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「新物流」時代の始まり アリババが京東への逆転を狙う?

カギを握る第三勢力の蘇寧、アリババ、京東、との“三国志”を形成できるか?

蘇寧は、日本ではラオックスの親会社として知られている。同社を買収したのは2009年。10年前だが、現在は全く違う会社になった。当時の蘇寧は、家電量販店のトップ、つまりヤマダ電機のような存在だった。ところが2012年から、時代の変化に乗れず業績は急激に悪化した。一方でネット通販「蘇寧易購」力を入れ始める。しかし業績は改善せず、2015年にはアリババから283億元の出資を受け入れた。さらにアリババのB2Cサイト天猫にも参加、蘇寧のネット通販は、蘇寧易購と天猫旗艦店の2本立てとなった。この効果は大きく、2017年末には、家電量販店1位、総合ネット通販でも、アリババ、京東に次ぎ3位となった。OMO(Online Merged Offline)小売融合のユニークな企業に、たった3年で生まれ変わった。アリババは命の恩人なのである。

中国では「818購物節」のセールが終わった。恋人たちがプレゼントを贈る七夕の期間に合わせている。これを仕掛けたのは蘇寧である。2009年、アリババが11月11日独身の日セールを仕掛けた。翌2010年には、京東が618セールを、2011年には蘇寧が818セールを開始した。どうやら618セールは、独身の日セールに続く大セールとして認知された。蘇寧もこの流れに続こうとしている。

2018年の蘇寧は、暴れ馬のようだった。コンビニ蘇寧小店4000店、蘇寧零售雲店1900店、その他蘇寧易購雲店、蘇寧極物、蘇鮮生、蘇寧紅孩、蘇寧影城、蘇寧体育、蘇寧汽車超市などグループで8000店の実体店を出店した。今年の出店目標は15000店である。

8月上旬、2020年に2000万平米、2022年までに、冷蔵倉庫100万平米にする、と表明、直営物流路線を印象付けた。とくに冷蔵では世界最大を目指す。そして全国15万の社区(コミュニティ)で1時間配送を、当日配送、翌日配送を全国90%以上で実現するという。

直営物流を目指す点では、確かに京東と蘇寧は同様だが、最大の違いは大量の実体店を持っていることである。実体店はAIの端末として必要不可欠、という考えのようだ。これが実際にOMOの基点となるのか、逆に負担となるのか。

もう1つは命の恩人、アリババとの関係である。現在は株式を持ち合う関係だが、実際に彼らは、友人?それともライバル?という分析記事が引きも切らない。ネットメディアも掴みかねているようだ。互いに利用できるかぎり利用するのだろう。

818の“戦報”が発表された。8月18日当日の売上げは、前年同期比220%増だった。上半期の決算速報によれば、売上げ1346億元、前年同期比21.6%増、利益は21億3900万元、前年比64%減だった。818の220%は、新な起爆剤になったのかどうか。アリババ、京東、蘇寧の三国志は実現するのか。下期の展開に注目である。

コスパ・テクノロジーズCEO / BtoB企業のブランディングと海外向け施策が得意なWeb制作会社 / SNS総フォロワー5万 / HP→ https://cospa-tech.com/