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病床経過報告①悪性リンパ腫

晴天の霹靂というものが、まさか自分に振り起こるなんて思ってもみなかった。

今年6月半ばから何故か体調が悪くなってきた。腹痛を起こしてベッドの上でのたうち回ったり、息切れしてすぐ疲れてしまったり、いつもとは違う異常を感じていた。始めはお腹がただ弱っているとか、ストレスが溜まっているのだけだとか、或いは胃腸炎を疑ってみたが、日に日に苦痛は増すばかりだった。どうにも苦しいので、街の病院から、胃腸に詳しい病院、大学病院へと診察と検査を繰り返したところ、今まで経験したことのない大病だったことが発覚した。

びまん性大細胞B細胞リンパ腫。それが診断書に書かれた病名だった。リンパ腫とはリンパ球という白血球が「癌化」しておこる癌の一種らしく、私の場合は大腸と小腸の間に大きな腫瘍があり、大腸を圧迫すると共にお腹の痛みを与えている、ということであった。私は1991年生まれ、28歳。この病気は一般的には50代以降に罹患する可能性が高く、若くして罹患するのは稀なケースだ。原因は不明。私の身の回りには癌を患った人もいるし、若くして癌患者になって克服した人はメディアを通して知っていたが、まさか唐突に自分がこんな病気を突き詰められるとは思わなかった。多大なショックと底知れぬ不安を感じ、原因が不明なだけに遣る瀬無い気持ちも湧いた。それでも以前は自分の健康や身の振り方を考え直す貴重な機会だと前向きに自分に言い聞かせることができた。しかし、抗がん剤による治療で失うことがあることを知り、あらゆる苦痛や不安を味わされた今となっては、そんな風には考えることができない。こんな経験、誰もするべきではないのだ。苦痛のない1日がどれだけ素晴らしいものなのか、健康な身体はそれだけで尊い、ということを今更ながら痛感せざるを得ない。

7月半ばから地元の大学病院に入院し、緊急の手術でお腹を切り開き、大腸と小腸の間にあった一番大きな腫瘍を切除した。全ての腫瘍がとり除けたという訳ではないので、2週間は術後の回復に専念し、その後抗がん剤による化学療法に入るということだった。術後の痛みは凄まじく、三日三晩は眠れない日々が続いた。それでも徐々に少しづつではあるが傷の痛みは薄れていった。しかし、ある日急激な腹痛に襲われた。のちにCTスキャンをしたところ、お腹の中に膿が溜まっているということで、急遽膿を外に出すためにお腹に管を刺された。少しづつ膿が出てこなくなったが現在も刺さったままだ。これによって抗がん剤による治療が遅れてしまい、またリンパ腫という病気の中でも週単位で進行する稀なタイプということが発覚した。なかなか本格的な治療が始められないなか、リスクの高い強力な治療が必要という難しいバランスの中で主治医が試行錯誤しながら経過を見てくれている。

一昨日から通常の50%の量だが、抗がん剤の投与が始まった。腸が破けて腹膜炎になるリスクもあると言われ、薬による副作用とそのリスクに少しハラハラしながら過ごしているが、今のところはまだ大丈夫だ。腫瘍が少しでも小さくなること、進行しつづける病気に対して毎日少しでも前進することを願いながら、病気と闘っている。

今回の病気に関して家族による支えはとても有り難く、家族なくしては今までの苦痛は耐えきれなかったかもしれない。職場から恩師やお世話になった人、思いがけない方まで、様々な人からの回復を望んでくれるメッセージもとても嬉しく励みになる。それに報いるために病院から一歩も外に出られない現状を早く打破したい。まだまだこれからやりたいこと、会いたい人、読みたいもの、聞きたいこと・話したいコト、観たいモノ・コト、食べたいモノが沢山ある。この病気とは恐らく何年も付き合うことになるだろうし、病気になる以前と以降の自分とは、健康面や精神面において同じ自分ではいられないだろう。しかし、絶望はしていない。働いて、学んで、生活を楽しむために日々を生き抜いていきたい。

以上が現状の経過報告。また気が向いたら書いてみることにする。

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