地球儀広報用SDGs社会的インパクトマネジメント実践研修

神奈川県SDGs社会的インパクト・マネジメント実践研修【第1回】レポート

 10月1日にいよいよ、25社が参加し社会的インパクト・マネジメント実践研修がスタートしました!実践研修は全10回で、資本主義と社会的インパクトを結びつけることを目指し、事業者と資金提供者の新たな対話を目指しています。本記事では、実践研修の初回の概要と様子をお伝えしていきます!今回は初回として参加者の足並みを揃えるという意味合いも込めて、SDGs、社会的インパクト・マネジメント、金融それぞれの基礎を固める内容となっています。

【開催概要・出席者】

・日時:2019年10月1日
・場所:MYS横浜駅西口
・テーマ:SDGs社会的インパクトと金融の接続
・出席者:
《事業者》
石井造園株式会社、向洋電機土木株式会社、国際航業株式会社、コニカミノルタ株式会社、湘南電力株式会社、株式会社TBM、一般社団法人ファストエイド、文部科学省、株式会社横浜フリエスポーツクラブ、横浜市資源リサイクル事業協同組合、株式会社リビエラ
《資金提供者》
ARUN合同会社、かながわ信用金庫、公益財団法人笹川平和財団、公益財団法人日本財団、株式会社日本政策投資銀行、日本ベンチャーキャピタル株式会社、株式会社みずほ銀行、株式会社横浜銀行、株式会社ローソン銀行
《事業支援者》
MS&ADインターリスク総研株式会社、一般社団法人オープンデータラボ、
一般社団法人日本経営士会 南関東支部 神奈川経営支援センター

1, 開会挨拶

 開始にあたって、神奈川県政策局SDGs推進課の内海氏から神奈川県としての意気込みと期待が述べられました。本研修を事業改善・資金調達につなげるための重要なポイントとして、事業の成果を分析・評価できるようになることを挙げつつ、神奈川県としても研修の過程を含む成果を共有し、事業に反映させていくとの見通しを示されました。SDGsを推進するためにはマルチステークホルダーの協働が必要であり、SDGs先進県である神奈川県としての期待が伝わる挨拶でした。

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2, 本事業の全体像

 次に本事業の全体像についての見通しと、実践研修の位置付けについて弊社今尾から説明がありました。もっとも重要なのは、各事業者が金融や評価などの様々な関係者とのネットワークを構築し金融との新しい関係を作ること。なぜ、どのようにその事業がSDGsのゴール達成に寄与しているのかを可視化し、さらに組織改善・事業改善に繋げていく方法まで検討することを見据え、本事業は他の事業で得た知見を実際に使用して改善するという位置付けである、ということが述べられました。
 実際の事業を題材に様々な立場の人が参加する半年という長期間の研修であり進めながらも試行錯誤が求められます。そういう意味ではこの研修自体が、広く見れば社会的インパクト・マネジメントになっているとも捉えられ、神奈川県にとっても弊社にとっても挑戦しがいのある事業・研修になっています。

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3, SDGsの基礎

 いよいよ研修の本題に入っていきますが、SDGsと評価と金融を掛け合わせるということで、まずはSDGsの基礎について株式会社TREEの水野氏から講演とワークショップがありました。
 SDGsについては普遍性・包摂性、不可分性・連関、統合性・包括性の3つの特徴が挙げられました。特に強調されていたのは、SDGsは17の目標があるがそれぞれが個別に目指されるものではなく、分離不可能であり連鎖していくものであるということです。SDGsは共通課題としてそれ自体が人々の接着点となり、様々な立場の人を共同させる目標であることが改めて意識されました。ワークショップは、参加者それぞれが、最も解決したい社会課題とそれに応じたアクションがどのようにSDGsに繋がっていくかを考えるものでした。
 参加者からも、「自らが目指す社会的インパクトを言語化するなかで、ロジックの納得感を追求したいと思った」「自社のソリューションが具体的にどのSDGsのゴールと繋がっているかがイメージできた」など、抽象的なゴールと具体的な事業内容の繋がりを顕在化させることに意識が向いたという声がありました。

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4, 社会的インパクト・マネジメントの概要

 次に、社会的インパクト・マネジメントについて弊社千葉より概要説明がありました。社会課題の複雑化に伴い、個別の課題に取り組むのではなく様々な立場の人が協働することが必要になっているという前提の下、その共通の言語として社会的・環境的なアウトカム(成果)である社会的インパクトがあり、それを把握し向上させていくことが社会的インパクト・マネジメントである、という整理の仕方が示されました。また講義の中では社会的インパクトを考える上での用語や、PDCAに似たマネジメントプロセス、SDGsとの親和性についても触れられ、短い時間ではありましたが参加者の社会的インパクト・マネジメントに対する認識を揃えることができたのではないでしょうか。「社会的インパクト評価は単発で実施するものではなく、マネジメントサイクルに組み込み事業改善に繋げていくツールであることがわかった」などの参加者からの感想からも、今後どのようにこの実践研修を進めていくかのイメージが持てたのではないでしょうか。同時に、「自社ではどうなのか」「自らが取り組む社会課題ではどうすれば良いのか」という疑問もあり、これからの研修への期待も高まっていると感じました。

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5, 社会的インパクト・マネジメントとの金融の接続

 本研修のひとつの目的・特徴であり、社会的なチャレンジである金融との接続について、弊社幸地から金融の現状を共有する形で、金融においてなぜ社会的インパクトが求められているのかの講義がありました。社会課題の側からは、SDGs達成への投資額のギャップが大きく、民間資金の流入やイノベーションの加速が必要です。一方で金融の側からは、社会課題を解決する事業は持続可能な社会を生み出すとして投資の可能性があり、リスクとリターンだけでなくインパクトが投資の指標になりうることが示されました。とはいえ、「企業の非財務的な価値」は全くの新しい情報ではなく昔からずっと言われ続けていることです。ではなぜ、今なのか。
 それは事業の社会的インパクトの可視化の方法が発達し、注目を集め、求められるようになっているからなのです。強調されていたのは、インパクトの可視化だけでなくそれを対話に用いるなど事業改善や課題解決に繋げていくことの重要性です。実際に、財務的な価値と非財務的な価値をどのように融合させるかを多様な視点を取り込みつつ検討していく必要があり、その一つのツールとして社会的インパクト・マネジメントをどのように使うことができるのか、がこれからの研修で形になっていくのではないでしょうか。

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6, 社会的インパクト・マネジメントの目的設定

 初回の研修の最後は、参加者各自が自社における現時点での課題とそれを解決した際に生み出される社会的インパクトの整理を行うというワークでした。参加者の発表では複数のSDGsのゴールと自社の事業を結びつけたものや、地域課題に着目した発表が多く見られ、今後はこれらを核に事業者と資金提供者のペアを決定し社会的インパクト・マネジメントの実践が進められることが期待できる発表内容でした。
 現時点で事業の対象が必ずしも社会的な課題として明文化されているわけではないとしても、新たな視点の導入や対話の積み重ねにより整理が進められていくでしょう。

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次回のテーマは…
 
実際に社会的インパクト・マネジメント実現のための戦略策定に入ります。具体的な事例を元に、活動と目標がどのように繋がっているのかの可視化に挑戦します!


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