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社内のボランティア休暇制度で石川県七尾市の災害ボランティアに参加しました


災害ボランティアへの参加

2024年1月1日に発生した能登半島地震で被災した石川県七尾市で初めて災害ボランティアに参加しました。
きっかけや参加状況などについて記載します。

参加のきっかけ・現地へ

能登島(石川県七尾市)との繋がり

私は新規事業開発のお仕事をしておりますが、そのうちの一つのテーマとして、「地域交通課題」に2020年度くらいから取り組んでいます。
能登島は、石川県七尾市の七尾湾に位置する島です。島へのアクセスは島の南の能登島大橋と島の西側にある中能登農道橋(通称ツインブリッジのと)※2024/4/6現在:ツインブリッジのとは被災により通行止めです。

利用者の減少やドライバーの高齢化など市民の足である路線バスの継続が困難になりつつある中で、市民や交通事業者、市にとってどのような公共交通であれば持続可能になるのかを、現地の方々と一緒に取り組んでいます。
参考:2023年夏の実証実験の記事(中日新聞)→リンク

七尾市能登島の位置(©️openstreetmap.org

このような取り組みで、JR七尾周辺や和倉温泉、能登島地域との繋がりができ、度々訪問していました。
和倉温泉は能登島から七尾に能登島大橋を渡ってすぐのところにあり、立派な温泉宿が複数立ち並んでいます。(残念ながらその温泉宿も震災で休業中です。)

能登島への再訪

今年の元旦に発生した能登半島地震では、七尾や和倉温泉、能登島でも大きな被害があり、現在でも断水や通行止めなど社会インフラへのダメージや、営業再開が困難な商店や宿泊施設などが多数あるなど多くの方の生活に多大な影響が出ている状況です。

震災発生から1ヶ月以上が経過し、現地の状況も色々見えてきた中で、関係者の方とお仕事の打ち合わせをした際に、「今の現状を見てほしい」、というお声をいただき、再び能登島に訪問できることになりました。

七尾・和倉温泉・能登島の被災状況

東京方面からJR七尾駅には、北陸新幹線で金沢駅まで行き、在来線もしくは特急に乗り換えて向かいます。
JR七尾駅は何度も利用している駅ですが、震災で駅ホームにダメージがあり、到着早々に震災の被害を目の当たりにしました。

ひび割れたJR七尾駅のホーム(普段は左側のホームを使用していた)

駅から能登島まで向かう道中でも、倒壊・半壊した建物が数多くあり、建物には、危険度の評価結果の紙が貼られていました。(応急危険度判定というそうです。)参考:石川県被災建築物応急危険度判定について

3月に入ってからの訪問となりましたが、道路の至る所でひび割れや段差、電柱や信号機の傾きなどがありましたが、お話を聞くとそれでもかなり復旧された状況とのことです。特に災害救援物資の運搬に使用する幹線道路は、急ピッチで通れるように復旧されたそうです。

これまで何度も宿泊させてもらった和倉温泉の温泉旅館は現在もすべて休館中となっています。
和倉温泉は、七尾湾に面した旅館が多く、中には露天風呂から七尾湾を一望できる所もあります。私は一度、よく晴れた早朝に宿泊した部屋から七尾湾と能登島大橋を見たことがあるのですが、あまりに美しい景色で、記憶によく残っています。(1日も宿が再開できる状況になり、そのような素晴らしい光景が戻ってくることを祈っています。)

2023/2訪問時に撮影した七尾湾と能登島大橋

能登島の島内も家屋の倒壊や道路の被害などが発生している状況です。現地でお話を伺うと、地震が発生してすぐは自走できなくなり道の脇に置かれている車両が複数あったそうです。その原因の一つはタイヤのパンクだそうです。小さめの瓦礫や岩など、一見車で乗り越えられそうなサイズの障害物であっても、タイヤの側面(サイドウォール)が切り付けられパンクしてしまうこともあったようです。
また、生活に大きな影響が出ているのが水道です。建物の外まで水が来ていても、建物の敷地に引き入れるところや引き入れた先で問題があり、水が使えないことがあるそうです。(隣の家は水が出ているのに、こちらは出ないということがある。)

災害ボランティアへの参加

申し込みの流れ

災害ボランティアの申し込みはWebでの2段階になっています。
まず、石川県災害対策ボランティア本部のHPからボランティア事前登録を行います。登録が完了すると、募集枠に応じて本募集のメールが送られてきます。本募集のメールには、募集内容と募集開始に関するお知らせが記載されていますので、その内容に沿って本申込を行います。
ちなみに、私が本申込みを行った時は8種類(地域やタイプ(日帰り・1泊・前泊など))の申し込み枠がありましたが、本申込み開始数分でほぼ全ての枠が埋まっていました。

社内のボランティア休暇制度

弊社トヨタコネクティッドにはボランティア休暇制度というものがあり、1年に5日間を限度として取得が可能です。活動後に簡単な活動報告書を提出する必要はありますが、非常に使いやすい制度になっています。
(災害ボランティアだけでなく、環境保全活動なども対象です。)

事前準備

当日の集合場所や持ち物などもメールで送られてきます。
日帰り型、1泊2日型、前泊型などで持ち物も変わります。日帰り型は他よりも持ち物が少なく、ゴム手袋やマスク、自分の食事、飲み物、防寒着、内履き、カッパ、運動靴(踏み抜き防止のインソール)、防塵ゴーグルなどが必要になります。

当日の流れ

当日は金沢の県民海浜公園に早朝に集合し、そこから観光バスに乗り込んで現地である七尾市まで移動します。(被災地に各々が車で向かうと渋滞の原因になったりしますので。)
金沢から七尾市のボランティアセンターに移動し、そこでオリエンテーションを受けます。注意事項の説明や班分け、班長決めなどを行い、8人1班でボランティア先にハイエースで移動します。
各班には、活動依頼書というものが渡されます。この中には、班への依頼内容や場所、トイレの有無などの情報が写真付きで記載されています。
班長には、トランシーバーアプリがインストールされたスマホが渡されており、活動の開始、完了、休憩開始終了などを都度ボランティア本部に連絡します。また、現地で作業中に予想外のこと、例えば活動依頼書に記載されていない希望を現地で出された場合などの対応についても全て本部での判断に従います。
私は、被災された家屋の外壁(倒れたブロック塀)を片付ける作業を行いました。8人で順次ブロック塀を軽トラに積み込み、軽トラが満杯になると災害廃棄物仮置き場に持っていきます。これを何度も繰り返します。
何回かは軽トラにも同乗し、仮置き場の荷下ろし作業も行いましたが、実際には積み込みよりも積み下ろしの方が大変な印象を受けました。(積み込みは8名で行いますが、荷下ろしは軽トラの運転手さんとの2名での作業になります)
ブロック塀は体積が大きく、重さもあるため地道な作業ですが結構時間がかかります。結局8人で1日かけて2軒分のブロック塀を片付けるのがやっとという内容でした。
夕方作業が完了し、またバスに乗り込み金沢まで移動して、そこで解散しました。

所感

  • 被災地の復興には多くの人手が必要であることを実感

    • 今回は、外壁のブロック塀を片付ける作業を実施しましたが、軽トラへの積み込みや仮置き場への荷下ろしは多くの時間とマンパワーが必要です。また、それだけでなく例えば仮置き場の車の誘導にも人手がかかりますし、ボランティアセンターの運営も多くの方々によって支えられていることを実感しました。

    • 実際、仮置き場の誘導やボランティアセンターの運営には、他の都道府県の職員の方や福祉協議会など様々な団体の方が参加されておりました。また、現場で使用している軽トラやマイクロバス(ボランティアの移動で使用)は他県ナンバーの車両が多くみられました。

  • 全国のボランティアの輪

    • 今回ボランティアに参加して、一緒に活動している方のお話を聞くと、千葉県や愛知県、埼玉県など日本の様々な場所から来られていることが分かりました。大阪や東京の大学から大学生が団体で来られているケースもあり、ボランティアの輪が日本全国に広がっていることを実感しました。私は、七尾市・能登島と縁があったことがきっかけで今回参加させて頂きましたが、特に過去来たことがない、知り合いなどもいない方も今回のボランティアに参加されていることを知りました。

  • トラブルを防ぐ体制・準備の必要性

    • 日本各地から多くのボランティアを受け入れて現地で作業するダンドリを整えるために多くの準備やルールがボランティア活動の中で決まっています。

    • ボランティアが現地に直接集合ではなく、金沢で集合して大型バスで移動するのもそうですが、被災地にはリソースの限りがあり、ボランティア参加者で現地の方に必要なリソースを消費しない工夫がされていました。

    • また、活動内容についても予め作業内容は確認され作業指示書のようなものにまとめられています。その中には現地の近くで使えるトイレがあるかなどまで記載されています。多くのボランティアが現地で活動するためには、駐車場や待機場、トイレや食事など様々な点で現地の貴重なリソースを消費しないように気を付ける必要があります。(飲食類は今回持参しました)

★能登島義援金

能登島では、能登島地域づくり協議会さんが義援金の募集を実施されています。(受け入れ期間:令和6年1月25日〜12月27日
ご協力の程、よろしくお願いいたします。
用途:(HPより)
・ボランティア受入費用
・公共交通にかわる移動手段の確保
・農業支援
・その他

詳細は以下リンク先。
https://notojima-chiiki.com/noto-earthquake/

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