既卒文系未経験のバンドマンがソフトウェアエンジニアになって5年たちました

これは退職者 Advent Calendar3日目の記事です。今年人生2回目の転職をかまし退職者アドベントカレンダーへの参加権を得たので存分に権利を楽しみたいと思います。

さて、最近私の周りで何人かから「未経験だけど(ソフトウェア)エンジニアに転職したいと思っているんですが実際どんな感じですか?」という類の相談を受けることがありました。

ソフトウェアエンジニアが実際どんな感じなのか、インターネットで検索すると華々しい経歴のエンジニアのインタビュー記事が引っかかり「中学生のころ父親に与えられたコンピュータでプログラムを書いたのがキャリアのスタートです」みたいな話が出てきます。
私はそんな話が大好きでつい読みふけってしまうのですが、こういったトップクラスに優秀な人たちのキャリアケースだけでなく普通のソフトウェアエンジニアがだいたいどんな仕事をしたりどんなことを学んでいるのか、という話もたくさんインターネットにあっていいんじゃないかなと思いこの記事を書くことにしました。

とはいえ、私自身はキャリアというものは再現性がないものだと考えており、よくある「初学者はこれを勉強したほうがいい」「こういう会社で働いたほうがいい」というアドバイスはあまり一般的でないものだと思っています。人によって性格や志向や育ってきた環境が違うからどうしてもすれ違いが否めないものだと思っています。
これは初学者へのアドバイスといったものではなく、ごく普通のエンジニアの淡々としたキャリアの事例です。しかしこれが誰かの背中を押したりなんらかの判断材料になったりするといいなということでやれるだけがんばってみます。

そもそもなぜ既卒になったか

大学を卒業してミュージシャンになるべくバンド活動に勤しむためでした。

ボナンザグラムというバンドでギターを弾いており、AVOCADO Recordsという、Qomolangma Tomato、Mass Of The Fermenting Dregs、LOSTAGE、dry as dustなどが所属していたインディーズレーベルからデビューしていました。

しかしなかなかバンドだけで生活できるようにはならず、25歳の時に解散することとなりました。
解散後私は腹をくくって正社員として就職することにし、独立系のSIerに入社しました。
入社の動機はインターネットが好きだったのでエンジニアとかいいじゃんという軽い気持ちと、既卒向け求人がSIer多めだったのでここを狙っていけばどこか内定もらえるんじゃね?という邪な気持ちからでした。

ちなみにこのタイミングでの私のエンジニア力は「そもそもソフトウェアエンジニアってインターネット以外の仕事もいっぱいあるからね。インターネットの仕事につけるとは限らないからね。」ということすら知らないというレベルです。

1年目

まず正社員なのに派遣されるという事実に驚きつつ、電話交換機サーバーの保守・運用に従事するようになりました。26歳のときです。
某通信会社の転職ブログが巷では話題ですが、私も実はそのうちの一人、だとは冗談でも言えないくらい末端中の末端エンジニアとしてキャリアをスタートさせました。

業務の知識が全くなかったので、LPICレベル1を取得したり、基本情報技術者試験、応用情報技術者試験に合格するなどして必要な知識をつけていきました。
また、保守対象のコードがC言語で書かれていたためC言語でプログラミングの勉強をしていました。

1年目の終わりごろにようやく「全然インターネットの仕事と違うじゃん」と気づき、やっぱりインターネットの仕事がしたかったのでWebアプリケーションの勉強をはじめました。

年収は一般的な新卒くらいだったと思います。

2年目

1年目と同じ案件に従事していました。コードを書くことはほとんどなく、送りつけられたログファイルをawkで整形してエクセルに貼り付けるお仕事をしていました。

業務でネットワークやLinuxカーネルの知識を求められることが増えたので、CCNAを受験しようとして勉強し(て結局受験しなかっ)たり、自宅でLinuxプログラミングの勉強をしたりしました。
また、Webアプリケーションの案件に行きたいという思いがあり、社内ではJavaでWebアプリケーションを書く案件があると聞いたのでアピールのためにJava Silverを取得したりしました。

この頃から月の残業時間が80hを超えるようになり、自宅での勉強だけでプログラミングのスキルとWebアプリケーションを書くための知識をつけるのは厳しいと感じるようになりました。
上司にWebアプリケーションに関わる案件をやりたいとの思いを伝え、理解をしていただいたのですが、私が考えているスピード感では動けないとのことでした。
このあたりからWebアプリケーションを業務で書ける会社に転職することを考えはじめました。

年収は残業代含め380万くらいでした。

3年目

転職活動をはじめました。Webサービスを運営している会社であれば私の目的を果たせると考え、そういった企業にエントリーして回りました。

が、Webで働いた経験なし、業務でコード書いた経験なしという経歴なので、内定をくれる会社が全くありませんでした。
挙句の果てには「あなたより弊社に入ってくる新卒の方が技術力が高いため」というフィードバックをご丁寧に寄こしてくる会社まであっていやそれは今は即戦力が欲しいくらいに濁しとけよ畜生この思いは後世まで忘れないって感じなんですが、まあこれが現実なんだなと痛感しました。

ということで、まがいなりにも2年間IT業界にいたんだというプライドを綺麗に捨てて「未経験大歓迎!」みたいな採用広告の企業にエントリーしました。
面接でどうしてもWebアプリケーションの案件に入りたい旨を伝えたところそれを約束してくれたし面接してくれた人も良い人そうだったので株式会社ラクス のエンジニア派遣の部署(現ラクスパートナーズ)に入社することにしました。

入社までに1年ローンを組んでTech Academyに申し込みRuby on Railsを身につけました。

入社後は3ヶ月間研修期間が設けられていたので、そこでJavaのSpring BootによるWebアプリケーション開発を学びました。
また、自宅ではJavaScript(jQuery)を学んでいました。

研修期間終了後は約束通りWebアプリケーション開発の案件に従事することとなり、日々Ruby on Railsを触る生活が始まりました。

年収は未経験転職ということで310万円まで下がりました。税金の支払いがマジでキツかったです。

4年目

引き続きRuby on Railsの案件に従事していました。
業務でコードを書けている安心感から、自宅での学習の選択肢が広がった感覚がありました。また、やらなければならないものだった勉強が次第に知らないことがわかるようになる楽しいものに変わっていきました。
Ruby、Railsはもちろん、ドメイン駆動開発、テスト駆動開発などについて学んだり、Reactで個人開発をしてみたりしていました。

年の途中で案件が切り替わり、AWS Lambdaなどを使用しフルサーバレスでWeb APIを開発する案件に入りました。
Node.jsでサーバサイドを書いたり、Reactでフロントを作るなどしていました。
この頃からいろんな勉強会やカンファレンスに参加するようになりました。

また社内で勉強会をやってみたり、もっとカジュアルなLT大会の幹事をやったり、メンターとして1on1をやったりもしました。

現ラクスパートナーズの給与制度は雑に言うと成果報酬みたいになっていたので、1年で年収が420万くらいになりました。

5年目

引き続きサーバレスと格闘していました。
自宅ではコンピューティングやCPUのアーキテクチャなど基礎的な部分に興味が移り、それらを勉強するようになりました。
また、それらをしっかり理解するためには数学や英語をわかっていた方が良いことに気づき勉強し直すようになりました。

この頃から再び転職を意識するようになりました。
理由はふたつあって「もっと事業そのものに注力する働き方がしたい」のと「優秀なエンジニアと一緒に働きたい」というものです。

ラクスパートナーズはエンジニア派遣の会社なので、客先に常駐するパートナーという形で働くことになります。
すると日々の業務の中で重要な判断をしたり、技術的な問題以外にも積極的に参加をしていくことがどうしても難しくなります。
これは悪いことではなく、おかげでエンジニアが技術的な問題に注力できるというメリットもあると思いますし、エンジニアによってはこういった分野の煩わしさに振り回されたくないと考える人もいると思います。
良い悪いではなく、単純に私個人が事業そのものに注力するような働き方をしたいと感じるようになっただけです。

またラクスパートナーズは前述のとおり基本的に未経験採用を行う会社です。
そのため、すでにある程度業務経験があった私は割と早い段階から社内では技術的にもキャリア的にもアドバイスをする側の立場になりました。
しかし、社外の勉強会や技術ブログを通じて世間にはすごいエンジニアがたくさんいることを知り、そういった人たちと働いてみたいという欲求が次第に大きくなりました。

とてもお世話になった会社で、人間関係も良い会社だと私は思っていましたし、良い思い出ばかりだったので後ろ髪を引かれる思いでいっぱいでしたが、ラクスパートナーズの事業ミッションと私の目指すキャリアにはやはり大きな音楽性の違いがありました。
私には元バンドマンというDNAがあるので、音楽性の違いにはどうしても抗えませんでした。

ということで転職活動を始めたのですが、この時の転職活動は前回とうってかわってスムーズに進みました。
転職エージェントやスカウトなどを通じてWebサービスを運営する会社からいくつか内定をいただくことができ、もしこの身が複数あるなら全ての会社で働きたいというくらいどこも良い会社でしたが、最終的に hey  / STORES.jp に入社することに決めました。

今はSTORES.jpのサービス開発に従事しており、今のところ転職の目的だった「もっと事業そのものに注力する働き方がしたい」「優秀なエンジニアと一緒に働きたい」を十分に実現できていると感じています。

年収もあがりました。

というのが今までの私のキャリアです。

今思うこと

私は情報系学部出身ではないのでコンピュータサイエンスをみっちり学んだ経験がなく、もっと言うと数学も2Bまでしか勉強していないし、英語もあまり得意でないです。
こんな感じなので、これから果たしてキャリア的にどうなっていくのか皆目検討もついていませんし、学問とは本来こういうものだったのかもっと早く気づいて学生時代から真面目に勉学に励んでおけばよかったグエエ巨人の肩高っけぇ〜という気持ちでいっぱいの日々を過ごしています。

しかし過去とか未来とかそういうのは自分ではコントロールできないことなので、最新技術をキャッチアップしつつコンピュータサイエンスも数学も英語も数カ年計画で少しずつ学び直していって、それらがある程度のレベルになった時に見える景色がどんなものなのか楽しみに生きていこうと思っています。

改めて、この記事が誰かの背中を押したりなんらかの判断材料になったりすると幸いです。

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morihirok

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コメント1件

すごいリアルで興味深く拝読しました!
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