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問題解決は楽しいか…。

「制約とどうつきあうか?」のその3になります。

世間では、レオパレス事件が大きな波紋を呼んでいます。業界ではそれなりの噂はあったものの、「建基法違反」があったとは驚きです。これは「法を逃れる」ことが利益に繋がる構造であることが主たる原因だと推測します。過去の耐震偽装も、脱法が利益構造と結びついて起きました。

制約は業界を問わずどんな状態でも必ず存在します。この制約とのつきあい方を見直すことから目を背けると確実に八方塞になってしまいます。

詳細はまだ定かではないですが、当該広報では「界壁の施工不備」ということになっています。これは集合住宅を供給する企業としては致命傷です。該当項目は防火性能や遮音性能の規定にあたります。つまりセールスポイントになり得る項目にも関わらず、手抜きしてごまかしたのです。設計上は合法的なもので審査も通っています。施行時に不備があったが見抜けなかったと言う説明でした。単独で施工業者が行ったかのような解説で不誠実な対応がオーナーや使用者の不安を煽っているようです。

また、それほど困難な施工部位かと言えば全く違うし、隠蔽されるから見えないだけの部分なのです。むしろそこは、基本性能を強化して「他にはない価値」を引き出せるはずのアイテムだから、アピールしても良いところだと思わずにはいられません。あまりにも稚拙なやり口で呆れるほどです。

おそらくこの背景には、この国の専門教育の問題が根深く関与していると思います。

もちろん法規制は守られなければ意味がありません。従って法規の講義としては「従わざるを得ない」法規制として、その運用を教育されます。(自身が知る限りでは、一握りの国立大学を除いて全機関は…)

分厚い法令集の引き方を訓練する訳です。如何に早く正しい条文に辿り着けるか、そして紛らわしい表現を間違わずに判別できるかが問われます。文字通り「考えなくて良い」字引きマシーンのような人達を生産するわけです。(但しT大では、つくる側だから「法規を運用するための講義」は行っていないと言う噂です。)

また国家試験においても、正しく運用できるかという選別のみで「法の意義」を問われることはありません。

このようにして「思考停止」の専門技術者が量産されるわけです。

・・・

工夫したり考えたりすることは、本来「楽しい」ことなのですが、業務的には「考えない」従事者達しか必要とされません。実務の世界でも「考えること」は不要な事として再教育されます。その結果「楽しくない」処理だけを行うお仕事だけが残ると言う図式は強化されていきます。

問題提起型の発想

「制約や障害が、発想の源泉だ」と思えば、「楽しいお題」となり、やり甲斐のある仕事になると思うのですが、現実は辛い問題解決ばかりになってしまいます。不平不満を言っている訳では無いのです。もしも「考えて工夫する」ことが職能として尊重されれば、間違ってもこんな不毛な事件など起こるはずがないと言う事を言っています。

法規制や制約は戦う敵ではなく、そこから発想する補助線として活用して味方にすることで、創造の糸口になると言う切り口です。

つくり出すとは、考えたり工夫することからしか始まりません。

そしてそれは「楽しいこと」なのです。

以下に問題のポイントの「界壁の施工不備」について言及しておきます。(建築基準法第30条及び建築基準法施行令第114条第1項に違反)>完了検査時にこの規定を正しく施工した報告がされていなけば検査済み証が発行されないことになっています。目視では不可能なので「監理報告」をもって施工写真などでチェックされているはずのものです。つまり施工者と設計監理者が共謀しないと不可能な要件になると思います。さらにこれを信用した行政(か民間機構)にも責任は及ぶことになるでしょう。おそらくは工事費の圧縮のために計画的に行われたと推測。部分的には小額なので、後々の発覚を想定すれば「なぜそんなところを?」といわざるを得ないですが、全施工棟数の9割が該当すると聞かされると、個別の要因ではなく、企業と企業の裏があったと疑ってしまうのも無理はないというところです。

「問題提起型」の発想は、結果として楽しく問題と向き合うことができます。

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