○○
マナベースはデュアルランドで構成されているため、《廃墟の地》が刺さりますが、《レンと6番》が出てしまうと効果がなくなってしまいます。いかに赤マナを縛るかがキーとなります。
G1
オースを割られたものの相手の色マナを縛りつつ、《覆いを割く者、ナーセット》が着地。そこからドローソースを引き続け、《ドルイドの誓い》と《新緑の命令》を集めて勝利。
G2
相手にオースでクリーチャーをプレゼントしつつ、その上からオーコでクリーチャーを増やし続けて殴り勝ち。←NEW

R7 ID

5-0-2で4位抜けしてシングルエリミネーションへ。

SE1 ブリーチ
スペルに対するカウンターが少ないため、(デッキリストが公開されているので、正直期待できないものの、)相手のクリーチャー固め引きに期待してオースを置くマッチアップでした。
G1
《ギタクシア派の調査》でのぞいたところ、《Ancestral Recall》《意志の力》《噴出》《紅蓮破》×2の完璧ハンドで負けを確信。アンリコからの返しの《死の国からの脱出》で負け。
G2
お互いに《Ancestral Recall》を通し合うスタート。
《廃墟の地》で赤マナを潰したと思ったのも束の間、《ブラック・ロータス》が登場し、そのまま《死の国からの脱出》で負け。手札のエムラクールは心なしかこれまでの戦いを労っているようだった。

4.おわりに

 ということで今回はSE1没でした。新たな試みとしては望外の結果です。
 誘発の回数からすると、オースというデッキとして立ち振る舞えたかの判断は難しいところですが、初めに描いていた《新緑の命令》の応用力や《廃墟の地》の有効性は確認できました。
 果樹園不採用により沢山のトークンに押しつぶされることは無いので、コンボデッキに対する耐性を上げるために《白鳥の歌》の採用も考えてもよいかもしれません。
 ヴィンテージのカードプールは広大で、まだ試されていないカードやその組み合わせは沢山あると思います。まずは必須パーツの概念を外したところからスタートしてみませんか?


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