昔のラジオが呼び戻す潰された暇

――残さなきゃ消えてくのか?

1秒足らずでカメラが起動するスマートフォン。
革命的だったフリック入力。オッケーグーグル、書き起こしてよ。

とりあえずアーカイブ。保存保存保存。記録があまりに容易になったこの時代。じゃあ残らなかったモノは消えていくのか、という疑問と僕は日々戦っています。

特に日常の衣食住はの全てを保存するのは難しい。だからこそそうした出来事を記録する行為に僕は意味を見つけているのですが。でも、それに気付く以前の日常はこのまま忘れていってしまうのかな。

この問いに対して、ひとつの抵抗手段が見つかりました。

それは昔の深夜ラジオを聴くこと。5~10年前に1度聴いた回をもう一度再生してみることです。

3年以上のラジオリスナー歴があるなら、是非一度試してください。

そぞろな日々が返ってくる

払い過ぎた過払い金同様に、無駄に過ぎたそぞろな日常が返ってきます。(こうやって文字で見ると「払い過ぎた過払い金」って明らかに「馬から落馬」ですね。今の今まで気づかなかった)

一度聞いたラジオには、その時の記憶が真空保存されている。耳だけの音声メディアなので、逆にそれ以外の情報は僕たち次第。

部室で一人惰性でやったスマブラとか、Perfumeを見に行く鶴見緑地線の風景とか。あの時のPerfume はまだアイドル要素が強かった。アイドルなのに逆にシャレてる、という区画の中で3人が踊ってたな。

当時していた夜勤アルバイトの、誰も居ないオフィスの椅子の感触。学生の頃、テレビ局で夜勤の電話番をしながら片耳でよくラジオを聴いてた。橋下徹が会見した時は膨大な書き起こしがあってダルかったし、正月のシフトは年始の手当てが出るうえに、ひったくりの1件も起きない平和な夜で「当たり」だったな。あの社員に「イヤホンするな、遊びちゃうねん」と急に怒鳴られた日。当時はそういうもんかと思ったけど、今思うと納期きつくて感情的になってたただけじゃんねえ? 深夜バイトの来る時間まで仕事すんなっての。「遅くまで何してはんねやろ」って思ってたあの人は、多分残業代稼いでたんやろうなあ。外注だったし。スポーツ記者の若手、あの感じ絶対先輩に殴られてなかった?気のせい?

すみません、バイトの思い出が急に爆発してしまった。あ、良い人も居たよ。

まあでも今ちょうど筆が走りすぎたようなフラッシュバック経験が可能なんです。ラジオは、卒倒するように過去に飛ぶトリガーになりえる。

■音楽じゃなくて

似たような話としては「音楽を媒介にしてあの頃の記憶が!」というのがありますよね。よくあるやつですよ。楽曲×個人×思い出 の掛け算なので「みんな違ってみんな良い」わけだけど。成果物のコンテンツ自体は絶対誰とも被らないけど、切り口自体はかなりクラシックというか。

でもラジオはちょっと違う。

音楽と違ってラジオは基本的に1回しか聴かない。なので本当に取るに足らない、語るに足らない日常の生活が保存されることになります。枝豆を剥いてた瞬間とか、衣替えをしている最中だとか、お湯入れ過ぎて薄くなった珈琲の味とか。

だからどうってわけじゃないけど、どうってことない日々だからこそ僕はそれらを愛おしいと感じる。




中外製薬

<了>

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