選手育成はスポーツ学と人間学が不可欠だと、指導者が知るべきだ!

▼海外からの情報をそのままマネても何の意味もない!

海外サッカーの子どもの育成情報はすごく勉強になる。

それはサッカーというスポーツ学はもちろん、文化・社会学や人間学などの見地からも日本よりはるかに歴史を重ねているから幅広く深い。特に「育成」に関することについては日本が取り入れるべきことは多い。このことは紛れもなく事実である。

8月下旬に大阪で開催された「ジュニアサッカーワールドチャレンジ」を取材したが、FCバルセロナ(スペイン)もアーセナルFC(イングランド)もクラブ・ティフアナ(メキシコ)も、試合後あるいはハーフタイムに映像編集した動画を使ってスタッフ間、もしくはチーム間のミーティングを行っていたようだ。

だからといって「世界トップクラブがしていることを日本の育成でも実践すべきだ」なんてことは言うつもりもない。そこにはクラブによる資本の違いや哲学の違い、そもそも指導者のサッカーに対する総合的な知識の違いがあるからマネただけでは子どもの育成に何の役にも立たない。

かといって我流が過ぎるのもどうかと思う。

やはり歴史があり、結果を出し続けている国のサッカーには日本にも通じるものがたくさんある。まずはそれらを見つけること。次に、自分のクラブ、また選手たちにハマるようにうまく取り入れることが大事だと思う。そのためには「選手育成」がスポーツ学と人間学という2つが最低限不可欠だと知ることを認識すべきだ。

それを認知できれば、年齢ごとに、何をどう取り入れたらいいのかが何となくわかってくる。そして、それは絵に描いた餅では意味がない。失敗することがあるだろうが、実際に子どもに対して指導しなければさらなるアップデートの方法が見つからない。指導者には、その勇気と行動力が大切になる。

海外からの学びを町クラブに合うように実践している最中!

私も4月からチームコーディネーターという肩書きで、どこにでもある普通の町クラブに自分自身がこれまで得た育成の知識を、そのクラブの指導者たちと共に哲学から話し合い、少しずつ現場のトレーニングに落とし込みを図っている。お盆前の合宿に参加し、指導者とも保護者ともコミュニケーションをとったが、一番収穫だと感じたのは子どもをはじめ、大人とも信頼関係を築けたことだ。

確かに、ここ数カ月間で随分トレーニングの内容は変わった。一般的に言われる「認知→判断→決断→実行」の伴ったトレーニング量は増え、子どもたちもサッカーをプレーできるようになってきた。ただし、それはクラブの指導者と子どもの努力であって、私の努力ではない。

毎月のミーティングで資料を用意して1時間半ほど講義し、毎回トレーニングを構成・考案するワークショップを開いてスポーツ学的に学ぶ場は提供している。でも、チームコーディネーターとして指導者育成をして気づいたのは「私が言っていることを101%聞ける」人間関係を作ることができなければ、そのスポーツ学的なアプローチも半減するし、用意した資料もただの紙切れにしかならないということだ。

どの立場であれ育成に関わる以上、人間学は切り離せない。

それがあえて単発で終わる講習会を開く手段をとらず、1年という契約にこだわって継続的な指導者育成というアプローチをとった現状の見解である。別に単発の講習会を否定しているわけではない。それは必要なことだし、指導者としてのスキルが高い人はそれで十分だ。だが、グラスルーツレベルの育成指導者にとっては継続的なサポートを受けることは必要である。もちろん経済的な出費を伴うため、どのクラブも取り組めるわけではない。ただ、このことは外部からの人材を起用しなくとも、クラブ内にいる指導者たちがそれぞれに勉強しながら月一回でも自分たちでクラブの哲学からトレーニング理論に至るまでミーティングという形で真剣に数時間取り組めば少しずつできることだとも思う。

なぜそう思うかといえば、指導にはやはり情熱が必要不可欠だからだ。

そのことをあらためて感じさせてくれたのは、「ジュニアサッカーワールドチャレンジ」で見たFCバルセロナのダビド・サンチェス・ドメネ監督の姿だった。この大会は6回開催されているが、私が観戦してきた中であれほど大会中に11人制サッカーへの適応がうまくいかないバルサを目にしたかことがないし、あれほど選手たちに感情をあらわにバルサの監督を見たことがない。最終戦となったアーセナルFCとの決勝戦では、それまでの試合内容がウソのように誰が出場しても「ザ・バルサ」というボールを動かす展開をプレーで体現し、結果も質も両立したサッカーを実践した。

大会中、8月中旬に開かれたバーモントカップで優勝した大阪市ジュネッスFCの清水亮監督と話す機会があった。そこで、おもしろいことを言っていた。

「バーモントでは『今大会はサッカーに関して一切言葉数を多く言うんは止めよ』と心に決めていました。この大会はなるべく雰囲気よくチームを持って行こう、と。そうしたらあれよと勝ち進みました。『この子たちにはその方が合うんやな』と気づかされました。普段はわりと口数が多い方なんで、結構言うんですよ」

単に情熱といっても、選手たちに思いや感情をぶつけるだけが形ではない。温和に優しく接する形もある。重要なことは、今の子どもたちのサッカーの成長過程に合った手段をその時々で柔軟に使い分けることだ。そういったコーチング学も海外は進んでいる。

夏休みが終われば、チームコーディネートで関わるクラブは、秋口から6年生が一次予選を勝ち進んだブロックでの二次予選、4年生が地域のリーグ戦が始まるようだ。個人的には月1〜2回直接指導を行ってきた4年生がどんな戦いをしてくれるのか楽しみでいる。合宿ではビルドアップとゲームメイクに取り組み、8月中は自分が合宿でプランニングした練習をアレンジしながらコーチたちが継続的に指導している。

リーグ戦はなるべく一緒にベンチ入りし、子どもたちに本番を通してサッカーのおもしろさ、難しさを伝えていけたらと思っている。

海外からの学びを、私自身が日本の子どもたちにどの程度落とし込めているのか。結果に対してもワクワクしているが、それよりさらなる修正をどう加えたらいいのかを考えることにも期待感が高まる。それはクラブが私との共同作業に協力してくれているからだ。

だからこそ、そういう見地からもジュニア育成発展のためにメディアに関わる人間としてもアウトプットができたらと思う。

【ジュニアサッカーワールドチャレンジ日記】
■ワーチャレ日記・初日
たった少しの修正で状況が一変!バルサ指揮官が示した修正力。町クラブのパーシモンが見せた戦術的アプローチとは?

■ワーチャレ日記・2日目
なぜバルサはうまくいってないのか? 監督が語るその理由

■ワーチャレ日記・3日目
バルセロナが大苦戦!世界最高峰クラブを追い詰めたFCパーシモンの守備戦術とは?

■ワーチャレ日記・最終日
「優勝」という目標だけでは指導者としてあまりに無責任。バルサ指揮官が情熱を注いで築いた選手との信頼関係

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チームコーディネーター流「町クラブ革命」×「地域創生」

サッカーのジュニア年代を対象とした町クラブを改革していく「チームコーディネーター」という、誰もやったことのない新たな仕事を創造する挑戦を始めた。このマガジンは、そこに関わる指導者、保護者に私の様々な考えや感じたことを伝える一つのツールである。
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