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【Mリーグ】自由を失う条件戦の中で、Mリーガー達はどう戦ったのか

2020Mリーグはレギュラーシーズン全日程を終了。U-NEXTパイレーツ、セガサミーフェニックスを除いた6チームで、4月12日よりセミファイナルを戦います。

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セガサミーフェニックス・魚谷侑未の場合

レギュラーシーズン最終日。残り2戦を残してフェニックスは、ほぼ連続トップ条件だった。第1戦目の東1局、魚谷プロは東家石橋プロのリーチを受けてこのイーシャンテン。

「普段なら絶対押さないのに――」

開局早々無筋の2mを勝負する。まだ先は長く、もう巡目も深い。ここから親リーチに2筋勝負を避けて、勝負を次局以降にしたとしても全くおかしくない局面だ。

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連続トップは簡単な条件ではない。そんなことはわかっている。重々承知の上だからこそ、この細い糸の上も渡ろうと挑戦したのだと思う。

結果は赤5mで痛恨の放銃だった。しかし数々のタイトル戦を、タイトロープを渡って条件戦を制してきた、彼女の経験を否定することはできやしないだろう。

2020Mリーグ、セガサミーフェニックスは8位で終了。
魚谷プロ、近藤プロ、茅森プロ、和久津プロ、本当にお疲れさまでした。

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U-NEXTパイレーツ・小林剛の場合

最終半荘の南2局、僅差のトップ目で迎えた小林プロの選択。

「普段なら絶対鳴いているのに――」

1000点でもアガれば連対率はグンと上がり、ラス率も下がる。1局進行が大事な局面、しかしこの日に限っては求める未来が他にあった。

パイレーツの勝利条件は35700点以上のトップが必須。この手牌、これでは足りないと判断し、小林プロは上家から出た3pをスルーした。

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結果はマンガン被ツモの失点となり、より厳しい条件となって局が進行してしまった。まあでも鳴かないよね―― 普段と違う選択だとしても、小林プロは納得していると思う。

ただ、負けてしまうと「あの時の選択はどうだったかな?」と、つい思い返してしまうのは雀士の性というものだろう。

2020Mリーグ、U-NEXTパイレーツは7位で終了。
小林プロ、朝倉プロ、石橋プロ、瑞原プロ、本当にお疲れさまでした。

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TEAM雷電・黒沢咲の場合

東1局東家、上家の3巡目リーチを受けて、まだリャンシャンテンの手牌。絶対に負けられない戦いだとしても、この手牌からでは勝負にならないと判断するのが常人の発想だろう。

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「普段なら絶対オリているのに――」

しかし黒沢プロのアンサーは3s勝負だった。まだ巡目も早く、まだ通っている無筋も少ない。とはいえこの牌姿から・・・ 一体誰が3sを押せるというのだろうか?

スクリーンショット-2020-03-25-15.22.30ラス目の親番だったら、あなたも押すでしょう?

確かにそうかもしれません(本人談ではありません)つまり黒沢プロにとって東1局の親番が、今期のレギュラーシーズン、既に背水の陣だったという認識だったのでしょう。

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園田プロの今期BEST配牌からの、3面張リーチをかわしてチートイツの単騎待ちを即ツモ。価値のある1600オールのアガリとなりました。

とても真似できないプレイですよね。放銃=敗退濃厚 の可能性が高いこの状況下で、自分の感覚を信じて、このようなパフォーマンスができるのは凄すぎます。

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このオーラスは本当に難しい選択だったと思う。

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勝負はいつだって紙一重

積まれていた牌の上下が1つ違っただけだとしても、魚谷プロが東1局にオリを選択する未来もあったし、小林プロが南2局に仕掛ける未来もあったはず。つまり雷電が敗退する未来も、フェニックス、またはパイレーツが勝ち残る未来も、間違いなくあったはずなのだ。

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麻雀格闘倶楽部・佐々木寿人の場合

僅差のトップ目で迎えたオーラス。佐々木プロは役無しのテンパイを果たす。場を見渡せば2mが少し良さそうに見えるじゃないか。

そう思ったなら既に行動を完了をしているのが佐々木プロ。一切躊躇せず、流れるように牌を横に曲げている。何度も何度も見慣れた光景だ。きっと観戦していた誰しもがそう予想したはずだろう。

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「普段なら絶対リーチしているのに――」

ダマテンに受けた理由があるとしたらチームポイントだ。たとえこの半荘で2着以下に転落したとしても、雷電がその位置(ラス目)なら問題ない。

万が一にも雷電より下の順位で終わることは許されない。普段は伸び伸びと打っているように見える彼もまた、この試合ばかりは普段とは違うプレッシャーを背負いながら打っていたのだと思う。

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この試合でトップを逃すと、内川プロに翌日の試合で個人MVPを捲られるリスクを負うことになる。そうなったとしても普段と違うルートを選ぶ佐々木プロが、僕には本当にカッコよく見えました。

セガサミーフェニックス・近藤誠一の場合

「普段なら絶対にダマテンなのに――」

絶対に外してはいけない選択だったと思います。その重圧の中、リーチを選択できることが素晴らしいですね。


麻雀観戦って面白いよね!

勝ち残った6チーム、セミファイナル、ファイナルも熱い闘い、手に汗握る勝負を期待しています!


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