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宮崎県小林市の経営者対象視察ツアー〜企業誘致の取り組み事例〜

宮崎県小林市では、若者雇用の促進に向けた「企業誘致」の取り組みとして、地方での雇用拡大を目指す県外企業の経営者を対象に、「令和4年度現地視察ツアー」を実施しました。1泊2日で行った視察ツアーについてご紹介します。

今回の視察にお招きしたのは、1980年創業のIT企業「株式会社SPEC常務取締役の倉持淳一さん」です。

株式会社SPECは、主にソフトウェア開発やエンジニアリングを行うITソリューションの会社です。常務取締役の倉持さんがマネジメントに携わるICT先制医療事業部は、2017年4月に兵庫県神戸市に神戸医療産業都市Lab.を開設、2019年4月には沖縄県恩納村に沖縄科学技術大学院大学SPEC開発ラボを開設しました。

ICT先制医療事業部では病院やクリニック、調剤薬局などのシステム開発をはじめ、代表的な10種類の疾病の発生確率をAIで予測する「カラダノミライ」や妊活・不妊治療支援の「カラダからだ」 のスマートフォンアプリ開発などを行っています。

カラダノミライ(https://mirai.karadakarada.com/)
カラダからだ(https://www.karadakarada.com/)

本社は東京都千代田区にありますが、コロナ以降フルリモートワークに切り替え、社員・スタッフ(常駐型以外)は基本的に国内外の好きな場所で働くことができるそうです。 倉持さんは「医療分野で、地方自治体や大学・企業などと産学連携を推進すること」を目的として、地方拠点を探しつつ、「地方在住の社員採用も積極的に行いたい」との思いで現地視察ツアーに参加されました。

今回の現地視察では、医療分野での小林市の取り組みの他、連携を模索するために地元企業との面談機会も設けました。2日間のスケジュールをまとめました。

【出発|AM9:10】羽田発、鹿児島空港へ

小林市は鹿児島空港からのアクセスが便利です

鹿児島空港から車で約40分で小林市に到着します。宮崎空港からも車で約50分程度なので、2つの空港が利用できるのが特徴です。鹿児島空港経由の場合、鹿児島エリアや熊本エリアへのアクセスも良く、宮崎県外の経済圏も含まれます。

【ランチ|PM0:30】市内で人気のイタリアン

Cucina mamma del pesce(クッチーナ・マンマ・デル・ペッシェ )

小林市役所に到着後、視察スタート。
車で2分の人気イタリアン「Cucina mamma del pesce(クッチーナ・マンマ・デル・ペッシェ )」で、担当職員とともにランチを兼ねて「はじめまして」の自己紹介タイムです。

エビのクリームパスタ

小林市内は、お洒落で美味しいグルメな店舗が多いのも魅力です。

【市内観光|PM1:30】大自然のすきむらんど

昭和8年に宮崎県の名勝に指定された「須木の滝」(別名「ままこ滝」)

小林市は平成18年に小林市と須木(すき)村が合併し、新小林市が誕生。同22年に野尻町も合併し、現在の小林市に至ります。「すきむらんど」のある須木地区には、美しい自然の景観が広がっていて、市街地の賑わいとはまた違った見所があります。

宮崎は焼酎の産地。小林市の須木地区には創業100年以上の歴史ある「すき酒造」があります。昔ながらの製法で杜氏さんが丹精込めて仕込むいも焼酎の工場を見学しました。

甕を貯蔵する部屋は菌が入らないように厳重に密閉されており、ガラス越しの見学です

須木地区には、サウナ施設が充実した「かじかの湯」や古民家宿の宿泊施設もあります。宿は綺麗にリノベーションされていて、テレワーク環境も整っています。

湖畔に立地する、複数の古民家で構成する宿泊施設。食事処専用の古民家もあります

【商工観光課|PM3:00】立地制度のご案内

平成30年に竣工した小林市役所本庁舎

自然が広がるエリアでリフレッシュした後は、小林市役所本庁舎で企業誘致を担当する経済部商工観光課との面談です。商工観光課(プレゼン担当:山下文章)より、小林市の雇用や移住に関するデータの紹介、小林市や宮崎県の立地制度について説明をしました。

小林市の取り組みについて説明する商工観光課・山下(右から2人目)

【市長室|PM3:30】宮原市長との面談

(左から)宮原市長と倉持常務取締役

小林市は平成26年3月、宮原義久市長の下で「地域医療・健康都市」宣言をし、令和2年3月には「小林市健幸のまちづくり基本方針」を策定しました。

株式会社SPECの倉持さんがICT先制医療事業部の取り組みについて説明すると、宮原市長は「事前のレクで御社の案内を聞き、ぜひお会いしたいと思っていました」と語りかけ、小林市の”健幸のまちづくり”を推進する背景やビジョンについて説明。人々の豊かなライフスタイルを実現するための「健康づくり」を共通ミッションに掲げていることを確認し合いました。

【多部署面談|PM4:00】健康推進の取り組み

株式会社SPECが医療分野でのICT推進に携わっていることから、小林市で健康推進に取り組む部署との面談の場を設けました。総合政策部健康都市推進室の松元総子室長、健康福祉部健康推進課の里岡小愛課長が参加されました。

前半は倉持さんより株式会社SPECの会社紹介とICT先制医療事業部の事業内容を説明し、提供しているスマートフォンアプリ(「カラダノミライ」「カラダからだ」)のサービスについてご案内しました。後半は松元室長と里岡課長より、小林市の「健康課題」に関するデータ分析と、その課題を解消するための現状の取り組みや経過報告についての説明がありました。

https://kobayashi.karada.live/

双方から質問が飛び交い、お互いの事業への関心の高さを知る機会となりました。

【中心市街地|PM5:30】コワーキング施設見学

この日最後の視察先は、駅前通りの中心地に立地する市内2か所のコワーキングスペース(「TENOSSE」と「TENAMU(てなむ)」)の見学でした。2つのコワーキングスペースは通りを挟んで向かいにあり、徒歩1分以内で移動ができる距離感も魅力です。

どちらのコワーキングスペースも、市民だけでなく市外からの訪問者を含む誰もが利用できます。リモートワーカーにとっては、自宅以外で働けるスペースの選択肢が複数あり、地域住民との交流の場にもなっています。リモートワーカーにとって働きやすい環境が整っています。倉持さんからは大都市の企業からの求人や採用などの掲示板がここにあれば、利用者にとっても更に利便性が上がるのではないかとのご提案もありました。

街中のコワーキングスペース「TENOSSE」
交流スペース「TENAMU」は広い駐車場を有するスーパーの上にあるので、生活にも便利

【チェックイン|PM6:00】街中ゲストハウス

ゲストハウスの敷地内にあるカフェ&バー

コワーキングスペースから徒歩3分の場所にあるゲストハウス「Bar&Guesthouse LOOP」が今回の宿です。オーナーご夫妻が元歯科医院をリノベーションした物件で、診療施設をカフェ&バーとして新たに開業し、医師のご家族が暮らしていた住宅をゲストハウスとして利活用しています。

広い敷地の奥に立地する、大きなお屋敷がゲストハウス

【懇親会|PM6:30】親睦を深める会

宿泊先に併設しているカフェ&バー「musumi」で、この日交流した職員の皆さんと共に懇親会をしました。ざっくばらんに様々なトピックスについて語り合い、親睦を深めました。

小林産の苺と市内で乳製品を生産・販売する人気店「ダイワファーム」のチーズを使った料理も

【チェックアウト|AM10:00】小林市役所へ

2日目、午前10時に宿をチェックアウトし、小林市役所へ。宿から市役所は車で2分(徒歩9分)。中心市街地に役場や飲食店などの店舗が集まっているので、生活には非常に便利な立地環境です。

【市内企業|AM11:00】就労支援事業

小林市役所の向かいに進出した「ガルヒ就労支援サービス株式会社(以下、「ガルヒ」)」を訪問しました。

ガルヒは小林市内に2か所のオフィスがあり、令和4年10月に3か所目のオフィスを「シェアオフィス」として管理運営しています。障がい者総合支援法に基づく指定障がい者福祉サービス事業を展開していて、訪問したオフィスには職業訓練プログラムに取り組む方々が、パソコンに向かって学んでいる最中でした。

ガルヒではプログラミング、Web制作、3Dモデリングなどの分野を習得した障がい者を雇用する企業とのマッチングも行っています。小林市や宮崎県内に立地する企業のみならず、市外や県外の事業者と連携することで、障がい者の雇用の可能性を広げていくことを目指しています。

ガルヒのスタッフの皆さん(右側3名)の話を聞く倉持さん(左から2人目)

【議場見学|AM11:50】小林市役所

午前中の議会が終了し、小林市の議場を見学しました。本庁舎と渡り廊下で繋がっています。檜(ヒノキ)の香る木造3階建の美しい建築です。

他自治体や企業からの視察希望も多い議場

【振り返り|PM0:00】商工観光課

2日間の現地視察日程を終え、感想と今後のアクションについて話し合いました。倉持さんからは「濃密な2日間だった。いくつかの自治体を視察しているが、”職員の方の熱意”と”受け入れ体制”を進出のポイントとしている。宮原市長との面談機会もあり、小林市の熱意を十分に感じることができた。進出するきっかけは複数名の”雇用”が実現できるか、または共通のミッションを掲げる医療分野での実証実験など連携機会があるか」とフィードバックをいただきました。

地方進出を検討する企業を実際に誘致するためのステップとして、小林市が今後どのような提案をすべきか、多くのヒントを得る機会になりました。

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株式会社SPEC オフィシャルサイト

http://www.spec.jp

地方進出に関するお問い合わせ

小林市役所 経済部商工観光課
〒886-8501宮崎県小林市細野300番地(市役所案内)
電話番号:0984-23-1111 ファックス:0984-22-4177