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Vol.67 写真の構図 印象的な写真を創り出す、"背景抜け"

このnoteは写真を0から始める方向けマガジン「始めよう、写真」の記事です。初めてご覧になる方はぜひvol.1からどうぞ。


今回は、印象的な写真を生み出す、「背景抜け」について作例を見ながら説明していきます。日常の中で撮るなんでもない写真から、風景写真に至るまで使える技術ですので、参考にしてみてください。

背景抜けとは?

背景の抜け、それは1枚の写真の中で写したいものとそうでないものをしっかり分けて、はっきりと写したいものを写す技術です。

写真は引き算 とよく言われます。画角の中に写したいものだけを写してそれ以外は写さないという意味で使われます。そうすることで、写したいものがしっかりと浮き出て、写真の魅力がさらにアップします。
今回はその、「写したいものを写し、写さないものを写さない」を実現するために僕が心がけている撮り方である、背景抜けの手法を作例といっしょに見ていきましょう。

作例1

まずはこちら。湿地帯の早朝で撮影した写真です。
この写真では主題は中央にある一本の木で、背景は奥にある山になります。しかし、山の上部には空が見えており、そこに山があるということがはっきりと分かってしまいます。人間の目は無意識に明るい方を見てしまう傾向があるので、上の青空に目がいってしまい、この写真の主題である中央の木と周りの湿地帯の雰囲気を伝えにくくしています。そこで、このように編集してみました。


樺露

元々の写真から少しトリミングして、青空をあえて写さないようにしました。こうすると、背景の山の部分がすべて真っ黒になるため、山と認識できなくなります。この写真を見たとき、中央の木と湿地帯に目が奪われた感覚がわかりましたでしょうか?これが背景が抜けていると私は表現しています。背景に目が持っていかれることない、背景の抜けた写真になっています。


作例2

次の作例も見ていきましょう。

桜と青空の写真です。ピントは目の前にある枝にあっており、春の空気感を感じれる写真になっていると思います。ですが、背景である空の雲が少し多く、空に目を奪われがちです。そこでこちらももう少し一工夫します。手前の桜は一部だけにピントを合わせるようにし、少し立ち位置を変えます。背景の青空は雲が理想の形になるまで待機して撮りました。


碧と春

桜は私から見て手前と奥はぼかして、真ん中の桜にピントを合わせました。背景である青空は、雲が全部無くなると味気がなくなるので、少しだけ雲が残るようなタイミングで撮影しました。こうすると、写したい桜に目が行き、背景の雲には目が行きにくい、いわゆる背景の抜けた写真になりました。

背景の抜け、わかってきたでしょうか?
背景の抜けはポートレートでも使える技術です。次の作例ではポートレートを見ていきましょう。

作例3

花畑のなかに立つ女性のポートレートです。もう3つめなのでこの写真は背景が抜けていないことがお分かりだと思います。女性の背後に木々があり、主題である女性を邪魔しています。この写真の撮影では、西向きに向いて撮影をしていましたが、背景抜けを作るために東向きに撮るように移動して撮影しました。


花畑を作る魔法

背景が抜けましたね。主題である女性を邪魔せず、花畑に立つ女性の姿を素直に写すことができています。

さて、3つの作例を通して見てきた背景抜け、どうでしたか?撮りたいと思ってカメラを構えたとき、画角の中に写る撮りたいもの以外にも少し目を向けることで、撮りたいものがさらに引き立つ写真になります。日常の風景、風景写真、ポートレートでも使える、写真を印象的にする技術である「背景抜け」ぜひ意識して撮ってみてください。

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