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山の上大学『ウェルビーイングゼミ』特別授業〜ウェルビーイングな生き方を研究、実践されている前野先生ご夫妻のお話を聞こう!〜 参加レポート

9月15日(日)、文京区100人カイギ運営の今川さんからお誘いいただき、東京山の上大学の特別授業に参加してきました!
当日のテーマは「ウェルビーイング」。最近話題になりつつあるこの言葉ですが、自分自身も「幸せ」などの考え方には興味があり、また様々なところでお名前を伺う前野先生のお話を聞けるということで、非常に楽しみにしていました。

登壇者プロフィール

●前野隆司氏
慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科委員長・教授1984年東工大卒業、1986年同大学修士課程修了。キヤノン株式会社、カリフォルニア大学バークレー校訪問研究員、ハーバード大学訪問教授等を経て現在慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科委員長・教授。博士(工学)。 著書に『幸せのメカニズム』(講談社現代新書)、『脳はなぜ「心」を作ったのか』(筑摩書房)など多数。 専門は、システムデザイン・マネジメント学、地域活性化、教育工学、幸福学など。

●前野マドカ氏

EVOL株式会社代表取締役CEO。慶應義塾大学大学院 システムデザイン・マネジメント研究科附属システムデザイン・マネジメント研究所研究員。IPPA(国際ポジティブ心理学協会)会員。サンフランシスコ大学、アンダーセンコンサルティング(現アクセンチュア)などを経て現職。愛とWell-Beingにあふれた世界を創るための研究と実践を行なっている。

前野ご夫妻自己紹介

当日は、前野ご夫妻の自己紹介からスタート。あとから知ったのですが、お二人での講座は非常に珍しいとのこと。ここでは僭越ながら「隆司さん」「マドカさん」と表記させていただきます。
自己紹介はマドカさん、隆司さんの順で始まりましたが、自己紹介の間もお二人の掛け合いが面白く…。お二人の出会いの話もあったのですが、アメリカで初めて出会った時から、隆司さんは「笑顔が素敵な人だ」という印象をマドカさんに抱いていたそうです。仲の良さが伝わってくるやりとりで、非常に微笑ましく話を聞くことができました。

アイスブレイク

まず初めのアイスブレイクとして、周りの方と「自分にとっての幸せ」を時間をとって話し合い、その後全体でシェア。「家族と過ごす時間」「好きなことをしているとき」「誰かの役に立っているとき」など回答は様々でしたが、隆司さん曰く「全て4つの因子に共通している」とのことでした。※4つの因子については後述します。

講義開始

ここからは隆司さん、マドカさんによる講義開始。ご夫妻で掛け合いされつつ、様々なデータを示しながら説明いただいた内容をシェアしたいと思います。

・美しいもの、おいしいものを自分で作ったりする人は、幸福度が高い。
「ただ聞く」「ただ見る」だけじゃなく、実際にやってみることが大事。自分で実際に取り組んだ人のほうが、その難しさがわかるため、例えば「料理を食べる」だけの人よりも「実際に料理を作り、食べる」人のほうが幸福度が高いそうです。

・笑顔を普段から作らないと、笑顔が出なくなる
こちらは、隆司さんの笑い話とともに。どれだけ笑顔かを測定できるアプリ?のようなものができて、学生がやったら100%、マドカさんがやっても100%だったが、隆司さんはどんなに笑っても80%しか出ず。それを期に笑顔を作る練習をして、100%の笑顔を出せるようになったそうです。

・年齢とともに幸福度があがる
年齢の変化に伴う幸福度の変化のグラフを見せていただきました。なだらかなU字型になっており、40代、50代が一番幸福度が低くなりがちとのこと。これは企業に属している場合、役職がついたりしてこれまでと変化することが多いからだそう。

・Well-beingとHappyは違う
「Well-being」は、良好な状態であることを示しており、使う人によってかなり幅広い意味を包含しています。「幸せ」という意味で使う人もいれば、「健康」「福利」「福祉」という意味で使う人もいます。「Happiness」は感情としての幸せを示す言葉であり、「Well-being」よりも狭い定義を示すとのことでした。なお、英語の「Happy」は一時的なもので、日本語の「幸せ」という言葉のほうが長い時間を示しているそうです。

・「収入が$75,000になるまでは感情的幸福は年収と比例するが、それを超えると感情的幸福と年収に相関はない。」
ノーベル経済学賞受賞者のカーネマンにより、上記の研究結果が出ているそうです。つまり「収入が増えれば増えるほど、幸せになるとは限らない」ということですね。都会でがむしゃらに働いていた人が地方に移住して収入が半分以下になったとしても、幸福度は都会にいたときよりも上がっていることもあります。お金による幸せは長く続くものではないため、収入に対して躍起にならないほうがよさそうだと感じました。また、「昔は物々交換で経済が回っていてお金が必要なかったが、お金という、腐らず、貯めてしまえるものが生まれてしまい、貯めることが目的になってしまった。お金だけ腐らずに利子がついてしまうので、お金も腐った方がいい(使用期限があった方がいい)という人もいる。」と、隆司さんはおっしゃってました。地位財(所得など長続きしないもの)は幸せが長続きせず、非地位財(他人との相対比較とは関係なく、幸せが得られるもの)のほうが幸せを感じやすいとのことでした。

・ブータンで「ほんとに困ったときに頼れる人は何人いますか。」とインタビューをしたところ、「50人」という調査結果が出た。
「何かあったときに助けてくれる人がいるということが幸せにつながる」という話がありました。日本人は心配しながら現代を生きているけれど、ブータンの方は「何かあっても助けてくれる人がいる」という意識があるため、幸福度が高いのかもしれませんね。

・マドカさんの経営されているEVOLでの話
会社名のEVOLはLOVEを文字った社名だそうです。経営者という立場ではあるものの「うまく経営をしようと考えると、うまくいかない」ことがわかり、「近視眼的にならず、自分のやりたいことや、人のためになることに着目したほうがよい。」ということを学んだと話されていました。また、「幸せな人は視野が広く、楽観的。不幸せな人は視野が狭く、悲観的。」ということもおっしゃっていました。

・幸せだと、免疫力が高く、寿命が長くなる。
・「老年的超越」:90~100歳の幸福度は極めて高い傾向にある。

・幸福感の高い社員の創造性は3倍、生産性は31%、売上は37%高い。
(リュボミルスキー、キング、ディナー)「幸福度が高い従業員は、欠勤率が低く、離職率が低い」との研究結果も出ているそうで、世の中の多くの会社もこの方向を実際に目指していくべきなのではと感じました…。

4つの因子のお話

ここからは隆司さんの本にも出てくる4つの因子についての紹介と、その事例を記載します。

第1因子:自己実現と成長の因子(やってみよう因子)

「ハチドリのひとしずく」という話を知っていますか?アマゾンで山火事になったときに、水を運ぶハチドリの話で、山火事が起きたときにハチドリが火を消すために水を運んでいます。それを見たほかの動物たちが「そんなことやっても無駄だ」というのですが、それでもハチドリは「自分は自分にできることをやっている。」と水を運ぶことを続けた、という話です。「ハチドリの小さな行動では火は消えないかもしれないけれど、その行動を見たほかの動物が水を運び始めれば、火は消えるかもしれない。その最初の一歩になることが大事。」と隆司さんはお話されていました。

第2因子:つながりと感謝の因子(ありがとう因子)

いざというときに、弱い繋がりがあるほうが幸せ:これは先ほどのブータンのお話ですね。また、「孤独になると幸福度が下がる」というお話もされていました。※ここだけ写真を撮り忘れました…。

第3因子:前向きと楽観の因子(なんとかなる因子)

第4因子:独立と自分らしさの因子(ありのままに因子)

他スライド&質問タイム

4つの因子の説明のあとは、残り時間が少なく、スライドを見せて簡単な解説をしたのち、質問タイムとなりました。

ピグマリオン効果:「先生が優秀だと信じたら優秀になる」
隆司さんはこれを自分の子供に実践すべく、テスト前でも勉強しない子供に対して叱ったりせずに信じ続けたそうです。その間、マドカさんは心配して子供にもいろいろと伝えたようですが、隆司さんとの間で役割分担をしっかりしていたらしく、大学生になった息子さんから「二人の子育ては間違っていなかったと思う。」と言われたとお話されていました。

質問:交際が始まり、結婚して夫婦になり、子供が生まれて親になって、二人の関係性が変わっていく中で、変わらずに大切にしているものはありますか?
こちらの質問は私からさせていただきましたが、マドカさんから以下のような回答がありました。
「お互いを尊敬しあう」「共に成長する」「笑いとユーモアを大事にする」ということを心掛けてきたが、二人で共通認識を話し合うことは欠かさずにやってきました。
この二人の掛け合いも非常にうらやましいなと感じました。

まとめ

質問タイムののち、写真撮影をして前野ご夫妻との交流タイム後、終了という流れでしたが、講義をしている最中の幸せそうなお二人の姿を実際に見て、「幸せ」や「Well-being」について、もっとちゃんと考えてみたいと思いました。自分自身、会社の研修で「レジリエンス研修」を受けてから、いろいろな物事の見方が変わり、ストレスをなるべく軽減できる方法は身についたのですが、「幸せになるため」の行動は、まだあまりとりきれていない気がしています。
様々な社外の活動に参加してはいるのですが、これから「Well-being」という概念についてもっと向き合い、胸を張って「幸せ」といえる自分自身を目指したいと思いました。また、隆司さんの本をもっと読んで、次回お会いするときに「あの講座を受けてよかったです」と言えたらそれも幸せだなあと思います。今後、東京山の上大学のウェルビーイングゼミにも参加して、今回の学びを未来につなげていきたいと思います!

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