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半歩先を行く共感ドミノマーケティング。「共感ドミノ™」の有用性と実践方法

はじめに
なぜ人は予定外の買い物をするのか
スーパーやホームセンターへ買い物に出かけて、予定外の物を買ってしまった経験は誰しもあるはずです。
「パソコンを買いに行ったら、のぞき見防止フィルターも買ってしまった」
「靴を買いに行ったら防水スプレーを買ってしまった」
など、例を挙げ始めるとキリがないでしょう。
私自身も衝動買いをすることが多々あります。

これはスーパーやホームセンターの売り場に、「共感」を引き起こす戦略が溢れているからです。
言い換えれば、「あなたが欲しかったのは、これでしょ?」という瞬間が起きているのでしょう。
「潜在的アタリマエ」=「言われてみたら確かに」が、その瞬間を創っていると考えられます。

私はネオマーケティングの事業戦略策定に携わっています。
どうやって業界トップの競合他社と勝負していくべきか、頭を悩ませるなかで絞り出し、編み出したリサーチ手法が、今日ご紹介する「共感ドミノ」であり、アイデア着想のフレームワークであり、ポジショニング戦略です。そして定量的で、定性的でもあります。

サービスのご紹介ではなく、この考え方、この考えに行きついた背景やオモイも含めて詳しく説明したいと思います。

マーケティングに携わる方だけでなく、全ての社会人が共感ドミノ™を実践することで競争相手の「半歩先」を行くことができます。
長文になりますが、最後まで読んでいただけると嬉しいです。

「そう、それ!」商品との出会いは創られている
先ほどの話を聞いて、
「スーパーやホームセンターで予定外の買い物をするのは、買うべきものをその場で思い出したからに過ぎない。ブランド戦略なんて表現は大げさで、商品が陳列されていれば思い出すのは当然だろう」
という反論もあるかもしれませんが、その指摘は間違っていません。
商品の陳列棚を見て思い出して購入するのは、既に顕在化しているニーズが想起されたからに過ぎません。

しかし明らかに
「あ、これ面白い」
「そう、それ!こんな商品ほしかった」
と、自分でも気付いていなかったニーズに気付いて購入に至ったことはないでしょうか。
それは、「あなたが欲しかったのは、これでしょ?」と言われて共感していることに他なりません。

消費者本人ですら気付いていない「潜在的ニーズ」を引き起こし、呼び起こすのが、共感ドミノ™です。
顕在化しているニーズを取り合おうとすれば、大手の競合他社に勝てるはずがありません。しかし誰も気付いていない潜在的ニーズを顕在化して商品化すれば、先行者利益を得ることができます。

今では当たり前の「減塩醤油」も昔はなかった

より分かりやすくするために「減塩醤油」を例にしましょう。
今や減塩醤油は、一部の人の生活に無くてはならないものになっています。
ひと昔前まで、醤油と言えば「濃い口」「薄口」の種類があるくらいでした。

しかし時代の流れのなかで、「塩分を取りすぎない」ことに対して共感する消費者が潜在的に増えてきました。
それに気付いたメーカーが商品化したところ、ニーズが顕在化して大ヒットしたわけです。

ここで少し考えてみてください。
もし皆さんが当時のしょうゆメーカーのマーケティング担当者だったら、どうやって「減塩醤油、いけるのでは。」と気付きますか。
「減塩」なんて単語はその頃は普及していません。
いわゆる「雷に打たれたような閃き」を待たなければならないのでしょうか。

仮に閃いたとして、どうやって「減塩醤油は売れる!商品化すべきだ!」と社内を説得しますか。
定量的な説明ができなければ、社長に門前払いされることは目に見えています。

潜在的ニーズを探索する手法「共感ドミノ™」

共感ドミノ™は、潜在的なニーズの掘り起こしから商品化までのプロセスを標準化し、誰でも実行できるようにしたお客様とNEOの共創フレームワークです。

雷に打たれなくても、熱意一本で社長をゴリ押ししなくても、減塩醬油は生み出せるのです。

共感ドミノマーケティング™とは

私は共感ドミノマーケティング™を「消費者が製品やサービスに直感的に引きつけられる瞬間を創りだす戦略のこと」と定義しています。
「直感的に引き付けられる瞬間」とは、行動に至るような共感のことです。
定義のなかに「創り出す戦略」という表現を入れているのは、そこに至るまでのマーケティングの過程を重視しているからです。

キーワードは「そう、それ!」

前の章で、共感ドミノ™は「直感的に引きつけられる瞬間」を重視している、という点を説明しました。
直感的、と聞くと敷居が高く感じるかもしれませんが簡単です。
皆さんも何気なく過ごしていたら突然「そう、それ!」と共感する商品やサービスに出会ったことはないでしょうか。
それこそが「直感的に引きつけられる瞬間」であり、自分も気付いていなかった潜在的ニーズが掘り起こされた瞬間です。

ネオマーケティングはこの手法を駆使して、数々の新商品開発や、既存商品のリ・ブランディングを支援しています。

共感ドミノ™は「強いブランド」を生み出す

先に紹介した減塩醬油は既に普及しているため、すこしイメージがしづらいかもしれません。ここでは最近生み出されたブランドの事例を紹介します。

強いブランドとは
話の本題に入る前に、皆さんは「強いブランド」と聞いて何を想像するでしょうか。
シャネルやルイ・ヴィトンのような、圧倒的知名度を誇るものをイメージするかもしれませんが、実は違います。

強いブランドとは認知度の高さではなく、「必要な時に想起されるブランド」です。

●●が欲しい、●●が飲みたいといった時に想起されるブランドが強いブランドです。

いくらブランドが「認知」されていたとしても、顧客が消費行動をする際に「想起」されなければ意味が無いのです。
では、どこで、どういう場面で想起されるブランドを目指すのか、その入口を創ることが強いブランド創りのひとつの解といえます。

この想起される入口が多ければ多いほど、商品カテゴリーで想起されるようになります。
すなわち、ビールといえばスーパードライ という状態になります。

この状態にあるブランドが強いブランドといえるでしょう。

認知が重要でないとは言いませんが、知られているだけの状態とは、自分ゴト化されていない状態。すなわちイメージが抽象的(なんとなく)な状態のため、想起される状態に比べて、買われる可能性は低くなります。

では、どのように想起の場面を創っていくのか

例「透明醤油」
2019年、熊本の醬油メーカーであるフンドーダイ社が「透明醬油」という製品を発売しました。
「醤油と言えば黒い」という概念を覆す商品として一時期大きな話題になり、フンドーダイ社の代名詞ともいえるブランドに成長を遂げています。

その名の通り透明なので、服に付いてもシミが目立たないのが最大の特長です。
小さな子供がいる家庭のように、醤油をこぼすシーンが多い顧客から「安心して使える」と重宝されています。
今では「服を汚さず醤油を使いたい」と考えるタイミングで、ほぼ確実にこの商品が想起されようになっています。
また、「料理の色を損なわない」というベネフィットも提供できている点が、海外からの旅行者に人気なようです。

つまり、「透明醤油」は認知度が高くなくても、未充足なニーズに対応したことで、想起される場面を創った強いブランドになっているのです。

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潜在的アタリマエとは、言われてみたら確かにそういうことあるよね
潜在的アタリマエを価値に変えれば、「そう、それ!」が欲しかったという共感のドミノが起こります。
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顕在的なアタリマエでは透明醤油は生まれない

一般的なアンケート調査だけで透明醤油を生み出すのは容易ではないでしょう。

例えば「醤油のネガティブなイメージ」を自由回答で質問するアンケートを行ったとします。
恐らくほとんどの人が「塩分を取りすぎてしまう」と回答するのではないでしょうか。
これは顕在化している常識で、私たちは顕在的アタリマエと呼んでいます。
こうした、アタリマエは既に大手のメーカーが取り組んでいる可能性が高いです。減塩醤油然り。

一方で「服に付くと落ちない」と回答する人はほとんどいないはずです。
これは消費者が「醤油が服に付くと落ちない」ことをアタリマエの事として諦めており、不満に感じることすら無いからです。
ニーズが確かにあったとしても諦められている状態を、私たちは「潜在的なアタリマエ」と呼んでいます。

このアンケート調査結果をそのまま見ると、「服に付いても安心な醤油」にニーズがあるとは思えません。
もし仮にニーズがあると感じていたとしても、社内を説得することは困難です。
上司に
「だってアンケート結果にニーズの高さが表れていないじゃないか」
と言われて終わりでしょう。

少数意見を拾わない従来の方法では、顕在的アタリマエを俯瞰することが目的になるケースが多いため、透明醤油は生み出せないでしょう。

潜在的アタリマエから新商品が生まれる

私は、強いブランドは潜在的アタリマエにスポットを当てることで生みだせると信じています。

皆さんはスマートフォンが無い生活を想像できますか。
手のひら大の小さな機械の中に、電話、カメラ、メール、SNS、時計、お財布、定期券、カレンダー、メモ帳、ボイスメモ、ゲームなどの幅広い機能が収められています。
ガラケーの時代に「携帯電話の不便な点」や「携帯電話に追加して欲しい機能」を質問しても、スマートフォンに対するニーズの高さを証明する調査結果は得られないはずです。

Appleは、潜在的アタリマエを解決したからこそ、急激普及したのです。
当時、次のようなことは消費者が無理だと諦めるどころか、想像すらしていませんでした。
「いろいろな道具を一つの端末にまとめる」
「携帯に保存したデータを他の端末に連携する」
「手帳大の端末にすべてをまとめる」
しかしこれらを解決することで、唯一無二の価値がブランド生まれ、
高額だとしても消費者が購入する理由になったのです。

また、ダイソンの扇風機も潜在的アタリマエに着目して成功した例といえるでしょう。掃除が大変、危ない、うるさいといった扇風機に存在しているネガティブを払拭することで成功しています。
羽があるのが扇風機だから、仕方ないという諦めを解消しています。

共感ドミノマーケティング™が生まれた経緯

これまで共感ドミノ™を活用して、様々な企業の商品開発やブランド戦略の策定を支援しています
もちろん開発するのは企業の担当者様それぞれの努力が大きいのですが、世の中に無い価値を生み出す一端を担えるのは非常にやりがいがある仕事だと感じています。

ここでは共感ドミノ™マーケティングが生み出された経緯を紹介したいと思います。

避けられがちな「自由回答」

今でこそ、ネオマーケティングは幅広いマーケティング分野に対応していますが、もともとはマーケティングリサーチを主力として成長してきた会社です。
マーケティングリサーチの基本はアンケート調査。
私も数々の調査の企画提案、設計、実施、集計、分析を行ってきました。

アンケート調査の主な目的は仮説検証といわれています。
例えば商品の企画検討をする中で、とある商品はニーズが高い、という仮説を得たとします。
仮説の段階では社内を説得できないため、何らかの形で証明する必要があり、その役割をアンケート調査が担うのです。
回答は選択式にするのが基本です。
予め思いつく限りの選択肢を用意しておき、回答者が迷わないように心がけます。
当てはまる選択肢が無い場合は「その他」を選んで自由記述回答にする方法が一般的ですが、できる限り「その他」が選ばれることが無いよう、網羅的に選択肢を用意します。
つまり、自由回答は極力避けるように設計するのがアンケート調査の基本となっています。

私は長年、自由回答が避けられる現状をなんとか変えたいと感じていました。
それは、回答の選択肢が顕在的なニーズだけを対象としていることが多いと感じていたからです。クライアント側ですら気付いていないニーズがあるはずです。

一般的には潜在的ニーズでも、それを顕在化させている回答者も一定数います。
そういう人は自由回答に書いてくれますが、その回答を「少数派の意見だから」といって切り捨ててもいいのだろうか、と。

確かに自由回答の処理には手間がかかります。
アンケート調査を数千人単位で行うことはざらにあり、自由回答を一つずつ読んで「潜在的ニーズはないか」と探すのは現実的ではないのかもしれません。


自由回答の処理は確立されているのか?
もちろん、調査者が自由回答を無視することはありません。自由回答の処理にはある程度決まった集計・分析方法があります。
例えばアフターコーディングという手法。
自由回答の中から類似の回答をまとめ上げてカテゴリーに分類し、少数の選択肢に絞り込んでいく。定性情報を定量化することで集計をしやすくする手法です。

しかしアフターコーディングによって得られた結果は、もともと用意した回答の選択肢に集まった回答数に比べ得ると、インパクトが小さく埋もれがちです。
クライアント側にとっても、アフターコーディングの結果を活用する意義は薄いことも多いです。仮説検証が目的なのでアフターコーディングの結果は雑音として扱われるか、「こういう意見もあります」程度で済まされてしまうことがほとんどです。
あくまでも全体の傾向を俯瞰する目的としての活用に終始することが多い印象です。

私自身も、アフターコーディングで得た結果が有意であることをクライアントに説明する術を持っていませんでした。
従って一般的なアンケート調査だけでは、透明醬油のような商品が生み出される可能性はないに等しいのです。


実はニーズを拾い切れていないのではないか
先ほども触れましたが、一般的なアンケート調査には、あらゆる選択肢を用意できていると思いがちです。実際に回答する側にとっても、違和感なく回答ができていて「この選択肢が見当たらない」と感じる人はほとんどいないはずです。
更に踏み込めば、アフターコーディングは潜在的ニーズを過小評価している可能性があると感じていました。

確かにアフターコーディングで得られた結果は定量的で説得力もあります。
しかし膨大な自由回答を一つずつ読んでいくなかで気付いたのは、回答者の熱量が全然違うということです。
アフターコーディングでは極めて少数派として整理される回答でも、文章を読むと非常に説得力があり、強く共感する意見がありました。なかには「これは、目からウロコが落ちる意見だ」「こういうことは考えたことすらなかった」「このニーズを掘り下げた商品は面白いのでは」と感じさせられる回答が多々あったのです。

アンケート調査に向き合うなかで、「今の調査手法では、ニーズを拾い切れていないのではないか」という疑問が大きくなっていきました。
実は多くの人に共通しているが、気づかれていない、または諦められている選択肢があり、それにこそ価値があるのではないか、と感じるようになったのです。


ネットリサーチの価値を再定義したい

共感ドミノ™を生み出した理由は、アンケート調査に対する問題意識だけではありません。ネオマーケティングとしての成長戦略を描くためにも必要でした。

ネオマーケティングは2000年に設立して以来、多くのお客様に支えて頂きながら事業規模を拡大し、東京証券取引所に上場するに至りました。
しかし自社よりも大きな規模、たくさんの社員、広い事業領域を持つ企業はあります。多くのプレイヤーがいる業界のなかで、お客様から「ネオマーケティングだから」と選ばれ続ける存在であるためには、ネオマーケティング自らが「おもしろい」「そう、それ!」を提案し業界の半歩先を行く必要がある、という想いがありました。

そして先述の問題意識も重なり、「ネットリサーチの価値を再定義しよう」と決心したのです。

それが共感ドミノ™であり、ネットリサーチに次のような意義を持たせています。
・潜在的アタリマエを探索して、定量化すること。
・自由回答の少数意見に着目すること。
・「あなたが欲しかったのはこれでしょ?」の種をみつけること。

共感ドミノマーケティング™の進め方-チョコレートを事例に-

共感ドミノは概念。
共感ドミノマーケティングは潜在的アタリマエから「言われてみれば確かに」をみつけ、「そう、それ!」の共感ドミノを起こす一連の活動

共感ドミノ™の概念や開発経緯を紹介してきましたが、ここからは具体的にどのように共感ドミノ™を活用して商品開発やブランディング戦略の策定に繋げていくのかを説明します。


1. ネットリサーチ(定性的定量調査)

第1段階はネットリサーチ、つまりアンケート調査です。
「なんだ、通常のやり方と同じじゃないか」
と感じるかもしれませんが、通常の調査とは似て非なるものです。

最も大きな違いは、カテゴリーに着目した自由回答でほぼ完結することです。

分かりやすくするために「チョコレート」を例にします。
多くのチョコレートメーカーが自社ブランドのイメージや、改善すべき点などについてアンケート調査をしています。
しかし「チョコレート」というカテゴリーにフォーカスして調査を行っている企業はほとんどありません。それはアンケート調査の目的が改善点を見つけることに集中しており、新商品のアイデア発掘を目的としていないからでしょう。

共感ドミノ™の目的地は新商品の開発や新たなブランド戦略の策定であるため、スタートラインが違います。
「チョコレート」というカテゴリーに対する意見・考えを集め、着想を見つけていくのです。多数派の意見を見つけることも大事ですが、少数派の意見から「言われてみれば確かに!」と共感されそうな潜在的アイデアの種を探します。

この調査のポイントは、質問の仕方です。
カテゴリーの認識(パーセプション)を変えるためのヒントを探索するために、
「チョコレートに関するネガティブなイメージは何ですか」
という、ネガティブな部分を聞くことで、多くの着想を得ることができます。
※その他、自由回答2問(あえて非公開としています)


2. デプスインタビュー

デプスインタビューは、ロイヤル顧客に対するインタビューです。
チョコレートオタクともいえる、
「チョコレートが好きでたまらない!」
「寝ても覚めてもチョコレートのことを考えている!」
「チョコレートの食べ比べが趣味だ」
といったロイヤル顧客に対して1.の調査で得られた着想を示して、共感度を確かめていきます。
なぜロイヤル顧客を選ぶかというと、チョコレートというカテゴリーが持つ価値を様々な視点から言語化できるからです。
チョコレートを単なるお菓子ととらえている人に聞いても、美味しい、不味い、程度の意見しか出てきません。
一方でチョコレートをお菓子だけでなく、食材、リフレッシュするための道具、健康食品、贈答品などとして日常利用している人に聞けば、思いもよらない価値を聞き出すことができるでしょう。

ロイヤル顧客がチョコレートの価値を言語化できている点も、重要な特徴の1つです。
潜在的ニーズは、チョコレートメーカーですら言語化できない場合があります。見方を変えれば、言語化できていれば顕在化していると言えます。
潜在的な価値を認識しており、最も相手に伝わりやすい形で言語化してくれるのがロイヤル顧客であり、彼らの捉え方を深堀して聞き出すのがデプスインタビューです。

この調査のポイントは
「チョコレート」について語れそうな人かどうか、オーディションを経て対象者をリクルートすることです。
何を聞くかよりも、誰に聞くかが重要なため、ロイヤルティの高さだけではなく語れる人かを見極める必要があります。

オーディション形式のリクルートが必須

3. ネットリサーチ(定量調査)

共感ドミノ™ではネットリサーチを2回行います。
その目的は、潜在的ニーズのボリュームを定量的に検証し、潜在的アタリマエ(言われてみたら確かに)を発見することで、社内説得をしやすくするためです。

デプスインタビューで面白い潜在的ニーズを知れたとしても、その潜在的ニーズにどれだけの人が共感して消費行動を取るのか、この時点では分かりません。
市場ポテンシャルが大きいと判断できなければ商品化は難しいでしょう。

前述の1,2のプロセスで得られた少数意見やコアな価値を選択肢として用意して、もう一度広くアンケート調査を行います。
これにより、1,2のプロセスを通して得られた潜在的ニーズに共感する人のボリュームを把握できるのです。このプロセスで、注力する潜在的ニーズを絞り込みます。
調査結果を分析する際は、1のリサーチ結果と3のリサーチ結果を比較するグラフを作ります。そうすることで、対象とする潜在的ニーズがいかに大きく、現状で見落とされているのか、ブルーオーシャンとして攻める価値があるのかを明確にすることができます。


4.ワークショップ

1から3のプロセスを経て得た結果を元に、これから何をやるのか決め切るためのワークショップを行います。ポイントは「決め切ること」です。
多くのリサーチに携わる中で、次のアクションに繋げずに有意義に活用されなかったリサーチを数多くみてきました。
いくら有意義な結果が得られたとしても、次のアクションに繋がらなければ意味がありません。よくあるのは「リサーチ結果をもとに今後の方針を検討する」と言って時間ばかりが過ぎていくパターンです。
「マーケティングリサーチは生モノ」とよく言われるのですが、まさしくその通りです。
調査してから数年、場合によっては1年経つだけで調査結果の価値が無くなることもあります。調査期間を短く設定するのもそのような理由からです。
商品開発やブランディング戦略の策定には、スピーディなアクションが欠かせません。

ワークショップには、商品に関与するステークホルダーの全員に参加してもらいます。社内外関係なく、メーカー、開発部門、マーケティング部門などは重要なキープレイヤーです。
関係者が集まった場で決まったことであれば、すぐに動き出すことができます。既存商品のブランディングやキャッチコピーを変えるのか、新商品を開発するのか、といった点がワークショップによって決まっていきます。

ワークショップの進行役は、どこの部門にも肩入れしない第三者が望ましいです。
ネオマーケティングは第三者的立ち位置で進行役を引き受けています。手前味噌かもしれませんが、ワークショップの開催支援までやるマーケティング会社は少ないのではないか、と自負しています。
#アクションプランの策定にコミット。
#インサイトを創る。
#部署の壁を壊し、合意形成をとる。


5.コピー・タグライン

ブランドが想起される場面を分かりやすく伝えていくためのコトバをつくります。
弊社であれば、リサーチでもなければマーケティング支援でもなく、「相談相手」として想起されることを目指しています。

#すべては相談からはじまった。

コピー・タグラインとは、潜在的ニーズとして特定したものを文書化して肉付けし、全員が分かるように意味付けする作業のことです。
これによってブランドコピー、コミュニケーションコピーが決まります。
またチームのなかで確固たる認識を共有し、途中で認識がブレないようにできます。
「私はこう思っていた、あなたは違っていた」ということを起こさないようにします。

「途中で認識がずれるなんてことは、そうそう無いだろう」
と感じるかもしれませんが、部門ごとに分かれて様々な検討を重ねるなかで、解釈に尾ひれがつき、いつのまにか変質してしまうことは多々あります。
商品とブランディング方針が乖離してしまえば、これまでの努力が水の泡です。
些細な違和感はかならず消費者に伝わるので、コピー・タグラインはしっかりと決める必要があります。


6. PR

商品を開発、もしくは既存ブランドのコミュニケーションConceptが確定したら、いよいよ実行段階です。
ターゲットにアプローチするチャネル、コミュニケーション手法、人員体制を設計し、具体的なコンテンツ制作を進めていきます。

実はこのフェーズでようやくネオマーケティング独自の価値をお客様に提供できると考えています。
上記1から5のフェーズをチームの一員として進めるなかで、当然ネオマーケティングとしてどのようなPRを行うべきか検討し準備を進め、最後まで伴走します。
結果的にお客様は、小さいコミュニケーションコストで商品の開発背景までよく理解したコンテンツの提案を、ネオマーケティングから受けることができ、スピーディでコストを抑えた商品のローンチに繋がります。


7. ブランド管理

施策実行後は、エボークトセット調査にてブランドを管理します。
想起させる場面を決め、想起させるためのコミュニケーションメッセージ(コピー、タグライン)を伝えていった結果、その場面でブランドが想起されるかどうかを確認していきます。

●●といって思い浮かべるブランドは?(自由回答)
●●といって思い浮かべるブランドは?(選択回答)
ブランドの認知率ではなく、●●での想起率をブランドKPIとしてPDCAを回していきます。


おわりに

強いブランドとは、「必要なとき」に想起されるブランドのことであることを先ほど紹介しました。
大切なのは、「必要なとき」を自ら作っていくことです。
それはポジショニング戦略の根幹であり、共感ドミノがやっていることは、多くの企業が試行錯誤して回り道しながら地図もなくやってきたポジショニング戦略を、体系化して最短ルートで実行する一連のプロセスです。
これを行うことで、たとえ大手に敵わない中小規模のメーカーだとしても、大手が手を出せない部分でポジションを確保し、差別化して大きな売り上げをあがることができるようになります。
こうした考え方はマーケティング部門に限らず、全社会人が実践できることだと思います。ぜひ、ご自身の活躍するフィールドで取り入れて頂きたいですし、何ら形でお手伝いする機会に恵まれたら嬉しいです。

「なにか新しいことをしなきゃいけない」
「今のままではダメなことは分かっているが、どこから始めようか」
と感じている方は、お気軽にネオマーケティングにご連絡ください。
準備は必要ありません。軽いご相談レベルから承っています。
#すべては、相談から始まった。

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