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必要なのは、愛よりも親切

昨日は、カート・ヴォネガットの『スラップスティック:または、もう孤独じゃない!』を読みました。
久しぶりに小説を読んだ感じです。


と言っても、この本は高校生の時に読んだことがあるので、再読。
実は、大好きな一冊でした。

ストーリーは、アメリカ合衆国最後の大統領であるウィルバー・ダフォディル-11・スウェインが、自分の人生を回想する形で進みます。
アメリカ屈指の裕福な家庭に双子で生まれたウィルバー。
姉のイライザと肌をあわせると、天才的に頭がはたらきます。
そんな風にして浮かんだ画期的なアイデアの1つが、『拡大家族計画』でした。
すべてのアメリカ人に、無作為に動植物と番号のミドルネームを与えるというプロジェクトです。

本人の『ダフォディル-11』も、その一端。
ダフォディルは『水仙』のことです 😊


このプロジェクトのおもしろいところは、無作為に選ばれた同じ種族・同じ番号の人同士が、いきなり擬似家族になること。
つまり、血のつながりや民族性などとは関係なく、いきなり親戚ができるのです。
副題の『または、もう孤独じゃない!』の由縁であり、その発想が大好きでした。

人が辛くなる引き金は、往々にして孤独です。
その時必要なのは、感情の激しい起伏よりも、穏やかな連帯。
ヴォネガットは、この作品の中で、何度も「愛よりも親切を」と語りかけます。


なお、この本を再読したきっかけは、ちょっとイレギュラーでした。
実は、1ヶ月ほど前から「英語の勉強に」と思って英語版を読み始めたのですが、なんだかよくわからず・・・
「対訳があれば」と考えて日本語の電子書籍を購入したら、おもしろくて、そのまま日本語版を読み切ってしまったという・・・
本末転倒。
『スラップスティック(ドタバタ喜劇)』そのものでした 😊

ちなみに、そのタイトルは『ローレルとハーディー』という喜劇映画コンビに由来しています。
チャップリンと同じ頃の人たちで、リバイバルされることもほとんどないため、高校生の時には、そのイメージがピンと来ていませんでした。
が、数年前にノンフィクション映画がつくられ、その映像を見たことで、一層このお話は身近になりました。

長生きはするものですね。
ローレルとハーディーも、擬似家族と言えるでしょう 😊
ハイホー。

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