【イベントレポート】PR Table主催:PR3.0 CULCURE~企業と「個」の新しい関係構築

5月29日(水)虎ノ門ヒルズフォーラムにて開催された、PR Table Community(株式会社PR Table)主催の《PR3.0 CULCURE~企業と「個」の新しい関係構築》に参加してきました。

今回はイベントの中で開催された一部のセッション内容、イベントの様子や、参加した感想をまとめていきたいと思います。

本イベントの目的

PR × CULTURE を紐解く
私たちは昨年11月、国内初となるPRの大規模カンファレンスを開催しました。
そこで提唱した ‘Personal Relations’――企業と「個」の新しい関係構築は、PRを「3.0」にアップデートさせるヒントになると考えています。PRを「3.0」にアップデートさせるヒントになると考えています。
2019年からは、その仮説をベースに様々なテーマを掘り下げていきます。
その最初のテーマは[ CULTURE ]です。
企業と「個」の関係性がどんどんフラットになっていく時代において、
PRパーソンは、[CULTURE]との関わりをもっと深めていけるはず。
その可能性を実践につなげるべく、さまざまな領域のビジネスパーソンと共に探究を重ねます。

イベント詳細ページより抜粋
https://pr-update.pr-table.com/conference/culture/

会場の様子

おそらく全員で300名ほどが座れる広さでした。

実際参加した人数は200名ほどだったので、会場を見渡す限りでは結構埋まっている様子でした。
PR系の仕事をしている人が半分ほどで、女性と男性半々くらいの印象です。

会場内はすごくオシャレな雰囲気で、セッションが始まる前のスピーカー登場のシーンでは音楽と映像、色の演出など凝っている様子でした。

セッション1:独自のカルチャーが、企業と「個」の良好な関係構築を加速させる

スピーカーは株式会社ユーザーベースの板垣氏と、株式会社チームラボの堺氏、そしてスノーピークの高井氏です。
各社のPRパーソンを担う方々が考える“カルチャー”についてまとめました。

株式会社ユーザベース
代表取締役社長(共同経営者)
稲垣 裕介氏

ユーザーベースは12年目の会社で、みなさんが知っている中で有名なのはNewsPicksというサービスかもしれない。

1つのチームメンバーたちが起業をし、ミッションバリューをしっかり持っている会社。

ものつくりができる人がエンジニアとして入っている。
経営陣が職種も価値観も違うので喧嘩もよくするが、ベースには「ユーザーが何を求めているのか」という考えを全員が常にもっている。
会社の中では自由と責任を定義しているが、自由をはき違えて間違った方向に行かせないようにするため、最低限の認識の共有と認識合わせは徹底して行っている。それによってミッションを間違えずに進んでいくことができまる。こういった組織によって、日々の意思決定に経営陣が入らなくていよく、実際まったく介入していないので、意思決定のスピードが上がる仕組みになる。

ー リモートワーク ー
リアル(対面でのコミュニケーション)であることは大事だと考えているけど、1つに集まらないといけないことは自分たちのやり方とは違うと思っている。同じ空間にいることよりも、体現することが大事だと思う。
ただ、1つの空間にいるような「感覚」というのは大事だとは思うので、方法がないかと模索している。

ー 自由 ー
自由=責任と考えられるようにメンバーには話をしている。

ー 社員のモチベーション ー
酒をひたすら飲みにいくようにしていて、飲みに行けば社員のことはよくわかる。
もう1つはサーベイを行っていて、モチベーションクラウドを入れて組織診断をしている。そうすると見えていないことが可視化できるようになる。
社内で独自のサーベイをやったけど、うまくいかなかったので、数字を根拠にみえるようにしたほうが、前回と今回の差分ができる。

ー 多様性 ー
経済の中でテクノロジーを組み合わせて、グローバルで展開しようとしたときに、文化を理解していないと難しいと思うので、現地の人をアサインすることが大切だと思う。
また、男性が多いから女性を軽視しているわけではなく、男性がものづくりが好きだから多くなっている。そこに多様性というものが必要だと思っている。もっと女性を増やして若い人を増やしていきたいなと思っている。

ー 会場のPRパーソンにメッセージ ー
各社違いがあるのは良いと思う。自分たちらしさを磨くのが会社として大事だと思う。
ちゃんと形にして伝えていくようにしたい。

株式会社チームラボ
取締役
堺 大輔氏

堺さんはチームラボに18年間勤めていて、他の会社を知らない。
現在社員数は650人ほどで、そのうち96%が物を作る人たち。
チームラボには部長も課長も存在せず、超多次元型組織を採用している。

そしてミッションがない。ただ、クオリティの高いものを作った人がすごいと認識される組織。
何か1つだけ特化している人たちの集まり。それに合わせた組織にしている。

ー 人事評価 ー
チームラボの評価は役員がしている。各チームに評価する役員が存在してる。チームラボでは役員も他の社員同様で1つの部屋で働いているので、近い存在である。

ー リモートワーク ー
オフィス外でのリモートワークを許しておらず、1か所でものづくりをしていて、役員もすべて同じ部屋にいる。仕切りもなく、巨大な部室状態になっている。今の人数ではこの規模ではできているが6000人とかになったらどうするかは、その時に考えようと思っている。

ー オフィス1か所へのこだわり ー
隣にいてslackで話をすることもあるが、1つの場所にいてコミュニケーションコストを減らすことができたほうが合理的であるということをみんなが認識している。
なぜこの空間が必要なのかどうかは全員に伝えるようにしている。

社員はみんな、ものを作ってクオリティ高いものを作るのが好きだし、1人では限界であるというところをわかっている。
役員たちが会議室や現場にいれば、その行動の仕方が社員へ伝わっている。
社員に近いところにいるからこそ、他の社員が参考しやすいようにしている。

ー 具体的な対話 ー
あまり思想の議論をしない。具体的な解決の話しかしないので、喧嘩にならない。「こうあるべきだ」という話をすることがなく、「これをこうしたいのでどうしたらいいのか」という話しかしないため、ブレストをしてもすぐに決まる。そこにはずっと一緒に決めてきたメンバー達なので、ずれが起きない。『具体的』であることを大切にしている。

ー 会場のPRパーソンにメッセージ ー
チームラボでは、どうやったら興味を引くかを常に具体的に落としている。
社内にPRしたいなら、具体的に行動できるか?というコミュニケーションを作るようにすれば解決が早くなると思う。

株式会社スノーピーク
専務取締役 COO
高井 文寛氏

去年60周年を迎えた、キャンプ用品を作っている会社。
現在は300人ほどの社員数。
The Snow Peak Wayというのを30年前に20人の社員全員で作った。

自分たちもユーザーとして考えてものづくりをしている。そしてユーザーとして考えられる環境を作るようにしている。
文明の進化により自然に触れ合う機会が少なくなっている世の中で、もう一度自然と人、人と人をつなぐこと、人間性を回復させる世界を作りたいと考えている。

ビジネスフィールドの中では今真ん中。
より私生活に入っていって、働き方の改革や地方創生を目指している。
今後60年を考えるために、スノーピークパーソンというのを作ってより言語化した。

3か条、6か条をベースに、そして人間性の回復をテーマに生まれ変わるフェーズにいる。

ー クリエイティブ ー
チームラボはクリエイティブな人間の集まりなのがうらやましい。クリエイティブというところが課題だと考えている。

ー リモートワーク ー
リモート環境というのは1つのクリエイティブなものを作りだすうえではスピード感と質に課題と感じているので、拠点に集まるようにしている。
原宿に子会社の拠点をまとめたことによって認識の相違をなくすことにつながった。

ー 採用基準 ー
キャンパーか、キャンパーじゃないかで採用するかは変わる。
キャンプが好きなだけではだめ。(キャンプこれからやりますという人も採用するけど)
主体性と自責できてる人を大事にしている。

ー 人事評価 ー
年に2回人事評価をしていて、上司と部下の評価を出している。個人評価と上司のずれを重要視していて、個人ができていることが上司から見ると低いと判断していることもあるので、チームビルディングのためにも、組織のずれに注目している。

ー The Snow Peak way ー
意見を対立したときにはThe Snow Peak wayに立ち返り、ユーザーのことを考えて、全員が議論できるような組織風土が強い。

ー 会場のPRパーソンにメッセージ ー
明確にするという企業文化があるので、それぞれの職種が誰がユーザーなのかを意識してユーザーエクスペリエンスを考えることが大事かなと思う。

セッション4:新時代の企業カルチャーはどうつくる? 越境型PRパーソンの担う役割

スピーカーは株式会社資生堂の上岡氏、そして株式会社メルカリの唐澤氏です。
各社のPRパーソンを担う方々が考える“カルチャー”についてまとめました。

株式会社資生堂
社会価値創造本部 アート&ヘリテージ室 室長
上岡 典彦氏

2022年に150年を迎える。
上岡さんは大学時代からPRの仕事がしたいという希望があった。中学生のときに花椿の愛読者で、資生堂に入るきっかけとなった。

企業の文化は150年の中で蓄積してきたもの、企業と文化は作家の方々などから得たものを企業に還元して、新たな企業の文化を作っていくもの。これを繰り返している。

ー 暗黙知 ー
資生堂の社員には様々な人種がいるので、暗黙知ではだめ。社内では、英語で言語化するようにしている。

1989年に企業理念を制定していた。

最近別の企業理念を作った。

これまでは暗黙知であったDNAを明示化するように変えた。それはグローバル化には必要な過程である。

ー 変わらないために変わる ー
企業のカルチャーとはDNA。一貫していて、創業者が込めたものがカルチャーとして続いてきている。資生堂には“反資生堂スタイル”があって、「変わらないために変わる」というものを取り入れている。

ー インナーコミュニケ―ション ー
時代を重ねていくと委縮したり元気がなくなってきてしまうことがある。そうなったときに、社長が元気を取り戻そうと動きだしたり、ハッピを作ってお客様におもてなしをしたことがあったが、それは資生堂らしくはないこと。でもそれをやることによって創業時代の変わらないことを再認識させるためのアプローチ方法だった。

社員と直接会って、カルチャーの現状を伝えることが自分の役割と思っている。

社内で情報を発信しても社内では聞いていない。じゃあどう届かせるのかがPRパーソンの役割。
社内に届かせようとしたらメディアを活用するのが一番。プロに任せて簡潔にまとめて伝えたほうが届きやすい。

ー 会場のPRパーソンにメッセージ ー
150年を迎えることがいいことではないと思ってる。ここから100年続いていくために、企業カルチャーを大事にして社内に深く届けるために謝儀に発信していこうと考えている。

株式会社メルカリ
執行役員 VP of People & Culture
唐澤 俊輔氏

カルチャーを大事にしている。
あらゆるプレゼンテーションにミッションとバリューのスライドを入れている。

ー 失敗を恐れない ー
世界的なTECHカンパニーを作ることを会社立ち上げのときから言っている。
だからこそ、二つ選択肢があったら失敗を恐れず、挑戦することを大事にしている。

ー 情報のオープン ー
経営はメンバーを信じ、メンバーは経営を信じるようにしている。
ルールを作らず、自分たちで考えられるようにしていて、そのためには情報をオープンにすることが大事だと考えているので、インサイダーに関わること以外はオープンにしている。

ー 社内コミュニケーション ー
例えばチームビルディング費用(飲み代とか)は全額会社負担にしている。回数も無制限。上限をきめてしまえばその中で行動するようになってしまう。
制限するのは楽だけど、行動が制限されれば必要なことが見いだせなくなってしまう。

ー 暗黙知 ー
言語化をすればするほど、上げ足をとろうとするので、暗黙知でするようにしていたので、あまり言わないようにしていた。ただグローバル化を目指した時に、バッググラウンドが違う人たちには通用しないこともあるので、共通言語化を進めている。

ー カルチャー ー
カルチャーとは「らしさ」だと思っている。その人らしさや会社らしさ。
組織の事業によっても違うし経営の世界観にもよると思う。
マクドナルドはマニュアル主義でルールがある。全店舗で同じものを出すことがマクドナルドでは必要なことだけど、メルカリでそれは必要とはしていない。それは事業によって違ってくるもの。

昔から本質は変わっていない。採用する中でミッションとカルチャーはブレがない。
ただ言語化というのは再定義をしていて、昔から性善説を取り入れていてずっと使っていたけど、グローバルな中では英語では良い言葉がなかった。

周りの人が良い人たちだからセキュリティ甘くていいよね、ということではないというのは認識させるようにしている。
採用から何まで一貫させることが重要なので、どこかでズレると逃げ道ができることもある。本当に優秀だけど、隣に座っているイメージがあったら諦めることを選択している。

とにかく経営がコミットすることが大事。
じゃないと本当に大事な意思決定のときに使えないので、普段から「go bold」をつけるようにしていれば、目に触れるようになる。
最初は記憶する、その後は意味合いを伝えるフェーズに入るので、だんだんと浸透させるようにする。

新卒は染めればいい、でも中途は前の会社の情報があるので浸透が難しい。そうなったときにカルチャーのフィットは大事。

ー ブランディング ー
それぞれのサービスの違いがあるから、コーポレートのブランディングが難しいと思っている。ただ組織全体のカルチャーさえそろっていて、個の色がしっかり定義されれば、それに共感した人が集まってきて一貫性が出てくると思う。

マーケターがやっているプロダクトのブランディングをお客様に伝えることをメディアを通じてお客様や世間に届けるようにしている。
企業そのものを伝えることによって、採用においてのブランドやカルチャー、顔を伝えることができる。社内への浸透もできる。
社内のメンバーを見せるオウンドがあって、外部に社内のメンバーを伝えることだけではなく、社内のメンバーも読んでいたりするので、社内メンバーにも浸透ができるようになる。
広報だけではなく、個のメンバーが発信していくべき。「こういうことは言わないように」というのをやる企業もあるけど、そうするとそもそも何も言わなくなる。
なので社内報もない。

ー 会場のPRパーソンにメッセージ ー
カルチャーは会社の宝。今後も大事にしていきたいこと。
キラキラしているものを見せても意味がないので、自分たちのらしさを伝えるようにして仲間を増やすことが大事。

感想

経営層のPRの話というのを普段聞くことがないので、自分の会社の社長は宇宙人なんじゃないかと思ってしまっていたが、各社同じような組織づくりをしていたので安心しました(笑)
また、広報として知識がないとだめなんじゃないかとずっと思っていたけど、それだけではないということを知ることができました。
社内のメンバーに助けてもらい、メディアに助けてもらい、そうやって会社は認知度をあげることができるようになるので、今後自社ではどれだけ周りと「助け合い」ができるかが課題だと思いました。

ファシリテーション・グラフィックは、自社でも全社会議で実施していたので、他社さんで見るものは面白かったです。

最後に

ちょっと残念だったのは最後懇親会のときにすごくオシャレな感じだったのにごはんが美味しくなかったこと。


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