ポジティヴヘルス_バナー

知りたいことをイベントにするー「ポジティヴヘルス研修旅行に行ってきたコミュニティナースと話す会」を開いてみた。

自分が知りたいことを聞くために講座を開いた。
ひょんなことから耳にしたオランダ研修旅行、お話を聞かせてくださいとお願いしたとき、最初は一人で聞くつもりだったが「貴重な体験をひとりで聞くのはもったいない。興味をもつ人が数人はいるかもしれないし」と一瞬迷った。私にはヘルスケアの知識はなんにもないけれど、数分考えて、きっと開いた方がおもしろいと割り切った。

そうして、7月18日にPLY OSAKAにて、オランダ研修旅行に参加されたコミュニティナースの坪井さんを話し手に、私が聞き手になって「ポジティヴヘルス研修旅行に行ってきたコミュニティナースと話す会」を開いた。

蓋をあけてみれば、参加者23名。
整体師や看護師、歯科医、介護福祉士や、医療・介護領域に関心のあるメーカーの方、還暦を控えて健康が気になっている方、最近入院の経験をされた方、僧侶など。
来場のきっかけを伺うと「ポジティヴヘルス」という言葉に強烈に惹かれた、という方も。

ポジティヴヘルスのコンセプト[注1]は、「社会的・身体的・感情的問題に直面したときに適応し、本人主導で管理する能力としての健康」

体の治療に留まらない、その人らしく過ごすための「健康」。
その人自身(患者)は自分の状態や本音を、クモの巣を使い医療従事者との対話を通じて知り[注2]、医療従事者は患者のレジリエンス(回復力)を信じて、伴走する。

言葉だと咀嚼しがたいのでコンセプトを絵に表した。研修旅行に参加された方が「ポジティヴヘルスは舟だとおもう」といってらしたと聞いて舟のモチーフを拝借した。舵をとるのは自分、医療従事者は応援者。

自発性な個人を重んじるオランダの教育[注3]が、ポジティヴヘルスを成り立たせているように思う。

日本では知名度のない「ポジティヴヘルス」の話を聞こうだなんて、尖がった興味をもった人たちだろうから、参加者の疑問や知識を伺って、お互いに学びあえる場にすべく、ゆるーく話せるようにお酒を飲み軽食をつまみながらの会にした。

参加者の発言がポンポンいきかう、ときにはマイクを奪い合う楽しい場になった。講義中に飛び交った話題は様々。

・かかりつけ医と家庭医
・仏教とキリスト教とポジティヴヘルス
・日本人に「ビュートゾロフ」[注4]はできるのか?
・車いす運動会の運営とビュートゾロフ
・ティール組織とTEDxKyotoの類似
・オランダ人にとっての仕事は趣味や特技?
・入院生活における看護師の観察
・オランダの電子カルテの著作権って誰のもの?

最中、笑いがしょっちゅう起こった。その後の懇親会には、三分のニの方が参加されたから、満足度は高かったのかなとおもう。

オランダでのポジティヴヘルスの実情が書かれた本[注5]の中で、オランダの医療はポジティヴヘルスのコンセプトを軸に、医者を頂点とするピラミッド型から患者を起点としたネットワーク型へと舵を切っているという記述があった。
日本よりも、医療でのICTの活用が進んでいるオランダ。さらに先へ先へ、その人自身の生きがいを軸にした医療を実現しようとするとき、テクノロジーを使って新しいものがどんどん生まれるんだろうと思わされた。

知りたいことをイベントに仕立てることを、これからもやっていこう。
講座を開くと、関心のアンテナが立つからいろいろキャッチできるし、開く以上は勉強しなきゃで調べものをするし、参加者からはいろんな視点をいただけるしで、一番学べるのは催す側だ。


[注1]オランダの医者、マフトルド・ヒューバーが2011年に提言。
[注2]同じ研修旅行の参加された方のnoteに詳しく書かれているのでこちらをぜひ。
[注3]参照:諸外国の教育の現状に関する参考資料(経済産業省)
[注4]研修旅行の訪問先の一つ。オランダの在宅ケア組織。12人までの看護師で構成され、自律的に地域に密着し活動している。管理者がいない組織。ティール組織の中で、目指すべきものとして上げられている。
[注5]オランダ発ポジティヴヘルス地域包括ケアの未来を拓く シャボットあかね著

参考:「ポジティヴヘルス 研修旅行に行ってきたコミュニティナースと話す会 -自分らしくイキイキ過ごせる健康って?-」FBイベントページ ◎当日の動画あり。

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