見出し画像

また4年後もどうせ君が好きなんだろうな。


『4年後もどうせ君が好き。』


この言葉を目にしたのが、ちょうど4年前の今日。

UNISON SQUARE GARDEN というバンドを知ってから、1年半と少し経った頃だった。


最初は「なんか変なバンド名だな」

曲を一聴すると「なんか変な曲だな」

歌詞を調べてみたら「なんか変な歌詞だな」

バンドのことを少し調べてみても「やっぱりなんか変なバンドだな」


最初の印象は悉く「なんか変」だった。

よく「運命の人は会った瞬間に分かる」なんて話を聞く。稲妻がビビッと走るような感覚に陥るらしい。それで言うと、このバンドとの出会いはそんなドラマチックなものではなくかなーりぬるっとしていたため、どうやら私にとって運命のそれではないようだ。


しかし、「なんか変」と感じた後も関心が途切れることはなく、彼らのことを知りたいと思う一方だった。そしてそのうち、「なんか変」という違和感は独特な、ある種の心地よさに形を変え、私は完全に彼らの沼にはまってしまった。

YouTubeでミュージックビデオを見てお気に入りの楽曲を見つけ、ライブ映像で圧倒的なライブパフォーマンスを目の当たりにした。さらにはアルバムやライブのトレーラーも見ることで多彩な楽曲の存在を知り、そのうちCDレンタルショップに足を運びアルバムを揃え、本格的に彼らの楽曲を聴く環境を整えた。またそれだけでは物足りず、ネットで彼らの情報やインタビュー記事を何かに取り憑かれたかのように調べ続けた。ファンクラブに入ってライブにも行きたいと思うまでになっていたが、もう既に別のバンドのファンクラブに入会していたため泣く泣く踏みとどまっていた。

何がそこまで私を惹きつけたのかは、正直よく分からない。ただ、「なんか変」と私に感じさせた彼らのことをもっとよく知りたいと思ったことは事実である。

そして同時に、知れば知るほど彼らの虜になっていくことも、紛れもない事実だった。


2017年8月9日。

私がUNISON SQUARE GARDENの虜となってから初のシングルがリリースされた。それがアニメ「ボールルームへようこそ」の主題歌で、彼らの11枚目のシングル「10% roll, 10% romance」だった。このバンドの沼にどっぷりと浸かること約1年半、もう抜け出すのが到底困難なところまで来ていた私にとっては満を持しての新曲だった。

当時私は高校3年生で半年後に大学受験を控えていたがこの際そんなのどうでもいい。自分にとって唯一無二のバンドが新曲を出す、これは正真正銘の一大イベントである。CDは早くから予約をし、発売日まではYouTubeにアップされているショートバージョンのミュージックビデオを繰り返し見て聴いた。アニメも少し拝見して、楽曲とアニメを取り巻く世界観をできるだけ理解しようとした。


楽曲も勿論(というか最も)楽しみにしていたが、もう一つ気になることがあった。それは「CDの帯」である。

帯――CDを買ったときにケースの外側についてくる、細長いアレ。私は今まであれの存在意義を見出せずにいて、CDを買っても帯はすぐに処分するか紛失させてしまうかの二択だった。しかしこのバンドのCDに関しては、帯こそ失くすまいと気を付けている。このバンドは毎回、楽曲の歌詞の一部や歌詞からインスパイアされた言葉、そのアルバムやシングルの世界観やコンセプトに合った言葉なんかを一言、帯に記してくれるのだ。それ故、彼らのファンはその「帯」までを作品として楽しみにしているのである(余談だが、この界隈には「ネタバレ」「セトリバレ」と同じように「帯バレ」という概念も存在する)。

私も、表題曲・カップリング曲・初回限定盤についてくるライブ音源・帯に期待を膨らませ、CDショップに11thシングル「10% roll, 10% romance」を受け取りに行った。


『4年後もどうせ君が好き。』

これが、今回のシングルの帯の一言だった。


この一言は表題曲の2番のサビから来ていることがのちのち分かった。

君がどんなフレームに僕を入れるのか
知りたいけど4年ぐらいは後でもいいか

非常に素敵な歌詞である。田淵智也はめちゃくちゃ意味不明な歌詞を書く(一見そう見える)かと思いきや、その中にも琴線に触れるような、キラリと光る歌詞を食い込ませてくるからタチが悪い(褒めてる)。ストレートに「頑張れ」と呼びかけるような応援ソングはないけれど、手は差し伸べてくれる。手を取るか否かは自分次第だよ、と言うように。少年のような、純粋な気持ちを持ちつつも一筋縄ではいかない、それがUNISON SQUARE GARDENというバンドである。

上記の歌詞も、帯も、どこかひねくれている。4年後も『どうせ』、なんてワードチョイスなのだからそう感じざるを得ない。しかし、この『どうせ』が入ることで、好きでいることを当たり前に思っているというか、揺るぎない自信を持っているように捉えることができる。

君がどんな風に世界と踊るのか
もったいないからちょっとずつ教えて欲しいんだ
だってこんな君を近くで見れるのは
有史以来僕だけで十分だからさ

これらは私のお気に入りの歌詞たちだが、ここからもちょっと素直になれない、けど『君』をとても想っている様子が垣間見えるのではないか。


『4年後もどうせ君が好き。』、この話に戻る。

この帯を目にしたとき、シンプルにやられた、と思った。約1年半、このバンドに募らせてきたクソデカ感情が大爆発して遂に帯にまでなってしまったのかと一瞬錯覚したほど。「見透かされている」と感じたと言ったほうが正確かもしれない。潜在的に存在していた思いが、今回この帯で言語化されて確信に変わった。

4年後もどうせこのバンドが好きなのだ、と。


2021年8月9日。

「10% roll, 10% romance」の発売からちょうど4年が経った。

相も変わらず、UNISON SQUARE GARDENというバンドが好きである。大学受験が終わった後、無事にファンクラブに入会した。ライブにも毎ツアー足を運び、彼らが奏でる生の音楽を浴びることを生きがいとしているほど。今度行われるニューアルバムのリリースツアーに関しては、初の遠征を予定している。彼らに魅了されてからというもの、一度も飽きたことはないし寧ろ彼らの存在は私の中で日に日に大きくなっていく。


4年後もどうせ君が好き。悔しいけれど、間違いなく彼らには見透かされていた。

4年後もやっぱり君が好きだった。


でも、これで終わりではない。4年経った今、私が思うこと、それは


また4年後もどうせ君が好きなんだろうな ってこと。





この記事が参加している募集

スキしてみて